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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第78話 広宗決戦終結

張姉妹に真名を預け、泉に彼女達の面倒を見させようと彼女の方を見ると彼女は私の前に進み出てきました。

「正宗様、張角達に何故、真名を預けられるのです!」

泉が激昂して張姉妹を指差しながら言いました。

「泉は不満か? 心配しなくても真名を預けるかは各々に任せるつもりだ」

私は泉の態度に冷静に対応しました。

「私の真名などどうでもいいです。正宗様の真名をこんな下賤な賊達に預けるなんて考えられません!」

泉は張姉妹を今にも殺さんと言わんばかりに睨みつけました。

彼女の剣幕に張姉妹は怯えています。

「お前は何故、私が彼女達に真名を預けたか分かるか?」

私は泉の瞳を真っ直ぐ見て言いました。

「わかりません!」

「そうか・・・・・・。人和、お前はどう思う」

人和もわからないという表情で私の方を伺いました。

「私の覚悟を示したまでだ」

冥琳、朱里、雛里、水蓮は私の方を黙って見ていました。

「正宗様の覚悟ですか? ヒィ!」

天和が私の言葉に反応して、私の真名を口にすると泉が天和を血走った目で睨みつけました。

「泉、話を折らないでくれるか・・・・・・」

「申し訳ございません・・・・・・」

私が泉に注意すると彼女はションボリとしていました。

「私は張姉妹を保護する証として、彼女達に私の真名を預けた。彼女達を保護するということは私の身を危険に晒すことになるかもしれない」

私はひと呼吸置いて話を再開しました。

「しかし、彼女達を保護することで流さずに済む血を減らすことができ、乱で荒れ果てた農地を復興できる。泉、死んでいった者達のことを思うのは尊いことだと思う。しかし、私達は生き残った者達のことも考えなくてはいけない。お前は兵士達や罪のない者達を無駄に死なせたいのか?」

私は泉を真剣な表情で見ました。

「こいつらは沢山の人々を苦しめた元凶です! それに、正宗様を裏切ったらどうなされるのです」

泉は私を泣きそうな表情で言いました。

「そうだな・・・・・・。だが、天和達がこれからやることは私が彼女達を信頼してことにあたらねば成功しないと思う。でなければ、黄巾賊は素直に降伏すると思うか? 私は犯した罪を無かったことにするつもりはない。黄巾賊の降伏を許しても罪は償わせるつもりだ。それを拒む者達は私が容赦なく罰を下す」

私はそういって泉の頭を撫でました。

「正宗様、わかりました」

泉は涙を拭きながら、私の考えに賛同してくれました。

「この場にいる者で反対する意見の者はいるかな」

私が冥琳、朱里、雛里、水蓮と順に表情を伺うと頷いて肯定の返事をしました。

ここにいない者には後で伝えましょう。

「さて、天和、地和、人和よ。私の想いは分かってくれたか。お前達が私の為に働くというなら、私はお前達を全力で守ろう。だが、私を裏切れば命はないと思え」

私は張姉妹に真剣な表情で言いました。

「姉さん達、手間を掛けさせないで! 正宗様のご厚情に感謝いたします。このご恩は私達の行動にてお示しします」

天和と地和は泉を怖がっていましたが、人和が彼女達の頭をむりやり平伏させて感謝の言葉を言いました。

「お前達を約束通り保護してやろう。冥琳、朱里、雛里に張角達の身代わりはどうすればいい」

私は張姉妹から視線を反らし、冥琳、朱里、雛里を見て言いました。

「間を置かずに全軍で広宗の城を囲みましょう。泉と水蓮は我らが広宗の城の囲む前に中に潜入して、我らが城を囲むと同時に城主の部屋に火を放ち火事を引き起こしてもらいます。事前に城主の部屋には死体を3体入れて置き、張角達はその部屋で焼身自決したことにします。正宗様は最初にその部屋に向かえば良いかと思います。泉と水蓮はそのときに合流すればいい」

冥琳は既に考えていたのか、私へ即座に献策してきました。

「私も冥琳さんの策で問題はないと思います」

「私も同感です。下手に首を用意するとどこから露見するか分かりませんし」

朱里と雛里は冥琳の献策に賛同しました。

「泉、水蓮。戻って直ぐで悪いが広宗の城に向かってくれるか?」

「正宗様、お任せください!」

「正宗様、お任せください!」

泉と水蓮は拱手をして元気良く返事をしました。

「では、直ぐにでも立ってくれ。私達は四半刻後に広宗の城に向かう」

「ハッ!」

「ハッ!」

泉と水蓮は顔を引き締めて、陣幕を出て行きました。

張姉妹を見ると脱力して3人肩を寄せ合って支え合っていました。

「正宗様、ご英断感服いたしました」

「正宗様、本当にご立派です」

「長い目で見れば、正宗様の今回の判断は民の為になると思います」

冥琳、朱里、雛里は私を褒めていました。

「この先どうなるかまだわからない。まずは、無事に偽装工作を成功させないとな」

私は難しい表情で言いました。

「とはいえ、大変な爆弾を抱えることになりましたな。正宗様、今後は身辺を重々にお気をつけくださいませ」

「冥琳さんの言い分も最もです。そろそろ司馬懿さんが、星さんの故郷に到着しているんじゃないでしょうか? 広宗の城攻めが終わり次第、彼女の元に張姉妹を送りましょう」

冥琳と朱里は私に張姉妹の今後のことを話出しました。





四半刻後、私は全軍を率いて広宗の城を取り囲みました。

城を取り囲むと同じくして、城の方から煙が上がりました。

私はそれを確認するや自軍に総攻撃の命令を下し、一騎駆けで城門へ突撃をしかけ、振雷・零式で城門を粉砕して城内に入って行きました。

私の後を追い兵士が雪崩のように城内に入り込んできます。

私が脇目も振らずに城主の部屋に向かうと、先に潜入していた泉と水蓮が私を待っていました。

「正宗様、この先です」

「既に、死体を3体運び込み火をつけています」

泉と水蓮に案内され、城主の部屋へ後少しという場所に着くと前方は火が激しく燃えこれ以上進めない状態でした。

しばらくそこに佇んでいると、兵士達が遅れてこちらに向かってきました。

「劉将軍、こんなところでどうされたのです。ここは危険です。直ぐに立ち去りましょう」

一人の兵士が前方の火の手に見ながら言いました。

「この先に張角達が逃げて行ったのだが・・・・・・」

私は悔しそうな表情で言いました。

「なっ! 張角がですか!」

兵士達が驚きの声を上げています。

「ですが、この火ではもう生きてはいないのではないですか」

「しかし・・・・・・陛下に逆賊の首を献上できぬとは口惜しい!」

私は本当に悔しそうな表情をして、拳を強く握りました。

「劉将軍、そんな残念な顔をしないでください。広宗の黄巾賊10万を破ったんですから。後は、雑魚ばかりですよ」

兵士達は私の周囲を囲んで励ましてくれました。

私は少し彼らに罪悪感を覚えましたが、心の中で詫びる事にしました。

前方に広がる火の手が酷くなったので、私は泉と水蓮、兵士達を連れその場を後にしました。
 
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