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八条学園怪異譚

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第三話 聖花の人気その八


「そういうのじゃないから」
「じゃあお腹の調子が悪いの?」
「そうでもないから」
 愛実はこのことも否定した。
「だから気にしないで」
「そうなの?けれど今日体育あるけれど」
「体育には出られるから」
 それは大丈夫だというのだ。
「気にしないで」
「気にしないでって」
「だから気にしないでいいから」
 俯いたまま言っていく愛実だった。この日の朝もまた、
「私のことは」
「いいって言われても」
「ちょっと今日は疲れてるから」
 理由はこれにした。聖花を見ないままの言葉だった。
「話し掛けないで」
「お薬いる?今から薬局行く?」
「それもいいから」
 聖花の気遣いも断る。
「別に」
「じゃあ今は」
「静かにしてて」
 聖花を見ることはなかった。今は。
「本当にね」
「うん、それじゃあ」
 愛実が言うならだった。聖花も納得するしかなかった。それでだった。
 この日の登校はどちらもお互いに話すことはなかった。そのうえで学校に入りそこでも別々になって朝を過ごした。
 昼もだった。そして午後も部活の時もだった。
 二人は別々だった。そのことに気付いた先輩の一人が聖花に言ってきた。
「どうしたの?」
「愛実ちゃんのことですか?」
「ええ。いつも一緒なのに」
「何か。疲れてるらしいんです」
 愛実が言ったことをそのまま言う。
「それで」
「そうなの。それでなの」
「今は別々なの」
「愛実ちゃんが疲れてるなら」
 それならとだ。聖花は彼女を気遣う顔で先輩達に言った。
「私は」
「そう。優しいのね」
「あの娘気遣ってなのね」
「友達ですから」
 それでだとだ。聖花は実際に愛実を気遣う顔で言った。
「心配ですから」
「早くよくなるといいわね」
「疲れててもね」
 先輩達は聖花の話を聞いてそのうえで一人でいる愛実を見ながら聖花の言葉に頷いた。そうしてだtった。
 先輩の一人がだ。こう聖花に言ってきた。
「疲れてるならね」
「疲れてるならですか」
「体力を回復させるものを飲むか食べるのがいいから」
 それでだというのだ。
「だからね。ここはね」
「スタミナドリンクですか?」
「それもいいけれど」
 どうかというのだ。先輩は聖花を見ながら話す。
「オレンジとかね」
「柑橘類ですか」
「フルーツとか。甘くてね」
 それに加えてだった。
「栄養があるものがいいのよ」
「あっ、オレンジはビタミンがあるから」
「そう。それでね」
「それでなんですね」
「そう。どうかしら」
 先輩はにこりとした笑顔で聖花に提案する。
「スタミナドリンクもいいけれどね」
「そうですか。それにスタミナドリンクも」
 それもどうかとだ。聖花はここで気付いて言うのだった。
「何か女の子らしくない展開ですよね」
「そうでしょ。こう言ったら何ですけれど」
「おじさんみたいっていうか」
「そうそう。おじさんみたいだから」
 だからこそだ。スタミナドリンクはだというのだ。 
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