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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第二十四話 禁手


小猫がやられたと言う放送が入って数分がたった。その間にライザーのポーンが3人ほどリタイアしたらしい。しかし闇慈にはそういったことは関係なかった。闇慈の頭の中には小猫を倒した奴の事しかなかったからだ。

(くそっ!!何処だ!!小猫を倒した奴は!!)

闇慈は怒りで冷静さを失っていた。仲間を失ったのは闇慈にとって初めてなことだったので抑えきれないのだろう。しかしここでデスの喝が飛んできた。

(いい加減にしないか!!)

(っ!?デスさん?)

(そんな状態で見つけられるとても本気で思っているのか!?平常の心を忘れるなと我はお前に言い聞かせてきた筈だぞ!!)

(・・・)

デスの喝が闇慈の心に染みたのか闇慈は目を閉じ深く深呼吸した。

(そうでした。すみません、デスさん)

(初めて仲間を失ったその気持ちは分かる。しかしあの状態で戦いを挑んだとしても返り討ちになるだけだ)

(はい。まずは落ち着きを取り戻します)

数分後、闇慈は心を入れ替え、冷静に気配を感じていった。闇慈が今いる場所は旧校舎に近い林の中だった。

「・・・見つけた。この場所は・・・グランドか!!」

(闇慈。そろそろセイクリッド・ギアで戦ってみてはどうだ?)

(・・・そうですね。もうこの力を相手側に知られても良いと思います)

闇慈はセイクリッド・ギアを発動させ、マントを纏い、デスサイズ・ヘルを担いだ。

「良し!!行くぞ!!」

闇慈は漆黒の翼を具現させるとその場から飛び立とうとしたがデスが引き止めた。

(・・・闇慈。お前は敵に気付かれないように接近したくはないか?)

(えっ!?そんなことが出来るんですか!?)

(これはあまり多用してはならない技だが。禁手(バランス・ブレイカー)という技がある)

(バランス・ブレイカー?)

(それぞれのセイグリッド・ギアに存在する特有の力のことだ。しかしこの力はセイグリッド・ギアの力を高め、ある領域に至った者のみが発動させることが出来る)

(ある領域って何ですか?デスさん)

闇慈は気になったのかデスに問いかけた。

(お前はすでにその領域に達している。お前は『憑依・死神』を今では容易に使いこなせるであろう?それがセイグリッド・ギア『デスサイズ・ヘル』のバランス・ブレイカーを発動させるために必要な領域だ)

(なるほど。じゃあ教えてください!!バランス・ブレイカーを!!)

闇慈がデスにお願いした直後、グレイフィアからの放送が入った。

『リアス様の[クイーン]一名。[ナイト]一名。戦闘不能』

「なっ!?朱乃さんに祐斗が・・・やられた!?朱乃さんがやられるなんて・・・それに祐斗も・・・となると味方はもうリアス先輩とアーシアとイッセーだけか!!不味い!!デスさん!!早く僕にバランス・ブレイカーを教えてください!!」

(・・・分かった!!)

~~~~~~~~~~~~

視点は変わり、グランドに移動する。グランドでは一誠がクイーンを除くほかのライザーの駒と戦っていた。しかし数が多すぎ、何より悪魔になって日も浅い一誠にとってそれは無謀なことだった。

「ぐはっ!!」

一誠は顔の片面に仮面を付けた女性から吹き飛ばされ、倒れ付してしまった。

「いい加減。諦めたらどうなのかしら?」

倒れ付してしまった一誠に金髪のピンク色のドレスのような服を着た女の子が一誠に話しかけた。この女の子は『レイヴェル・フェニックス』。ライザーの[ビショップ]だが、苗字通りライザーの実の妹だ。

「俺は・・・まだ・・・諦めねえ!!」

一誠は痛みに堪えながら、ゆっくりと立ち上がった。

「ここで・・・倒れたら・・・やられた小猫ちゃんや木場や朱乃さんに申し訳が・・・立たないからな・・・それにリアス部長の顔に泥を塗るようなことはしたくねぇからな・・・」

しかし一誠の体はほぼ限界に達しようとしていた。正直に言うと立っているのがやっとらしい。

「それに・・・俺達はまだ・・・闇慈がいるからな・・・」

「アンジ?・・・あの無謀な人間さんね。人間なんていないに等しいですわ。もうお別れですわね・・・イザベラ」

「はい」

一誠を吹き飛ばした女性『イザベラ』が一誠に止めを刺そうと拳を一誠に顔に向かって振り下ろした。

「・・・っ!!イッセーさん!!」

リアスと一緒にいたアーシアが気付いたのか一誠の名前を叫んだ。

(悪ぃ・・・闇慈・・・)

一誠は覚悟を決めたのか目を閉じた。

「っ!!イッセー!!」

リアスも気付いたのか声を張り上げた。

「リザイン投降しろ!!リアス。ポーンとビショップ以外の駒を失ったお前に何が出来る?それにお前のポーンももう片付くらしいしな・・・」

「くっ・・・!!」

ライザーはけなす様にリアスに提案してきた。しかしその提案をある言葉が遮った。

「あっ!!リアス先輩!!あれを!!」

それはアーシアだった。アーシアは一誠を指差していた。リアスは指差した所を見るとのイザベラの拳は一誠には届いていなかった。一誠はいつになっても痛みがこないので目を開けてみるとイザベラの拳が『金縛り』にあったかのように一誠の前で止まっていた。

「何!?どうしたの!?イザベラ」

「分かりません!!拳に何かあたっているみたいな・・・ぐっ!?」

今度は何かで殴られたような音が聞こえ、イザベラは軽い悲鳴を挙げ、地面に倒れ付してしまった。そしてその瞬間、イザベラは緑の光に包まれ消滅してしまった。

「イザベラが!?」

『ライザー様の[ルーク]一名。戦闘不能』

「どうなっているの!?」

「レイヴェル様!!お下がり下さ・・・うっ!?」

そして次々とライザーの駒達は軽い悲鳴を上げながら消えていった。その場に残ったのは一誠とレイヴェルだけとなった。この事にライザーも信じられないという目でその光景をみていた。

「バカな・・・俺の下僕達が一瞬で!?くそっ!!ユーベルーナ!!あのポーンを吹き飛ばせ!!」

「はい!!ライザー様!!」

ユーベルーナが杖をかざし、爆弾のような球体を作ると一誠に向かって投合した。

「イッセーさん!!避けてください!!」

「なっ!!しまっ・・・」

一誠の反応が遅れたのか球体は一誠の目の前まで迫っていた。

飛翔刃(ひしょうじん)!!」

叫び声が聞こえると黒光りした三日月のようなものが球体を切り裂き、霧散させた。そして一誠より少し手前が少し歪むとセイクリッド・ギアを発動させた闇慈が立っていた。どうやら翼はここについた時に消したらしい。

「闇慈!!」

「ごめん、一誠。合流するのが遅れた!!」

「それはお前が無事なら良いって」

「ありがとう。一誠は少し休んでて?後は僕がやる!!」

「・・・分かった。でもあの焼き鳥野郎は一緒に倒そうぜ?」

「分かった」

そう言うと一誠は闇慈の邪魔にならないように離れていった。闇慈は一誠が離れたのを確認するとレイヴェルと向き合った。

「さてと・・・好き放題やってくれましたね・・・」

「お兄様の下僕をやったのは貴方ですの!?」

「はい。僕のセイクリッド・ギアのバランスブレイカー禁手・・・『不可避の悲劇』(インビジブル・トラジティ)を使って倒させて貰いました。まあ、やったことはこの鎌の柄を延髄に叩き込んだだけですけどね」

これが闇慈の禁手・・・インビジブル・トラジティ。これを発動させた闇慈は周りから気配を感じ取られることはない。言い換えれば、姿そのものを消すことが出来る。もちろんセンサーなどの探知機械も通用しない。その代わりこの禁手は生命力を糧に使用するため使いすぎると命に関わる。

「貴方も体にセイクリッド・ギアを宿していたなんて・・・」

「小猫ちゃんや祐斗や朱乃さんをやったのは誰ですか?」

「私だ」

そう言うとユーベルーナが闇慈の元に降り立った。

「・・・確か、ユーベルーナさんでしたか?・・・貴様が・・・小猫ちゃんを・・・」

「(雰囲気が変わった!?)レイヴェル様。お下がり下さい」

「分かったわ。ユーベルーナ」

しかしユーベルーナは闇慈の殺気と魔力漏れに驚きと少しの恐怖を感じていた。

「悪いが・・・一瞬で終わらせてもらうぞ!!」

「ほう。人間の貴様がライザー様のクイーンである私を倒すですって?」

そう言うとユーベルーナは再び空に飛び上がった。そこから爆発系の魔法を叩き出そうとしているのだろう

空中(ここ)ならその鎌も届かない。空も飛べない人間の貴方に勝算なんてあるのかしら?」

「(はあ。この人・・・本当にクイーンなの?油断しすぎでしょ)なら。この姿を見てまだ人間と言い切れるか!?」

闇慈は叫びと共に背中に漆黒の4枚の翼を具現させた。『憑依・死神』はまだ発動させていなかった。

「「なっ!?」」

この事にユーベルーナだけでなく近くにいたレイヴェルも驚きを隠せなかった。

「さあ・・・貴様に『死』を見せてやる!!」
 
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