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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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番外編 桃色天然娘と黄巾の乱

 
前書き
劉備、曹操、孫策の黄巾賊討伐((討伐?近況?))を番外編にて書こうと思います。
1話完結で、時期は劉ヨウが冀州を制して、霊帝に会いに洛陽に下る時期です。
因に、北郷一刀は劉備陣営で、主人公補正は掛かっていない普通の高校生です。
好評なら、3人意外も書こうかと思います。
他は、公孫賛、董卓あたりでしょうか。 

 
「ぼ、暴力、暴力反対っ! 愛紗、死んだらどうするんだよ!」

北郷さんがいつものように愛紗ちゃんにボコボコにされちゃって、北郷さんは本当にしょうがないな。

懲りもせず、愛紗ちゃんの着替えを覗くんだから、いい加減学習した方がいいと思う。

「はぁ・・・・・・。これからどうしよっかな」

一月前に、白蓮ちゃんに送り出され、義勇軍の皆と一緒に黄巾賊の討伐に出たんだけど・・・・・。

冀州に私達が入った頃には、もう黄巾賊の一番悪い人が倒されちゃった。

幽州を出てしばらくは順調に黄巾賊の人達を懲らしめて、沢山の人から感謝され充実した毎日でした。

「劉備様、黄巾賊の首領を討伐した人物がわかりましたよ」

周辺を調査しに出かけていた兵隊さんが私に声を掛けてきました。

「それで誰が討伐したの?」

「左将軍の劉正礼様らしいです。1日で10万の黄巾賊を6万の兵で殲滅した上、広宗の城を落としたらしいです。流石は地獄の獄吏ですね」

「何だと! その話は本当なのか?」

私が兵隊さんから報告を受けていると、愛紗ちゃんがボロ布のようになった北郷さんを打ち捨てて、こっちに駆け寄ってきました。

「はい、劉正礼様が冀州の主だった黄巾賊を討伐したらしいです。でも、不思議なことに、劉正礼様は広宗での戦を境に、黄巾賊に対して降伏を促しているそうです。これが降伏勧告のお触れです」

兵隊さんは布を私に渡してきました。

「桃香様、何と書いているのです」

「ちょっと待ってね」

布には黄巾賊の人達に降伏を促す内容と降伏に際して条件が書かれていました。

「逆賊である黄巾賊の者達は本来は極刑が適当であるが、黄巾賊に加わりし者達の中には生活に窮し、止む終えず乱に加担した者も少なくない。よって、条件付きで降伏を認める。降伏を行う者は戦禍によって荒廃せし町、村落の復興のために10年間の賦役を課す。これを真面目に全うすることができれば死罪を免ずるものとする」

私は正宗さんが黄巾賊に対し掲示した、降伏勧告の内容に驚きを隠せませんでした。

正宗さんは罪を犯した者を決して許さない人でした。

それが・・・・・・こんな情けを掛けるなんて・・・・・・。

でも、10年間の賦役は酷過ぎます。

「自分で破壊した物は自分達で直せということですか・・・・・・。 桃香様、劉正礼様はご立派な方ですね。この変態男とは大違いです」

愛紗ちゃんは正宗さんの行為に感心しながら、北郷さんを侮蔑に満ちた表情で見ていました。

「まあまあ、愛紗ちゃん、そんなに言っちゃ可哀想だよ。北郷さんも頑張って・・・・・・ないか・・・・・・」

初めて、北郷さんに会った時、彼が天の御使いと確信したんだけど、私の勘違いだったのかな。

スケベだし、仕事しないし、女の子に声を掛けばっかり・・・・・・。

最初はカッコイイかなと思ったけど・・・・・・。

この人とだけは結婚しちゃいけないなと思う。

それより、正宗さんは凄いな。

私と会った時はまだ無位無官だったはずなのに、あれから1年もせずに左将軍に出世していたなんて。

私はみんなが笑える世の中を作ることが夢だったのに、その道筋すら見えてこないよ。

北郷さんじゃなくて、正宗さんが天の御使いなんじゃないかなと疑っちゃう。

「桃香。さっき、劉正礼って言ったよな!」

北郷さんが凄く驚いた顔で私に声を掛けてきた。

「兵隊さんが言っていたけど、何?」

「何で劉正礼が冀州の黄巾賊を討伐するんだよ。ありえないだろ」

本郷さんは凄く動揺した表情で言いました。

「北郷、お前の妄想話につき合ってられるか! 失せろゴミ! 役立たずのお前は掃除でもしてろ」

愛紗ちゃんは青龍偃月刀を北郷さんの顔に近づけていた。

「愛紗、け、怪我するだろうが!」

「愛紗ちゃん、北郷さんの話を聞いて上げようよ。 あんまり虐めちゃ可哀想だよ」

「桃香様が仰るなら・・・・・・。さっさと話せ!」

愛紗ちゃんはイライラしながら北郷さんに怒鳴りました。

「あのさ、俺の知っている知識によると、劉正礼は黄巾の乱で功名は立てていない。もっと後に、揚州牧になって、孫策に倒されて逃亡先で病気になって死ぬはずだ」

北郷さんは真剣な表情言っているんだけど、あの正宗さんが誰かに負けるなんて想像できない。

逆に相手が殺されちゃうと思う。

「北郷、お前は馬鹿か! 劉正礼様が幼少の頃から賊狩りに明け暮れた方で、河北一帯で劉正礼様の勇名を知らぬ者はいない。だいたい、孫策とは誰だ。どこの馬の骨か分からない奴に劉正礼様が負けるわけがないだろう。お前のような貧弱な変態と違うんだ! 分かったか?」

愛紗ちゃんは怒って北郷さんを殴り飛ばしました。

愛紗ちゃんは正宗さんに憧れて山賊狩りを始めたらしいから、北郷さんの言葉が許せなかったんだと思う。

正宗さんと私は考え方はかなり違うけど、戦に敗れて病で死ぬという発言は酷い。

「でも、北郷さんの未来の知識では私達は男で中年のおじさんなんでしょ。あまり信用できないんじゃないの」

「うっ! それは・・・・・・。で、でも、黄巾の乱は起ったじゃないか。確かに、俺の知っている歴史とはかなりズレているからなんとも言えないけどさ・・・・・・」

北郷さんはいじけて地面に字を書き始めた。

「はあ、本当にこれからどうしよう。白蓮ちゃんのところに戻るわけにもいかないし。黄巾賊討伐で困っている人達を助けようと思っていたんだけど・・・・・・。食料も心もとないしどうしよう。正宗さん、冀州にまだいるのかな」

私はいじける北郷さんを無視して、空を見上げました。

「桃香様、その御仁誰なのことなのです。真名のようですが・・・・・・」

愛紗さんは私に声を掛けてきました。

「昔、盧植先生の所で勉強をしていた頃、一度、劉正礼さんに会ったことがあるの。そのときに真名を交換して貰ったの」

「え――――――! 桃香様、私はそんな話聞いていませんよ。お知り合いなら、どうして教えてくださらなかったんですか?」

愛紗ちゃんは私に詰め寄ってきた。

「だって、それを話したら、愛紗ちゃんはきっと正宗さんに紹介してくれって言うだろうと思って・・・・・・、そしたら私と一緒に来てくれなかったよね?」

私はバツが悪く俯きながら言った。

「・・・・・・そ、そんなことはありませんぞ・・・・・・」

愛紗ちゃんは口篭りながら言いました。

「やっぱり、正宗さんのところに行くんだ! 愛紗ちゃん、酷いよ!」

私は涙目になって愛紗ちゃんに猛烈に抗議した。

「あははは・・・・・・、それで他に劉正礼様の情報はないのか?」

愛紗ちゃんは私の抗議を軽く無視すると、兵隊さんに声を掛けた。

「劉正礼様は左将軍と冀州刺史を兼任しているらしくて、常山郡の高邑県にて政務を行っているらしいです」

「桃香様、ここは旧知の仲のよしみで劉正礼様を頼ってはどうです」

愛紗ちゃんは兵隊さんの言葉を聞くと、私の方を向いて言った。

でもな、私はあまり正宗さんと仲が言い訳じゃないし、正宗さんは白蓮ちゃんのことを気に入っていた気がするんだよね。

私と真名を交換したときも嫌々交換した感じがした。

私がお願いしたら、助けてくれるかな・・・・・・。

ここで悩んでいても始まらないよね!

「うん! 愛紗ちゃんの言う通りだね。正宗さんに力を貸してくださいってお願いするね」

私は気合いを入れて愛紗ちゃんに返事しました。
 
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