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霧の向こうのハーレム

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ハーレム生活
  遭難

 
前書き
お約束は踏む予定 

 
 ただいま俺は森の中でアヤメと一緒に薬草を採っている。
 はずだった。

「どこだ、ここ。」

 はぐれちゃいました。
 おかしいな。さっきまで一緒にいたのに。
 すでに目的の薬草は手に入れた。だが、採取に集中しすぎたせいかはぐれてしまったらしい。

「どうしよ。」

 久しぶりに森の中で一人。前は心細いとかはなかったが今はなぜか淋しい。
 またクマとか出ねーよな?
 そう思った矢先、何かの足音が聞こえた。しかもこちらに向かってくる。
 速い。音は二つ。音的に体重は軽め。鳥?
 なんて冷静に分析してないでどうにかしろよ、俺。

「もきゅっ!」
「なっ。」

 飛び出してきたのはウサギだった。しかしウサギって「もきゅっ!」って鳴くか?
 だがそのウサギは俺の知っているウサギとは全く違った。第一にでかい。目測で体長60~70㎝くらいある。しかもこちらに向かって猛スピードで突っ込んでくる。
 そして・・・、

「もきゅっ!」
「お、俺を踏み台にしたぁ!?」

 何たる跳躍力か。身長172㎝の俺をヤツは軽々と飛び越え俺の額を踏んでさらに跳躍しどこかへ行った。
 だが俺への惨事は終わらず、謎の巨大ウサギに踏まれた勢いが残っており、俺は背中から地面に落ちた。

「ぐぅっ。」

 痛い。石がなかったからよかったものを。けどあのウサギどこから来たんだ?逃げるなら俺になんて向かってこないはず。

「え、あ、ど、どいてー。」
「んあっ?」

 転倒の衝撃でまだ目が白黒していた時に声が聞こえた。
 見れば理沙ではないか。しかも突っ込んで来る。というか飛んで来る。

「あわわわわw。」

 転倒状態から立ち直れていない俺に彼女を避ける術はなく、正面から彼女を受け止める羽目になった。

「あぐっ。」
「ごふっ。」

 見事に俺の上に落ちてきた理沙は、上がりかけていた俺の頭を再び地面に叩きつける。

「お、おおぉぉ・・・。」
「あうぅぅ~。」

 目は回るし呼吸がきつい。しかし目の前が真っ暗で何も見えない。

「理沙よ。どいt・・・。」
「く、くすぐったい。にゃぁっ!?」

 な、なんだ。退いてとも言えず、くすぐったいなんて。

「息掛けないでよ。ひゃぅっ。」

 息?それにしても顔が温かいし気持ちいい。そして重い。
 我慢ならん俺は有らんばかりの力で自分の上にいる理沙を退かす。

「あわわ、なに?あぎゅ。」
「ふうぅ。お前、なかなか重いな。」
「なによ、私が重いっていうの?これでも11貫よ。」

 11貫とはまた古い単位を。たしか1貫が3,75㎏だから41,25㎏?
 彼女は17歳だから日本の平均体重だと52,9㎏より10㎏も軽い。
 しかし「この島」では貫が使われているのか。

「そうかい。で、どうして飛んできた。」

 飛んで来た本人は悪戯っぽく舌を出してこういった。
 曰わくシロウーサなるウサギを追いかけていたらしいが追いかけるのに夢中になって飛んだという。

「狩りってことは鈴音もいるのか?」
「え~とね、居たんだけど、その、」
「その、なんだ?」

 理沙が唇をもごもごさせる。

「その、はぐれちゃった。」

 俺たちの遭難劇が始まった。
 
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