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万華鏡

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第八話 それぞれの家でその二


「塩分とか糖分を摂り過ぎたらって」
「身体に悪いってな」
「そう言われてたの」
 そうだったというのだ。
「お父さんとお母さんに」
「それでだよ。子供の頃に言われてな」
「お料理にそれが出たのね」
「そうなんだろうな。やっぱりな」
「ううん、そうだったのね」
「子供の頃に言われたことって覚えてるからな」
 それこそ三つ子の魂百までだ。そこまで残るというのだ。
「だからなんだよ」
「それでだったの」
「けれど普段作るのよりお醤油とかお塩とかを増やしたらな」
 四割程そうしたらというのだ。
「変わったんだよ」
「それでなのね」
「ああ、普通になったんだよ」
「四割って思い切ってやったけれど」
「思い切ってやった方がいい時だってあるからさ」
 それが昨日の里香の料理だったというのだ。具体的に言えば肉じゃがだ。
「それで味が濃い方がさ。御飯も進むしな」
「あっ、そういえば」
 言われてはじめて気付いた里香だった。このことに。
「何かね」
「だろ?味が濃い方が御飯進むだろ」
「うん、薄いよりも」
「それにお酒も美味しくなるしさ」
 美優は笑って話していく。その間もストレッチは続けている。
「限度があるけれどどっちかっていうとな」
「味は濃い方がいいのね」
「里香ちゃんの場合はな」
 そうだというのだ。
「いいと思うよ」
「そうなのね」
「それ和食だけじゃなくてさ」
「他のお料理もよね」
「中華とかイタリアンとかも作るよな」
「うん、時々ね」
 そちらも作っているというのだ。
「作ってるわ」
「だよな。やっぱりな」
「スパゲティ好きだから結構作るけれど」
「その時はどんな感じだよ」
「お塩は殆ど使わなくて」
 やはりこれはだった。
「けれど。ガーリックとか香草はたっぷり使うわ」
「じゃあその二つで味付けしてか」
「オリーブオイルもたっぷりとね」
 それも使うというのだ。
「そういうのは使うの」
「じゃあ使わないのはお醤油とかお塩とかだけか」
「お砂糖とおソースもね」 
 こうしたものを言うことも忘れない。
「あとみりんもお味噌も」
「塩分とか糖分はか」
「けれど香辛料とか油は普通に使うわ」
 スパゲティ等を作る時はそうするというのだ。
「そうしてるの」
「成程な」
「あっ、イタリア料理はトマトたっぷり使うから」 
 里香はこのことを言うことを忘れなかった。
「それは絶対にね」
「忘れないよな」
「やっぱりね」
 里香は微笑んで言う。
「これは忘れたら駄目よね」
「まあな。イタリア料理っていったらさ」
「トマトとチーズはたっぷり使うわ」
「両方共けちったら駄目なんだよな」
 イタリア料理の場合はそうするとまずくなる、尚これはスペイン料理においても全く同じことが言える。どちらもラテン系だ。
「それは正しいよ」
「そうよね」
「で、中華は」
「やっぱりお醤油とかはね」
 あまり使わないというのだ。 
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