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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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番外編 へぅ~君主と黄巾の乱

 
前書き
董卓編です。
次回は本編に戻ります。 

 
私は東中郎将の職を解任され、故郷である涼州隴西郡に戻ってきました。

冀州に跋扈する黄巾賊の討伐に失敗したのは私の所為です。

詠ちゃんは黄巾賊を倒したところで、世の乱れは収まらないと言って、兵士達を損耗させつつ積極的に討伐しようとしませんでした。

私が詠ちゃんにそのことを止めて欲しいと言っても、「月の為にやってるの!」と、言って取り合ってくれませんでした。

私はそんなこと願っていないのに・・・・・・。

後任の方が来てくれて、内心ホッとしました。

詠ちゃんは腹立たしそうだったけど、私が責任者であるより、よっほど良いと思います。

後任の方は劉左将軍です。

劉左将軍は黄巾賊を討伐してくれたのでしょうか。

詠ちゃんはあまい人物と言っていたけど、恋ちゃんは強いと言っていたから、きっと冀州の民を救ってくれていると思います。

私の気がかりはそれだけです。

私は冀州の方角を見て、冀州の民が劉左将軍に救われるようにお祈りをしました。





「ああ、もうっ! あの男には騙されたわ!」

私がお祈りをしていると、詠ちゃんがイライラしながら私の部屋に入ってきました。

「詠ちゃん、どうしたの。そんなに怒って」

「どうもこうもないわ! あの劉正礼が私達が冀州を去って、1週間もしないうちに黄巾賊を討伐したのよ。あの男、善人ぶっていたけど、かなりの切れ者だわ。私がわざわざ兵士達を損耗させたというのに」

私は劉左将軍が黄巾賊を無事討伐してくれたことに感謝しました。

これで冀州の民も救われます。

「詠ちゃん、劉左将軍のことを呼び捨てなんて失礼だよ!」

私は詠ちゃんの態度が許せなくて、怒りました。

「別にいいじゃない。本人の前じゃないんだから」

詠ちゃんは不貞くれされたように言いました。

「へぅ~、詠ちゃん・・・・・・」

「月、そんな目で見ないでよ・・・・・・。分かったわよ。劉左将軍と言えば良いんでしょ」

詠ちゃんは項垂れながら言いました。

「それで劉左将軍は黄巾賊を討伐してから、どうしているの?」

私は本来自分のやるべきことを代わりに実現してくれた、劉左将軍のことが気になりました。

「劉左将軍は黄巾賊を討伐した後、黄巾賊に降伏を促しているわ。死罪を免ずる代わりに、10年の賦役を課すらしいんだけど、意外にも黄巾賊は素直に降伏しているらしいわ」

詠ちゃんは納得いかない様子でした。

「10年の賦役は大変かもしれないけど、死罪よりましだと思ったんじゃないのかな」

「月は甘いわね。黄巾賊は賊なのよ。そんな素直に労役に従事するわけないじゃない。確かに、死罪よりはましだろうけど・・・・・・。なんか、納得いかないのよ」

詠ちゃんは顎に指を当て、難しい表情になりました。

「詠ちゃん、冀州の民が安心して生活できるなら、そんなことどうでもいいよ」

私は胸に手を当て、神様に感謝しました。

「月、わかったわよ! でも、これで冀州の民が救われたとは言えないわよ。別に冀州に限ったことじゃないけど」

詠ちゃん、私を真剣な表情で見つめた。

「分かってる・・・・・・。黄巾賊を討伐しても、悪徳官吏が蔓延る限り、民は苦しい生活を送るしかない。でも、私に出来ることは限られている。私は私に出来ることを精一杯やるだけ」

私は沈痛な面持ちで詠ちゃんに言いました。

「月、あなたなら、きっと大陸中の民を救うことが出来るわ。だからこそ、出世しないといけないの。力が無ければ、正しいこともできないのよ。月は平気なの。今も何処かで、悪徳官吏に苦しめられている人々が各地にいるのよ」

詠ちゃんは厳しい表情で私に言いました。

「詠ちゃん・・・・・・、詠ちゃんの言いたいことは痛い程分かる。でも、大き過ぎる力は身を滅ぼすわ。自分の分を弁えて行動するべきだと思う」

私は詠ちゃんに毅然と言いました。

「月は欲が無さ過ぎ・・・・・・。天下を獲れる器を持っているのに、何でそんなことを言うのよ」

詠ちゃんは凄く悔しい顔をしていました。

私は詠ちゃんに近づき、彼女の手を握りました。

「私は詠ちゃん、霞さん、華雄さん、恋ちゃんと一緒に楽しく暮らしたいだけだよ。それ以外は何もいらない」

「月・・・・・・。月の気持ちは十分に分かってる。でも、私は諦めないから」

詠ちゃんは私を真剣な表情で見て言いました。

「へぅ~、詠ちゃんも強情だね。そうだ!今日は良い天気だし、みんなでお茶会を開こうよ。私が腕によりをかけてお菓子をつくるから」

私は気分転換にみんなでお茶会を開くことにしました。

「そうね・・・・・・。私がみんなを呼んでくるわ。月のお菓子楽しみにしているね」

詠ちゃんは笑顔で私に応えると、部屋を出て行きました。

みんなの為に美味しいお菓子を作らなくちゃね!

私は腕まくりをして、厨房に向かいました。

厨房に向かう道すがら、私は劉左将軍に会う機会があったら、今回のお礼をちゃんと言いたいと思いました。
 
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