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八条学園怪異譚

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第四話 ターニングポイントその三


「何もできない。聖花ちゃんと比べて」
「愛実ちゃんは愛実ちゃんよ」
「そんなことないから」
 また言うのだった。
「絶対に。そんなことないから」
「だから」
「もういいから」
 これ以上はないまでにだ。自分を否定する愛実だった。
「今はね」
「愛実ちゃん・・・・・・」
「今はそっとしてて」
 愛実は俯いたまま聖花に言う。
「そうしていてね」
「そうなの」
「一人でいたいから」
 こう言ってだ。愛実は実際に聖花の傍から離れた。聖花を見ていると自分が余計に惨めになるからである。
 そうしたことが続いていた。そしてだ。
 その中でだ。愛実はあるものの存在を知ったのだった。
 そのことはふとだった。クラスで、たまたま聖花と一緒にいない時に聞いたのである。
「うちの学校のサイトがあるの?」
「そうよ。ほら、よく言われるね」
「裏サイトってやつよ」
 クラスで話していたクラスメイト達は笑顔で自分達に問うてきた愛実に話す。
「うちの学校にもあるのよね。そういうサイトがね」
「どの学校にもあるみたいだけれどね」
「裏サイトって」
「あっ、裏っていっても普通に見つかるから」
「それで出入りできるから」 
 クラスメイト達は裏と聞いて眉を曇らせた愛実にそのことは断った。
「私達も見てるからね」
「時々だけれどね」
「けれど裏サイトって確か」
 噂で聞いたことをだ。愛実はここで彼女達に問うた。
「酷いこと一杯書かれてるのよね」
「あっ、いじめの原因になってるってね」
「言われてるわよね」
「そうしたサイトじゃないの?」
 不安な顔でだ。このことをクラスメイト達に問うたのである。
「悪質だって聞いたけれど」
「そうしたサイトもあるみたいね」
「実際にね」
 クラスメイト達の返答はこうしたものだった。
「まあ。そうしたサイトは見たことないけれど」
「うちの学校にもあるみたいね」
「そうよね。だからね」
 それでだとだ。愛実は顔を曇らせて言うのだった。
「そんなサイトはね」
「だから。そうしたサイトには行かないといいのよ」
「実際に見つけてもね」
 そうすればいいとだ。クラスメイト達は笑って愛実に話す。
「携帯で簡単に行けるしね」
「一回見てみたら?」
「どのサイトなの?」
 興味を持ったことは確かだ。それでだ。
 愛実はすぐに彼女達にお願いした。そのサイトを教えてくれとだ。すると彼女達はすぐにこう言ってきたのだった。
「じゃあ今からUPL送るわね」
「携帯出して」
「うん、じゃあ」
 お互いに携帯を出してそのうえでだった。
 そのサイト、それは掲示板だった。愛実ははじめてそのサイトを見た。そこはありきたりのごく普通の掲示板だった。
 その掲示板を見て愛実はまずはこう言った。
「何これ」
「だから。掲示板よ」
「学校の噂話とか書いていくの」
 そうしたサイトだとだ。クラスメイト達は答える。
「まあ。2ちゃんねるみたいな感じかしらね」
「あっちの掲示板も色々あるけれどね」
「2ちゃんねるなの」
 2ちゃんねるのことは愛実も知っていた。いいスレもあれば碌でもない人間が集まって工作を行う悪質なスレもある。玉石混合と言ってもいい場所だ。 
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