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万華鏡

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第八話 それぞれの家でその十四


「どっちも神様の力があるから」
「それでなのね」
「そう。神様もいるから」
「仏様もなのね」
「どちらもいるからね」
 この考えは日本独自のものだった。神も仏も共にいるというのが日本の考え方、神仏融合論というものである。
「だからそんなにね」
「運だけっていうのは」
「他にも色々なものがあって」 
 運に実力、それに神仏だった。
「人生って決まるのよね」
「それで一番大事なのは」
 琴乃は自分のルーレットを回してから言った。
「何かっていうと」
「友達かしら」
 今言ったのは里香だ。
「一人じゃ駄目でもね」
「皆がいればね」
「そう。色々なことができるから」
 こう言う里香だった。
「助けて助けてもらって」
「どちらもなのね」
「そう。あるから」
 それでだというのだ。
「いいと思うわ」
「そうよね。私なんてね」
 琴乃は駒を動かしながら言う。ルーレットの目はもう出ている。
「中学の時にね」
「お友達に助けてもらったの?」
「今は違うクラスだけれど」 
 同じ高校ではあるがだというのだ。
「ずっと一緒だった娘がいて」
「その娘になの」
「うん。助けてもらってたから」
 それでだというのだ。
「一番大事なのはね」
「お友達なのね」
「持つべきものは友人よ」
 琴乃は笑顔でこうも言う。
「いい友達がいれば有り難いわよ」
「ただ。あれだよ」
 美優は琴乃の話を聞きながら笑顔でこんなことを言ってきた。
「友達に迷惑をかけたらな」
「駄目っていうのね」
「流石にそれは駄目だよ」
「それはわかってるから」
 琴乃もそれは言う。
「お互い助けて助けられてよね」
「そうだよ。友達ってのは一方通行じゃなくてな」
「お互いによね」
「そういうものだからさ」 
 こう琴乃に言うのだった。
 そして里香にも顔を向けて彼女にも言った。
「里香ちゃんは今までは」
「そんなに」
「いたことはいたよな」
「深いお友達じゃなかったの」
 そうだったというのだ。
「あまりね」
「だよな。そうした関係までは」
「いっていなかったわ」
「友達って言っても色々だからな」
 言葉ではそれだけだが度合いがあるというのだ。
「そうだからな」
「琴乃ちゃんが今言うのは」
「そうだよ。深い友達だよ」
「深い・・・・・・」
「まああれだよ。友達っていってもな」
 美優は笑顔にもなりそのうえで里香にこうも語る。
「浅くて悪いとかじゃないけれどさ」
「深いことがいいことでもないのね」
「その辺り本当にどれがいいか悪いかなんてな」
 言えないというのだ。 
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