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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第二十三話 成果


ゲームが開始されて数十分が経った。闇慈達三人は体育館に到着し、裏口から内部に侵入し、ステージ袖の裏に身を隠した。しかし闇慈には疑問な点があった。

(妙だな・・・ここまで来るのに敵と全く会わなかった。黒羽も知らせてくれなかった)

闇慈はいざって時のために黒羽を光子状態にし、闇慈達の周りを見張らせていたが黒羽も見かけなかったらしい。因みに黒羽が光子状態になると気配を感じ取られることはない。体育館の中に入って初めて敵の気配を闇慈は感じ取ることが出来た。

(待ち伏せか・・・敵は・・・4人か)

「どうしたんだよ?闇慈。難しい顔をしてるぞ?」

「・・・闇慈先輩。イッセー先輩。敵の気配です」

小猫が話しているとアリーナ側の電灯が付いていった。

「そこにいるのは分かっているわ!グレモリーの下僕達!」

ライザーの下僕達も闇慈達の存在に気付いていたのか声をかけていた。

「こそこそしていても仕方ないみたいだね?イッセー。小猫ちゃん」

「だな」

「・・・みたいですね」

闇慈たちがステージ袖から姿を現し、見たのは4人の女の子だった。

「ルークさんに・・・やたらと元気なポーンさん。そして無謀な遊撃手の人間さんね」

「あ!!あの娘は!!」

一誠が驚きの声を上げて見ていたのは以前一誠の鳩尾に棍を叩き込もうとした和服の女の子がいた。

「ミラよ。属性はポーン」

「私はルークの雪蘭(シュラン)

「ポーンのイルで~す♪」

「同じくネルで~す♪」

チャイナ服を着た黒髪の女の子は『雪蘭(シュラン)』。和服を着た青髪の女の子は『ミラ』。そして体操服を着た緑色の髪の双子は『イル』と『ネル』らしい。中でも・・・

「あの雪蘭って娘の魔力はそこそこ強そうだね?小猫ちゃん」

「・・・はい。おそらくクイーンに近いでしょう」

「げっ!!マジかよ!!」

雪蘭は油断できない相手らしい。

「・・・あのルークは私がやります。闇慈先輩とイッセー先輩はポーンをよろしくお願いします。最悪の場合、逃げて時間を稼いでください」

「じゃあ僕はあの双子の相手をしようか。イッセーはリベンジしたいでしょ?」

「ああ。それに俺にも勝算はあるしな!!いくぜ!!ブーステッド・ギア!!スタンバイ!!」

『Boost!!』

一誠がセイグリッド・ギアを発動させると小猫も自分のグローブを引き締め戦闘体制に入った。闇慈もイルとネルの元に行くと格闘の構えを取った。デスサイズ・ヘルはライザー戦まで温存するつもりらしい。ポーン相手なら問題はなそう感じたのだろう。しかし『真紅の魔眼』と『魔力の応用』は使うらしい

「「お兄さんが私達の相手?カッコいいけどライザー様のためにバラバラになって♪」」

「ん?・・・『バラバラ』ってどういう・・・」

イルとネルが何か悪いことを考えていそうな小悪魔の笑顔を浮かべると持っていた大きなバッグの中からチェーンソウを取り出した。そして刃の部分が勢いよく回転し始めた。

「ちょっ!?僕が人間ってこと分かってるの!?」

「分かってるよ~♪」

「大人しく解体されて下さ~い♪」

「「バ~ラバラ♪バ~ラバラ♪」」

そう言うと二人は闇慈に向かってチェーンソウの刃を振り下ろしてきた。しかし闇慈は『真紅の魔眼』を発動させ、二人の斬撃を見切り二人から離れた。

「何で!?何で当たらないの!?」

「お兄さんってただの人間じゃないの!?」

「「今度こそバラバラに・・・」」

「いい加減にしろ・・・」

「「えっ!?」」

流石の心優しい闇慈も堪忍袋の尾が切れたのか性格が一変した。

「子供がそんな物騒なものを振り回すなんて感心しないな・・・ここは年上らしくおし置きする必要らしいな・・・」

「あ~~!!今私達のことを子ども扱いした~~!!」

「許せない!!バラバラにしてや・・・」

イルとネルが再び斬りかかろうとしたが目の前には闇慈が立っていた。

「「えっ!?」」

「遅い!!」

闇慈は両手に魔力を溜めチェーンソウの刃のない側面の部分に裏拳を当てると刃が柄の部分から落ちてしまい回転も止まった。

「痛ったた。やっぱり鉄は殴るものじゃないな」

「そんな・・・」

「ネル!!逃げよ・・・」

「させるとでも思っていたか?」

闇慈はすぐに水面蹴りで二人の足を払いこかすと『魔眼』と『魔力の解放』で二人を威圧し始めた。二人はそのせいで立とうにも立てないのだろう。

「さて・・・おし置きの時間だ・・・」

「「ひっ・・・」」

二人は何をされるのか不安になったのか涙顔になり嗚咽を出していた。

「な、何をするの?」

「もしかして私達・・・殺されちゃうの?」

「安心しろ・・・命を取る様なことはしない」

そう言うと闇慈は素早く二人を自分の膝の上に乗せた。

「これって・・・」

「もしかして・・・」

二人は何をされるのか脳裏に過った。そして次の瞬間・・・

バチーン!!と二つのいい音が体育館に響いた。

「「痛った~い!!!」」

そう二人が闇慈からされたのは『尻叩き』だった・・・。闇慈も少し魔力を右手に溜めていたためかなり威力があると思う・・・

「う~~。まさかお尻を叩かれるなんて・・・」

「痛いよう・・・」

そう言うと二人は闇慈から逃げようとしたが闇慈がそれを許さなかった。

「何逃げようとしているんだ?あと99発はうたないとな・・・まあ。お前達がある言葉を言ったら止めてやるが?」

「「ごめんなさ~~い!!」」

二人は何を言えば良いのか一瞬で分かり、闇慈に謝った。それを聞いた闇慈は二人を膝から降ろした。二人は余程痛かったのかその場に倒れてしまった。

「流石にこれ以上やると可愛そうだからここまでしておこうかな・・・さて小猫ちゃんとイッセーは・・・」

「喰らえ!!ドレスブレイク!!」

一誠の叫び声が聞こえるとミラの服が弾け飛び裸体がさらけ出してしまいミラは悲鳴を上げその場にうずくまってしまった。

「あははは!!見たか!!これが俺の必殺技『ドレス・ブレイク』だ。脳内で服を消し飛ばすイメージをし続けたんだよ!!魔力の才能を女の子を裸にするために使わせてもらったぜ!!」

「・・・イッセー。もしかしてこの前に厨房で転がってたあの野菜って・・・」

「ああ!!あれもドレス・ブレイクを編み出すきっかけだったぜ!!」

イッセーは誇らしげに語っていたが闇慈とルークを倒した小猫はドン引きだった。するとリアスから通信が入った。

『イッセー。アンジ。小猫。聞こえる?今すぐにそこから離れてちょうだい!!朱乃が魔法を放つわ!!』

『『『分かりました!!』』』

そう言うと小猫とイッセーは急いで体育館から出て、そして闇慈も出ようとしたが・・・

「待て!!お兄さん!!」

「よくもお尻を叩いてくれたね!!」

イルとネルが闇慈の両腕に掴み掛かってきた。

「えっ!?」

「「まだお兄さんに謝って貰ってないよ!!」」

「ちょっ!!不味いって!!ここにいたら・・・」

闇慈が言い切る前に巨大な雷が体育館を襲った。

~~~~~~~~~~~~

視点は変わりイッセーたちに移る。雷を打ったのは朱乃らしい。

「すげ~。体育館が一瞬で・・・」

「・・・朱乃先輩の通り名は『雷の巫女』。その力は知る人ぞ知る存在らしいです」

「うふふ///」

相変わらず顔を赤らめている朱乃だった。しかし一誠があることに気付いた。

「あれ?闇慈は?」

「・・・闇慈先輩?」

二人はあたりを見回してみたが闇慈の姿が無かった・・・

「まさか!?巻き込まれたのか!?」

「・・・そんな」

『イッセー。小猫。どうしたの?』

ここでリアスからの通信が入った。小猫は涙顔だったので一誠が変わりに答えた。

『闇慈が逃げ遅れてました、部長』

『そんな!?闇慈は元は人間なのよ!?あんな雷撃を喰らえば一溜まりも無いわ!!』

「・・・闇慈先輩」

小猫が涙声になった瞬間グレイフィアからの戦況の放送が流れた。

『ライザー様の[ルーク]一名。[ポーン]一名。戦闘不能』

「あれ?今闇慈の名前入って無かったよな?」

「・・・はい。私もそう聞こえました」

闇慈はどうなったのだろうか?と二人は疑問に感じていたらしい

~~~~~~~~~~~~

「はあ・・・はあ・・・死ぬかと思った」

闇慈は両脇に抱えていたイルとネルを降ろした。闇慈は雷が落ちる瞬間、二人を抱きかかえ、足に魔力を溜め一瞬で外に飛び出たためリタイアすることにはならなかった。

「さてと・・・どうしてあんなことをしたのかな?」

「だって子ども扱いされたもん!!」

「私達はちゃんと謝ったのにお兄さんは私達に謝ってないよ!!」

「・・・なら二人は自分が子供じゃないって言い切れるのかな?」

そういうと二人は黙ってしまった。それどころか泣き顔になっていった。

「私達はいつも子ども扱いされて・・・」

「今回のゲームでも力がないからサクリファイスの駒扱いだったし・・・」

「ちょっと待って?サクリファイスってどういう事?・・・もしかして君達は『囮役』だったの?」

そう言うと二人は軽く頷いた。ライザーはリアスより駒も揃えているため多少の犠牲を払ってでも倒そうとして、ポーンの中で唯一力の無いイルとネルとミラを文字通り、犠牲(サクリファイス)の駒にしたらしい。このことを聞いた闇慈はますますライザーを許せなくなっていった。

(決定だね・・・ライザーは何があっても倒す!!)

(同感だな。目的のために易々と下僕を犠牲に出来る奴は我も見過ごすわけにはいかんな・・・)

「教えてくれてありがとう、イルちゃん。ネルちゃん。それからさっきは子供扱いしてごめんね?君達は時が経てば魅力的な女性になると思うよ?」

「「本当?」」

「うん」

そして闇慈が一誠達の元に行こう立ち上がるとグレイフィアからの放送が入った。

『リアス様の[ルーク]一名。戦闘不能』

「えっ!?小猫ちゃんが・・・やられた!?」

闇慈には信じられないことだった。そしてそのことに対する怒りが込み上げてきた。

「ごめんね?仲間がやられたみたいだから、もう行くね?」

「でもまだ私達リタイアしてないよ?」

「僕は敵意の無い人と戦いたくはないからね・・・じゃあ」

闇慈はそのまま駆けていった。

「何だか不思議な人だったね?ネル」

「うん。優しかったり怖かったり。どっちが本物のお兄さんか分からなかったよ。でも・・・」

「「カッコ良かった///」」

イルとネルはそう呟いていた。
 
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