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髑髏天使

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第五話 襲来その三


「これでね。射抜いてあげるよ」
「弓か」
「そうさ。僕は弓が大好きでね」
 言いながらまた背中の羽根に手をやる。すると今度はその羽根が矢になるのだった。
「闘いもこうしてやるんだ。いつもね」
 話していると周りの烏達が騒ぎだす。彼はその烏達に対して声をかけた。
「慌てることはないよ、見ているだけでいいから」
 友人にかける言葉そのものの優しい言葉であった。
「君達に迷惑はかけないからね。だから」
 烏達は彼の言葉に頷いた。そうして静かに彼の上にあがり羽ばたきつつ闘いを見守りだした。とりあえず彼等の介入はないことがわかった。髑髏天使はそれを見つつまた烏男に対して声をかけた。
「友人か」
「そうだよ、皆僕の親友さ」
 言葉を微笑まさせつつ彼の言葉に答えてみせてきた。
「皆ね。友達さ」
「烏がか」
「僕は烏だからね」
 人ではないとまで言い切ってきた。
「当然じゃないか。違うかい?」
「確かにその通りだ。少なくとも人間ではないな」
「まあね。それじゃあ」
 こうした話の後で弓矢を構えてきた。
「いいかな、再開させて」
「何時でもいい」
 上を見上げつつ烏男の言葉に返した。
「立ち向かってやる。それだけだ」
「じゃあ。行くよ」
 その言葉と共に弓矢を放ってきた。それは続け様に何本も何本も放たれる。凄まじい速さと唸り声をあげて髑髏天使に襲い掛かるのだった。
 髑髏天使は右手の剣でその矢を叩き落していく。だがそれでも弓矢は次々と放たれ減ることはない。まるで尽きることがないようだった。
「やるね。やっぱり」
 烏男は彼が弓矢を完全に叩き落しているのを見て言ってきた。言いながらもまだ弓矢を放ち続けている。その速度もかなりのものだ。
「今まで四人も倒しているわけじゃないね」
「倒さなければ生きることができない」
 髑髏天使は話すその間も弓矢を落としていく。防戦一方であると言えたがそれでも負けてはいなかった。
「決してな」
「そうだね。それが髑髏天使だからね」
「貴様等を倒すことがな」
「それは知っているよ。けれどね」
「けれどね。何だ?」
「どうやって僕を倒すんだい?」
 楽しそうに笑いながら髑髏天使に問うてきた。
「今どうやって。この僕を」
「倒せないというのか」
「そうじゃない。僕は空にいる」
 まずは彼の位置を述べてきた。
「そして君はそこだよね。それでどうやって僕を倒すんだい?」
「方法はある」
 だが髑髏天使は落ち着いた声で返したのだった。
「方法はな」
「あるんだ」
「そうだ。こうする」
 ここで彼は足を踏ん張った。そうして思いきり跳躍してきた。
「なっ!?」
「ふむ、やはりな」
 跳躍しながらも弓矢を叩き落していく。だがその弓矢が突如として止まった。彼の思いも寄らぬ行動に烏男はその弓矢を止めてしまったからである。 
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