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八条学園怪異譚

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第二話 嫉妬その十三


「先輩達が相手でもね」
「先輩でも大丈夫なの?」
「そう。やり方は同じだし。それに」
「それに?」
「心をしっかりと持てばね」
 それでだというのだ。
「これが一番大事だけれど」
「心をしっかりと」
「そうすればいじめられないわよ」
「しっかりと。けれど」
「うん。堂々としてればいいから」
 愛実の気弱さを知っているからだ。聖花はあえてこう言って彼女の背中を心で押したのである。そうしてだった。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「だから。かるた部でもね」
「高校のかるた部でもなのね」
「そう。大丈夫だから」
 聖花はまた愛実に言った。
「安心してね」
「うん。聖花ちゃんがいてくれるなら」
 愛実は聖花に頼りながらだ。こう言ったのである。
「私、やっていけるわね」
「うん。私もいるから」
「じゃあ行こう」
「それじゃあね」
 二人でそのままかるた部に入ってだ。そうしてだった。
 二人でかるた部の受付まで行った。そのうえで入部した。二人は入部先も決まった。
 聖花と愛実は同じクラスと同じ部活になった。そのうえでだ。
 愛実は家に帰ってそのうえで愛子が家に帰るとだ。その彼女にだった。
 聖花と同じクラス、同じ部活に入った。このことを伝えたのである。愛子はそれを聞いてだ。妹に微笑んで述べた。
「そう。よかったわね」
「お姉ちゃんもそう思う?」
「ええ。聖花ちゃんにとってもね」
「聖花ちゃんも?」
「だって。聖花ちゃん忘れもの多いから」
 だからだというのだ。
「愛実ちゃんはそういうところはしっかりしてるから」
「それでなの」
「芸術の科目は何にするの?」
「芸術って?」
「高校の芸術、八条高校でもそうだけれど」
 八条高校の卒業生としての言葉でもあった。
「芸術は選択するのよ」
「そういえばそうだったわね」
「そう。それで何にするの?」
「ううんと。音楽かしら」
 少し首を捻って考える顔になってだ。愛実はそれだと答えた。
「それにしようかしら」
「音楽にするのね」
「私音楽好きだから」
 それでだというのだ。
「それにしようかしら」
「いいわね。じゃあ聖花ちゃんにも聞いてね」
「どの教科にするかをよね」
「そう。聞いてね」
 そしてだというのだ。
「助けてあげてね。あの娘を」
「けれど。教科が違うと」
 そうなるとだと。愛実は困った顔になり姉に答えた。
「無理じゃないかしら」
「それでもやれることはあるから」
「そうなの?」
「そう。事前に注意してあげるとかね」
 忘れものの多い聖花のことがわかっているからこその言葉だった。
「そうしてあげてね」
「うん、それじゃあ」
「愛実ちゃんも聖花ちゃんに凄く助けてもらってるけれど」
「聖花ちゃんもなのね」
「そう。友達だからね」
 それ故にだというのだ。
「お互いに助け合っているのよ」
「友達ってそうなのね」
「そうよ。だから聖花ちゃんを助けてあげてね」
「そうするわ。けれど」
「けれど?」
「私。聖花ちゃんに全然勝ってないから」
 劣等感をだ。ここでも出したのだった。 
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