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FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-

作者:joker@k
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第十一話 記憶の日々の傍らで

 
前書き
オラオラオラ!更新!更新!更新だぁああああ!! 

 

 趣味は何かと街頭インタビューをされたとき、俺は戦闘という言葉しか思い浮かばなかった。あのインタビューが一体何だったのか分からなかったが自身を見つめ直すという点においてはそれが切っ掛けだっただろう。

 この世界に来て牢屋を脱出し、ギルドへ入り、依頼に慣れるまでに二年は費やした。大体が依頼に費やされていたが。いくら戦闘が好きとはいえ、さすがにそればかりというのも自分でもどうかと思い様々なお酒にも手をだした。いやそれも美味しく、酒も料理によっては拘りを持てるようになったのだが他にも何か趣味と呼べるモノが欲しいと感じ始め出会ったのが映画ラクリマだ。

 映画ラクリマと呼ばれているモノがあり簡単に言えば映画が見られる、DVDのようなものだ。ただ映像が飛び出すので前世の時よりもハイテクな感じがする。これを摘みに最近は酒を飲みながら見ることがマイブームだ。

 最近親しくなった友人もよく映画を一緒に見たりする。趣味を広げると交友関係も広がるものだ。魔導二輪というバイクのようなモノも捨てがたかったが、中々に高値で少し詳しく調べてから購入の検討をしようと思っている。

 そんな買い物の帰り道、ギルドの前でグレイとナツとエルザが騒いでいる。まだ少し距離はあったのだが大声で騒いでいたためすぐに声がこちらまで届いた。どうやら、エルザのケーキを二人が食べたらしい。ああいう姿を見るとまだまだ子供だなとつくづく思う。

 そんな三人を生暖かい目で見ていたが、すぐに視線を感じた。正確にはあの騒いでいる三人に向けている視線だ。DBを使いすぐに隠れて視線を向けている奴を探し当てようと思ったがマヌケなことにDBを使わなくても隠れている場所からそいつらの頭がはみ出ている。どんなマヌケ達だと思い、よく見てみるとあれは……。


 どういうことだ? 金髪の女性とネコのような羽の生えた生き物はわからないが残りの三人が問題だ。ナツ、グレイ、エルザに良く似た三人だった。まるでそのまま成長したかのような姿。姉や兄という可能性もあったが、それにしてもあまりに似通っている。
 まさか時間逆行か? しかし時間操作などそうそう出来るものでもなさそうだが、魔法にはそれほど詳しくはないのでわからない。しかしもし仮に時間操作の類なら今の現状も納得が出来るというものだ。

 そもそも、何故隠れる必要があるのか。つまりタイムパラドックスを危惧してのことだろう。恐らく何か過去に重要な用件がある、またはしなければならないことがある。それ以外にもいろいろ予想はできるが、あの隠れながらもほのぼのとした空気感からも大変な事が起こっているとはあまり想像できない。

 つまり……放置でいいか。いや、でも挨拶ぐらいしとくか。
 タイムパラドックスも俺に見つかってる時点でどうしようもないだろう。もしかしたら、俺に見つかることは既定事項かもしれない。何より面白そうだ。一先ず俺は子供組みの元へと駆けつけたが、騒動は収まっておりとりあえずギルドの中でケーキ強奪事件について話合えと説得した。

 背後では俺が現れたことによってより隠れ方が雑になっている。特に大人エルザ?が物凄い勢いでこちらに来ようとしているのを金髪の女性が必死に止めている。やはり、時間関係に関わることなのだろう。
 しかし、こんな考え方が自然と出来るようになるとは俺もこの魔法世界に染まったなとしみじみと思う。前世では考えられない発想だ。子供組がギルドの中へ入っていったのを確認し俺は隠れている奴らに声を掛けた。

「子供三人は行ったぜ? そろそろ出て来いよ。俺に見つかってる時点で破綻してるだろ」

 何やら隠れている場所からゴニョゴニョと話声が聞えてくるが、少し経つと四人と一匹が現れた。大人グレイとナツらしき人物は懐かしそうに俺を見ている。ただ気になったのが金髪の女性だ。スタイルが良くこの中でもエルザを抑えていたあたり良心的存在なのだろうが、どうにもRAVEのヒロインと被って見えた。

 まさか、魔導精霊力(エーテリオン)持ちじゃないだろうな。だとすると俺の天敵だぞ……いずれわかることか。今の俺が知るべきではないな。金髪の女性を見ながら思案していると。目が血走った大人のエルザらしき人が俺を背後から抱きしめた。デカイな、いろんな意味で。良い香りもするし、俺も何か間違いを犯してしましそうになる。煩悩退散!

「十五歳の時のルシアか! 今見てみると何という可愛さだ!持ち帰りたい」

「駄目よ、エルザ! 置いてきなさい!」

 まるで捨て猫を飼いたいと駄々をこねる子供とそれに反対する母親のような会話をしている。俺をペット扱いするな。というより金髪の女性はモロにエルザと発言している、確定だな。ナツとグレイも俺をまじまじと見ながら今なら勝てるかもしれねぇと呟いているが、試してみるか?と挑戦的な態度で返そうとするも、エルザに抱きかかえられている現状では迫力にかける。

 俺は先ほど考えていた時間逆行について大人版エルザ達に話した。何故わかったのかと驚く大人達をほっといて更に言葉を続ける。ここでは俺は一切の協力をしないと明言した。ヘタに俺が介入すれば、それこそタイムパラドックスが起こりうる可能性が大きくなる。今の出来事は俺が黙っていれば済むことだしな。

 この程度では何ら未来への影響はないと信じて。頼むぞ、いやマジで。俺はそのまま大人エルザの頬擦りと抱きつきから何とか脱出しギルドの中へと入っていった。後はあいつらが何とかするだろう。俺の出る幕じゃない。


 ギルドへ入ると、相変わらず騒がしい。カウンターまで立ち寄りシャンパンを丸ごと一本買取り、映画を見るための席へと移動する。移動中、カナとレビィと呼ばれる小さな女の子が何やらボードゲームをしていたり、メロウに告白するんだとおっさんが決意を新たにしていたり、ミラがエルザのケーキを食べた真犯人ということが判明したりと席に移動するまでに様々な情報が入ってきた。

 俺が向かっている席はギルドの端っこにあり、ギルドの中では唯一と言っていいほど静かだ。まるで結界でも張られているかのように。実際それは比喩表現なのだが、周りがこれほど騒がしくその席一帯が静寂しているのを見るとあながち比喩でもない気がしてくる。

 その席とは小さなテーブルと二人掛けのソファーだ。そのソファーにはすでに最近親しくなった友人エバーグリーンが腰掛けていた。本を読みながら眼鏡を掛けている姿を見ると、どこかの秘書が務まりそうな雰囲気を醸し出している。と言ってもまだ十四歳なのだが。

「よう、エバ。相変わらず妖精関連の本を読んでるのか」

「えぇ、当たり前でしょ? ルシアは今日も映画?しょうがないから付き合ってあげるわ」

 妖艶に微笑みながら読んでいた本を閉じ、俺のために座り直してくれた。明らかに十四歳が出す色気ではない。脚を組み替え、どうぞと譲られた席にいつも通り座る。実はこのソファーはギルドに最初から存在してあった物ではない。俺とエバーグリーンが共に映画を見たり、本を読んだりするために一緒に買いに行った物だ。

 二人座るだけで多少窮屈になるソファーなので身体が密着する。その状態で俺の左腕をエバが抱き寄せ腕を組むのがいつもの映画を見るスタイルだ。今でもドキドキするのだが、勿論顔には出さない。こんな凶悪な面で真っ赤な顔をしても気持ち悪いことなど自覚している。小さなテーブルに映画ラクリマとシャンパンと二人分のグラスを置く。

「それで? この映画の内容は?」

「……妖精は出てくるから安心しろ」

「妖精が出てくれば何でもいいってものじゃないのよ? まぁいいけど」

 このエバーグリーンという女は妖精が異常なほど好きで、それだけで妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったほどだ。エバと知り合ったときはたまたま俺がギルドで妖精の物語の本を読んでいたとき声を掛けられた。

 妖精好きというのはその時知ったのだが、前世の妖精が出てくる童話など彼女に話しているうちに仲が深まった。俺以外とはまだギルドに仲間と言える人は居ないらしく、よく彼女が一人で居る所を見かける。そのため、依頼などにも一緒に行くようにもなった。

 エバは俺の金髪の悪魔という二つ名をあまりお気に召さないらしく、何かと新たな二つ名を俺に付けようとする。何でも悪魔は好かないのだとか。一度それでエバとミラが言い争っていたことがあったな。

 そんな思考をしている間に映画はどんどん進展を見せている。この映画の内容自体、妖精が主役ではなく脇役の内の一人なのだがエバは食い入るように見入っている。そんな映画を見ているエバを俺は魅入ってしまった。キリッとした眼つきに眼鏡が良く合い、整った顔立ちをしている。長い美脚には網タイツを履いており、見れば見るほど十四歳には見えない。エルザやミラ、カナとは違いどうもエバには年下と接するというより、同じ年として扱ってしまう。これは見た目だけの問題ではなく中身も落ち着いていることが原因だと思う。

「……ふぅ、中々良い映画だったわね」

「あ、あぁそうだな」

 ほとんど内容を覚えてない。あとで家で見返すとするか。俺はほとんど手をつけていなかったシャンパンを一気に飲み始めた。何か摘みでも持ってくればよかったな。空きっ腹の状態でシャンパンを多量に飲んだためか睡魔が襲ってくる。自然と頭がエバのほうへと寄りかかり夢の中へと誘われた。

 だが、この時俺は知らなかった。エバを含む四人の女の子達が壮絶な火花を散らしにらみ合っていたことを。そしてその様子を見ていたギルドの男性陣が俺につけた、新たな二つ名を。


――【モテキング】 俺は懸垂しながら告白はしないぞ



side out

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



side エバーグリーン




 このギルドに入った理由は妖精と名が付いていたから。そんな単純な理由で入ったこのギルドは名ばかりと言って良いほど騒がしかった。妖精が騒がしいはずないのに、いやこんな妖精もアリなのかもしれないが私には合わなかった。どちらにしろ私はギルドの人達との交流を避けた。いろんな人が私に声をかけてきたがその度に拒絶した。

 そんな時、眼つきの悪い男が私がいつも使っているテーブル席に座っていた。ため息をつき仕方がないから寮に戻りそこで読み直そうとしたが、男が読んでいる本のタイトルに目がいった。

 その本は私も大好きな妖精の物語。意外と顔に似合わず良い本を読んでいる。もしかしたら彼も妖精が好きなのかもしれないと思い、珍しく私は悪魔みたいな顔つきの男に話しかけた。すると彼は物語が好きで、いろいろな本を読んでいるのだという。

 妖精について詳しくは無いが妖精が登場する話を知っていた。今まで聞いたことがないような物語が彼の口から語られ、私はどんどんのめり込んでいった。気がつけば、彼との会話が何よりの楽しみになっていた。彼の口から語られる物語も好きだが、それ以上にただ何気ない会話が私には楽しく感じた。

 そんなギルドで唯一親しい彼の二つ名を聞いたとき、怒りが湧き起こってきた。
 【金髪の悪魔】これが彼の二つ名だという。これが原因でミラジェーンという女の子と壮絶なバトルへと進展したこともあった。どうやら彼女は魔人と呼ばれ、悪魔と呼ばれている彼と似通っている二つ名だから気に入っているらしい。
 冗談ではない。悪魔というのも嫌だが、この女がそれを誇らしげにしていることがムカついた。だからバトルに発展してギルドが半壊してしまったのは仕方がないことなのよ。


 それから月日は流れ、お互いルシアとエバと呼び合うようになった。依頼も今まであまり無理はできなかったがルシアと一緒に依頼にいけるようになり、大分楽になった。まぁ、それでもルシアと共に依頼に行きたがる人は多くその中でも私を含むある四人がよくルシアを誘う。

 いつしか私達はルシア争奪戦を始めていた。もちろん正式にそんな名前で争っていたわけではないがお互いの心の中では皆がそう思っていることだろう。何せルシアは強く、何より良い男だ。お子様たちにはまだ早いだろうが、色っぽくみせるためにいろいろと服装やら髪型もルシア好みにしたつもりだ。最近の私を見るルシアの視線を見てるとその努力が実ったのを実感している……結構嬉しいものね。その他の男からのそんな視線は気持ち悪いけど。

 そんなルシアが最近映画ラクリマというのに嵌ったらしい。ちゃんと妖精のキャラクターが出てくる作品を選んできてくれる辺り、優しいと思う。そんな時思いついたのが、二人掛けのソファーだ。たまにその映画ラクリマを見たさに他のギルドの人達が私とルシアの場所に椅子を持ってきて一緒に見ることがあったのだが、悪いけど二人きりの至福の時間を邪魔しないで欲しい。

 それを阻止するために二人掛けのソファーをルシアと買いに行った。デートも出来るし一石二鳥ね。ルシアと腕を組みながら歩く町並みはいつもと違って見えた。目的の二人掛けのソファーもしっかり購入した。ルシア一人でお金を出そうとしていたが、二人で使う物なので私も半分払った。当たり前のことよね?それに私が欲しいって言ったのだから、半分も払ってくれたルシアに感謝よね。

 そして今私はそのソファーで寝ている彼と寄り添いながら、敵意のある視線を感じてエルザとミラとカナに視線を返す。ただ睨み返すのではなく、余裕を持って優越感と幸せに浸りながらだが。やれやれ、女の戦いも大変ね。私は気持ち良さそうに寝ているルシアの頬に口付けをした。さて、睨みながら歩み寄ってくる女の子達との戦いはこれからね!

 
 

 
後書き
エバーグリーンはどの段階でギルドに入ったのかがまったくわからなかったのでメモリーデイズのときにレビィと一緒にぶち込みました。メモリーデイズを知らない人に説明すると、これは31巻でしたっけ?たぶんそのぐらいの巻についてきたOVA作品だったと思います。作者はこれを一度しか見たこと無かったので、この作品の傍らでの出来事を書きました。レビィは確かこのときにすでにギルドでカナと遊んでいたため登場させました。もう時系列とかわけわかんないです。

ちなみにエバーグリーンは原作で初めて出てきた時の髪型ではなく悪魔の心臓(グレモリアハート)が出てきたときの髪形です。理由は今回の話にあった通りルシア君の好みでこうなりました。

ヒロインはこの四人となります。エバはヒロインズの中でルシアに出会ったのが一番遅く、恋心を抱いたのが一番早いキャラです。 
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