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ソードアート・オンライン~豪運を持つ男~

作者:
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百分の一   その一

 
前書き
すいません、最近いろいろと忙しくて更新が遅れました。
言い訳なのはわかっとりますが、どうかお許しくだせえ!!
とそんなかんだでついに第一層攻略編、始まります!!
 

 
あれから俺達はひとまず落ち着き、街の宿に向けて歩き出した。
 それからひとまず俺達は今後のことを話さなければいけないので、歩きながらとりあえず無難に
「そういえば、これからどうする?」
と俺は言った。

 どうやらキリトはそこら辺をちゃんと考えていてくれたみたいで、
「まあ現状は地道にレベル上げかな。どのみちボスを倒すのもある程度は強くないと無理だからな。」
と答えてくれた。


 そこら辺は俺も考えていたので「だな。」と同意した。



 そうしているうちに宿に着いた。
 最初の階層だから贅沢はいえないので、普通ぐらいのとこに泊まることにした。
 受付のNPCに案内してもらい、部屋についた瞬間俺たちは同時にベッドにルパンダイブを決め込んだ。

「プッ!?」 「プハッ!?」

 そして二人して顔を見合わせた後、二人とも大笑いした。
 だってなあ?やっぱ疲れたら自然とそうなるよな?
 とどうでもいいことを考えつつ、しばらくごろごろしていた。




 
 といっても俺達は、結果的に今日のリトルネペント狩りで3,4ぐらいレベルが上がった。戦闘中だったのでステータスポイントが触れなかった分、溜まっているステータスポイントも分配しなくてはならない。
 そういえば・・・・・
「なあキリト、なんかお勧めのスキルとかあるか?」
と聞いてみる。

 キリトは《《元βテスター》》だ。だから最初のうちに役に立つスキルなどを知っていると俺は推測した。

 案の定・・・・、
「それだったら索敵がオススメかな。最初はもちろん終盤でも大いに使えると思うよ。」
とアドバイスしてくれた。

 俺は迷わず空いてるスキル欄に《《索敵》》を入れた。




 ステータスポイントも丁度振り終わったので、俺はキリトに
「とりあえず俺は疲れたからもう寝るわ。」
といって布団にくるまった。

 今日は初日で色々なことがありすぎた。おかげですっげえ疲れた!!
 キリトも察してくれたらしく、「じゃあ俺も寝るかな。」といって部屋を出て行った。
 
 そして俺は、そのまま深い眠りに落ちていった・・・。







SIDE out






SIDE Zin



 どうやらここに来る前のことを思い出していたらしい・・・。
 とにかく頭を切り替え、キリトに
「それで今日は、どうするんだ?」
と聞いた。

 キリトは一瞬驚いた顔をした後、呆れたように
「どうって、今日はようやく第一層のボスを討伐する日じゃんかよ!?」
という。

 そういえばそんな日だったような気がする。というか・・・・・・・。



「やべえ、俺準備全くしてねえ!?」
 そうすっかり忘れていたが、今日はやっと第一階の攻略が行なわれる日なのだ。
 といっても忘れていたため、当然回復用のアイテム等も十分に有るはずもなく・・・


「取り敢えず今からばたばた急いで揃えてくるから、わりぃけど先に行っといてや!!」


とだけ言い、急いで装備等を整える。それはもう凄い勢いで・・。



 あらかた準備が終わると、キリトも席を立ち上がり一緒に出口へと向かう。

 宿の前まで降りてきたとき、ふとキリトにお礼を言ってないことに気づき慌てて呼び止める。

「キリト!!」

「何だよ、早く行かなくていいのか?」
キリトは案の定そう言ってきた。
「まぁそうだけどさ、教えてくれてありがとな!」

 俺はそれだけ言い、慌てて商店街に駆け出した。

 やっべー間に合うかなこりゃ?






SIDE OUT






* * *


SIDE Kirito






「全く・・・。」
俺はそう言いながら、商店街に走っていく相棒を眺めた。
 呆れてさえはいるが、顔は自然と緩んでしまう。


 普段は料理等を面倒見て貰い、しっかりしたイメージが強いが、いつも肝心なところで抜けていて、危なっかしい反面見ていて微笑ましい。

 それにしても・・・、
「あいかわらず変な所で律義だなぁ」
思わず笑いと共にそんな言葉が零れる。


 何かとこういう時に礼がすぐゆえるって凄いと思う。自分はまず無理だ、きっとリアルでもそうなのだろう。
 そんな事をしみじみと思いながら、空を見上げる。
 真っ青な空に、夏を思わせるような入道雲が辺りをところどころ覆っていた。
 季節はもう冬なのに、雲から零れた日差しはまだ夏を思わせるように暑い。

 そんな空を眺めながら、俺はあの正式サービス開始初日の事を思い出していた。



 いくら自分達をMPKしようとしたにしろ、目の前で人が死んだのだ。何も思わない訳がない。それがたった数時間だけど一緒に闘った相手なら尚更だ。

「もうお前みたいな犠牲は絶対出さない」
俺は空に向かって自然とそう呟いた。



 今日のボス攻略も、安全マージンどころかまだ戦いに慣れていないのが殆どだろう。
 そんな事じゃあ絶対に死者が間違いなくでる。



 もう、俺の目の前で人を死なせない。


 
 もう一度、自分に言い聞かせるようにそう呟くと、待ち合わせの集合場所に急いで向かった。
 あの時の、コペルの時に守れなかった誓いを、今護るために・・・・






SIDE OUT



* * *





 二〇二二年一二月

 茅場 晶彦のSAO(デスゲーム)のチュートリアルから一ヶ月が経ち、死者は二千人と増えていた。
 死因は主にモンスターとのやこのアインクラッド外壁からの投身自殺等だ。

 この一ヶ月の間では、始まりの街で外部からの救援を待っていた人達は外部からの音沙汰無しに外部からの救援はありえないと
理解してから大きなパニックが起きたらしい。それから自身の方針を決めるまで、更に数日の時間を要していたそうだ。

 そんな混沌の一ヶ月の中、自分の命を賭けて攻略を進めた少数派のプレイヤーがここ、第一層の街《トールバーナ》を出て迷宮区前に集まっていた。


「なあ、キリトよぉ~ぅ第一層のボスってどんな奴なんだ!?」


 若干テンションが高めそういうのは、赤みがかかった髪をバンダナで逆立てた野武士ヅラのおっさん(クライン)だ「おい!?」どうしたいきなり!

「今お前おっさんと書いてクラインとよまなかったか!?」チッ、あざといやつだ
「今舌打ちしたよね、ねぇなんで俺風当たり悪いの!?」

 こんな顔だが、「顔は関係ねぇ!?」一応《風林火山》というギルドのリーダーだ。
 はいはいと適当にクラインをなだめつつ、集まった人達を見渡す。何かクラインが「ひでぇ!?」とかぬかしているがこの際おいておく。

 見る限り結構な人数が集まった。こんな危険を犯してまでこんだけ来るんだから、こいつらみんな本当にどうかしてる。
 俺だって、キリトがいなかったらとっくにこんな死亡フラグビンビンの所逃げだしたいくらいなのに・・・・。

「余裕じゃねーかクラインよぉー。油断してると足元すくわれて死んじまうぞ」

 そんな軽口を皮肉で返したのが、こいつさえいなければ逃げ出す張本人のキリトだ。
どうやら聞いた話じゃあ、この二人はこの世界の始まった時からのつき合いらしい。

「どうせクラインの事だから、いまだ見ぬ強敵(ボス)にテンション上がってんだろ」

「お、ジンはわかってんじゃんか!」

「まあ大抵そのパターンのやつは、いざ敵に向かって行くときにヒビって逃げだり恐怖で足がすくんじまうのがラノベ何かで良くある話だけどな」

「うぐっ・・・・だ、だいじょうぶさたぶん!心配すんな!」

「ホントか~?マジ頼むぞ~?!」

 だんだんビビりだしたクラインを、《風林火山》のメンバーが指をさして笑っているのを見てキリトと一緒に茶化しながら、今日の事を考えていた。

 多分周りのメンバーの殆どが、今回攻略を促したディアベルという男の呼び掛けで約40人近いプレイヤーが集まったと思う。
 それがソロプレイかパーティかの差はあるが、それにしても随分集まったもんだ。
 

 まあそれも大方キリトみたいな元βテスターか、俺やクラインみたいな腹くくった一般プレイヤー(ニュービー)が殆どだろうが。



「ん・・・・・・?」


 ふと、そんな時、1人のプレイヤーに目が止まった。
 そのプレイヤーは薄いオレンジ色の髪をサイドポニーに纏め、まだ幼い顔立ちながらも背中に
吊してある外見に似合わないごっつい大鎌が、なんともいえないオーラをはなっている。
 ちなみに余談だが、チュートリアルでキャラアバターから現実の顔になったことによって、このゲームが始まった時から男女比が大きく
男のほうに傾いた為にあんな女性を見たことはなかった。


 でもこんなところに来るなんて度胸があるというか、無謀だというか・・・
 ていうかあんなでかい大鎌すぐ抜けるのか?みた感じそんなにSTR値ありそうじゃないけど・・・って!?


 どうやらあちらもこちらの視線に気付いたらしく、こちらに向かってきた。




* * *


SIDE Zin





「なに、人の事じろじろみて何か用?」

「いや、用というか・・・・。こんな所に君みたいな人が来るとは少し意外だったからね」

「何よ、意外ってどういう事!?」

「君みたいな綺麗な人が、こんな所にくるなんて・・・ね?」

「そこで何でわいに振るんや、ジンはん!?」

 と、たまたま隣にいたキバオウに話を振る。

 このエセ関西弁の男はキバオウと言って、何か喋り方が面白くて「何でや!?」・・・面白くて「何で言い直したんや!?」フレンド登録したやつだ。
 取り敢えず当て馬(キバオウ)は置いといて「何でや!?」・・・

 先程の話に戻ろうとすると、女の子が顔を真っ赤にしてこっちを睨んでいた。
 どうでもいいことだけど、このゲームの顔の喜怒哀楽の表現ちょっとオーバーすぎないか?耳まで真っ赤だぞ?この娘。
 そんなかんだで只今絶賛睨まれていると、
「・・・・おぉーぃ、待ってよー!」
という声が後ろから聞こえる。

 その声に少女のほうが反応して、なにやら渋い顔をしている。
 俺は取り敢えず後ろを向き、声の主を見る。



 ・・・・うん、気持ち悪かった。何かぽっちゃりしたおっさん達がにやけ顔で迫ってくる姿は、例え自分に向かってきていなくても怖いものがある。

 そんな中、そいつらはこちらにやってきて少女に話し掛ける。
「それで僕達とパーティ組もうよ!今回ボスは一人じゃあ危険だろうしさ!」

「だから何回も同じ事を言わせないでください!貴方達とパーティを組むつもりはありません!何度言えば判るんですか?」

「そんなこといわれても危険だから僕達が守ってあげるよ!」

 ・・・・どうやら話を聞く限り、付きまとわれて困っているらしい。
 そりゃあこんな所に女の子一人というのも危険だけど、この子の意思ぐらい尊重しろよ。

 まあ取り敢えず、見て見ぬふりをするのも寝覚めが悪いので何とかするか。と、そう思いつつそこのおっさん共に話し掛ける。

「わりぃなおっさん達。そこの娘は俺達と組むことになったからわりぃけど早くどっかいってくんね?」

「は?何を言ってるん『いいからさっさ消えろ』」

 俺はそういいつつおっさん共に鞘から片手剣を少し抜き、全力で相手を睨んだ。



 相手はビビったらしく、まだ諦めてはないだろうがしぶしぶ去っていった。
 俺はそのまま踵を返し、キリト達の所に戻ろうとしていると後ろから「待って!!」と声が聞こえてきた。

「どういうつもりなの・・・?」

「ああ、ごめん。俺には君があいつらにしつこく追いまわされているように見えたからさ。
まあ見て見ぬふりをするのも嫌だったからどっかにやったけど、もしかして迷惑だった?」

「いや、そのことについては助かったし別にいいんだけど・・・・」
と言いながらもこちらをちらちら見てくる。

「うん?どうした?」

「いや、あのパーティ申請の件については・・・」

「ああ、あれはその場の成り行きで言ったことだから気にしなくてもいいよ。
まあ君も女の子だから一人っていうのも危なっかしいけどね」

「そうですか・・・・・」
と少し落ち込んでしまった。そしてなにやら考えた後にこちらに向き直り、

「じゃあ私とパーティ組んで貰っても良いですか?」
とそういってきた。



 そんなときにちょうどキリト達がこちらにきた。

「お~いジン何やってんだ?」

「おぅキリトか。いや、ちょっとな・・」

「ちょっとって・・・・あれ?そっちの女の子はどうした?」

「いや成り行きで助けたらパーティに誘われたんだけど・・・」 チラッ



「もしかして、嫌・・・ですか・・?」 ウルウル



「・・・・・・行ってこいよ。」

「キリト・・・?」

「今回は俺もパーティ出来ちまったし、どっちにしろ無理だ。それに女の子なんだししっかり守ってやんないとな」
と言い、笑って俺の背中をばんばん叩く。

 ・・・・・・そうだよな。こんな世界だからこそ、俺は変わんなくちゃあいけねぇ。
 そう思い、俺はその子に
「勿論、こちらこそ宜しくな!!」
と笑顔で手を差し延べた。

 少女は一瞬きょとんとした顔になり、そしてすぐに
「はい!!こちらこそ宜しくお願いします!」
と、満面の笑みをこちらに返した。


 その後に、ふと少女が、
「そういえば何て呼べばいいんですか?」
と訊いてきた。

「ああ、すまない。そういえば自己紹介がまだだったな。ジンだ、改めて宜しくな」
と俺が笑顔で答えると、少女は頬を薄く朱に染めながら、

「サヤです!これから宜しくお願いします!」
とかえしてくれた。







SIDE OUT






 ――この出会いが、この時に下した決断が、後々に原作を大きくかえることになるということをまだこの時は誰も知るよしもなかった。 
 

 
後書き
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