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八条学園怪異譚

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第一話 湧き出てきたものその九


 その中でだ。美紀は言うのだった。
「だったら気をつけてね」
「気をつける?」
「八条高校のかるた部って何かあるの?」
「うん。あそこのかるた部って強くてね」
 そしてだというのだ。
「決まりも厳しいのよ」
「そんなに決まりが厳しいの?」
「そうなの?」
「そうなの。うちの中学校のかるた部って決まりは緩いわよね」
「皆楽しくやってるけれど」
「それものびのびとね」
「顧問の先生も先輩達も厳しいらしくて」
 部活はそれを構成する教師や生徒が雰囲気を作る。問題のあり顧問がいるとそれだけでその部活は駄目になる。それが幾ら素晴しいものを行う部活でもだ。
「悪口とかね。いじめとかは厳禁なのよ」
「そんなの当然じゃないの?」
 聖花は愛子の今の言葉にすぐにこう返した。
「いじめとかしたら駄目に決まってるじゃない」
「うん。そうだけれどね」
「いじめをした生徒に厳しいの?」
「それだけで退部になったりするらしいの」
「いじめで退部なの」
「うん、そこまで厳しいからね」
 だからだとだ。美紀は聖花にさらに話す。
「二人共気をつけてね」
「だから。いじめなんてしたら絶対に駄目よ」
 正義感の強い聖花はこう考えていた。
「人間として最低の行いじゃない。だからね」
「当然だっていうのね。退部も」
「退部は行き過ぎだと思うけれど」
 だがそれでもだというのだ。
「それでもね。いじめは駄目よ」
「そうよね。まあね」
 美紀は聖花と愛実を交互に見た。それからだ。
 愛実を見てだ。こう言ったのである。
「愛実ちゃんはひょっとしたらね」
「私は?」
「いじめられるかも知れないから注意してね」
「高校に入ったら?」
「愛実ちゃん少しおどおどしたところがあるから」
 何処か引っ込み思案で劣等感が芽生えてきている愛実にだ。美紀は気付いていたのだ。ただ具体的な形として認識はしてはいない。
「先輩とかに目をつけられたら危ないわよ」
「かるた部以外の先輩に」
「そう。商業科って女の子が多いけれど」 
 商業高校の常だ。だから男子生徒はかなりもてる。
「その分色々な先輩がいるからね」
「かるた部はいじめがなくても」
「学校でクラスとか部活だけじゃないからね」
 意外と広いものだ。そしてその学園生活の中でだというのだ。
「気をつけてね。本当にね」
「うん、じゃあ」
 愛実は美紀の言葉に弱く頷いた。そしてだった。
 美紀は今度は聖花に顔を向けてだ。こう彼女に言ったのである。
「けれど聖花ちゃんがいるからね」
「私が愛実ちゃんをっていうのね」
「守るわよね。やっぱり」
「守るっていうかね」
 少し微笑んでだ。聖花はその美紀に答えた。
「そんなことしたら駄目だから」
「若し愛実ちゃんがいじめられてたらどうするの?」
「そんなことさせないから」
 こう言うのだった。これは美紀が予想している答えでもあった。
「絶対にね」
「そうよね。聖花ちゃんがいたらね」
「愛実ちゃんにおかしなことする人なんて許さないから」
 胸を張ってこう言うのだった。
「そんなこと許さないわよ」
「頼もしいわね。私は高校は別の高校に行くつもりだけれど」
 二人の目指す八条高校商業科は受けないというのだ。
「八条高校とは別のね」
「何処の高校に行くの?」
「うん。それかね」
「それかっていうと?」
「普通科に行きたいから」
 それでだというのだ。普通科志望だからこそ。 
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