ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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そして10年後⑤
前書き
前回の時点でもうほとんどがいなくなった天下一武道会。
多分ブウ編の奴と同じかそれ以上に大会として成立していないと思う。
悟天は今日ほど人生最悪の日だと断言できる日はないと思った。
パンとの試合で審判がどこから知ったのか悟天がパンの叔父であることがバレてしまい、観客からは笑い声と共に“頑張れ叔父さん”コールをされてしまう。
「うるさいな!叔父さん言うな!!響きが何か嫌なんだよ!!」
これでもまだ10代なのだから悟天が観客席に向かって怒鳴るとパンが膨れながら言う。
「悟天君!ちゃんと構えてよっ!!」
「ええ…(本当にどうしよう…僕の予想じゃトランクス君に勝ってパレスちゃんに良いとこ見せるはずだったのに…パンちゃんに勝ったら大人気ないし…でも負けるのもなぁ…そうだ!紳士的に優しく格好良く場外に下ろせば…はっ!?)」
背中に突き刺さる視線を感じてそちらを見れば帰ってきた悟飯が悟天に意味深な笑みを浮かべながら見ていた。
「(悟天、パンに恥をかかせたら許さないからな)」
視線から何となく悟飯の言いたいことを理解した悟天は高いとこで見物してる兄を殴りたくなったが、必死に耐えた自分を褒めてやりたい気持ちになった。
「(面倒臭いな!あの兄貴は!!)」
自分は鈍っているのを理由に参加しなかった癖に。
この試合が終わったら全力疾走しながら悟飯を殴ろうと誓い、悟天は構えた。
こうなったら格好良い姿を見せてわざと負けた風を装おう。
これしかない。
「悟天君!早くやろうよ!」
「しょうがないなぁ」
実際にパンは悟空に鍛えられ、悟林からも基礎は教わっていたようだが、どれだけの実力かは知らない。
興味がないと言えば嘘になる。
「(でも流石に子供の頃の僕達程じゃないよね?)」
自分だってかつてはトランクスとのフュージョンありきだったとは言えあの魔人ブウと闘ったのだ。
いくらパンに才能があっても当時の自分達のような才能はないはずだ。
しかし悟天は忘れていた。
当時7歳だった自分が出来なかった舞空術をパンは赤ん坊時代から使えていたことを。
そして兄の威厳など欠片もなくても才能の化け物である悟飯の血を引いていることを。
「えいっ!!」
「いっ!?」
眼前に迫るパンの拳。
慌てて顔を逸らしてかわすとパンが驚く。
「凄ーい!簡単に避けられちゃった!」
「………」
油断していたとは言え、結構な速度の突きに悟天は驚く。
「(僕がパンちゃんくらいの頃、あんなパンチ出来たっけ?)」
昔の自分のことを思い出しながらも、悟天は再び構えた。
「(まあでも、どうにもならないわけでもないし。さあて、どうやって格好良く切り抜けるかだね)」
「行くよ~っ!」
パンのラッシュ攻撃に悟天は捌いていくが、このまま時間をかけると子供を苛めているように見えてくるので、悟天はわざとパンの攻撃を喰らって場外に行くしかないと決めた。
「(そろそろ…かな?)」
「えーい!!」
「ぶっ!?」
パンの全力の平手打ちを喰らった悟天。
思っていたよりダメージはあったが、悟天は後退しながら大袈裟に言う。
「う、うわー!や、やられたー!!」
場外に落ちた悟天。
わざとらしいが、場外は場外である。
パンの勝利であったが、パンはどうやら納得していないようだ。
「悟天君わざと負けたでしょ!ちゃんとやってよー!!」
「勘弁してよパンちゃーん、家に帰ったらパンちゃんの気が済むまで付き合ってあげるから」
「本当!?約束だよ!!」
パンの無邪気な声に悟天が指で○を作る。
観客席からも“叔父さんお疲れ”などの労いと共に拍手が送られた。
「だから叔父さんって言うなー!!」
「お疲れ」
「はあ、疲れたよ。トランクス君も程々にね」
「おう、分かったよ叔父さん」
「叔父さん言うな!!」
「ト、トランクス君。手加減を頼むよ…?」
何時の間にかいたサタンがトランクスに手加減を頼むが、トランクスは苦笑した。
「大丈夫ですよ。心配しないで下さい」
審判がパンに休憩は必要かと尋ねているが、必要ないとのことでパンとトランクスの試合が始まった。
「行くよトランクス君!!」
「勿論、何時でも良いよ!!」
「たあっ!」
パンは足に力を入れて一気に突っ込むと蹴りを放ってきた。
トランクスは両腕を交差させることで受け止め、パンの猛攻を的確に受け止めて捌いていく。
「やっぱり悟空さんのお孫さんってことかな?パンちゃんと同じくらいだった俺と悟天より強いかもね」
「ホントに!?」
「うん(悟林さんもだけどサイヤ人って女の子でも結構強くなるんだよな…もしかしたらブラもこうなるのか?いや、でも機械弄りやお洒落に夢中だし、ブラが強くなることはないかな…)」
祖父母から聞く限り性格も母親に近いようだし、格闘技に興味を持つことは余程のことがない限りはないだろう。
「(これからはもう少しトレーニングをした方が良いかな。流石に妹と同じくらいの女の子に負けたら格好つかないし)」
ベジータや悟林との手合わせに比べればトランクスにとって寧ろ丁度良いくらいの強さだったが、このまま成長すればどこまで強くなるのか。
悟飯も一応超サイヤ人にならずとも勘を取り戻しさえすれば圧倒的な潜在能力で強くなれるのだし。
「あっ!!ごめんパンちゃん、急な用事を思い出しちゃって、そろそろ俺も帰らないといけないんだ。悪いけど今日はここまでね」
「えー!?」
不完全燃焼なパンが膨れるが、トランクスは苦笑する。
「この埋め合わせは必ずするから」
それだけ言うとトランクスは場外に出て、悟林と目を合わせると悟林は苦笑した。
「お疲れ」
「はは、流石にパンちゃんに攻撃なんて出来ないし、悟飯さんが後で怖いし」
「大丈夫、悟飯が絡んできたら私があの世行きにするから。私、元神様のピッコロさんの弟子で地獄の悪人を倒したりしてるからあの世でも結構顔広いんだ。ふざけた真似したら何時でも悟飯を地獄行きにしてあげる」
「………」
一応双子の弟を容赦なく地獄送りにすることに少し恐怖を覚えたが、自分のための発言なので流すトランクスであった。
そして最後の試合はサタンとパンになるのだが、実力はともかく孫のパンを溺愛しているサタンが闘うことなど出来るわけがないので棄権してしまう。
「だ、駄目だ!いくら試合とは言えパンちゃんに手を上げるなんて出来ん!私は棄権するっ!!」
観客達は天下無敵のサタンでも孫には勝てないと判断したのか、ほのぼのとした空気で大会は終わった。
「あはは、もうほとんど大会になってませんでしたね」
「まあ、孫君達がいなくなった時点で薄々感じてたけどね。もうほとんどの選手が身内だし」
ブルマもこうなることを予想していたらしく、トランクスと悟林が並んで飛び去っていく姿を見て豪快に笑った。
「兄ちゃーん」
「ん?どうした悟天」
「どうしたじゃないでしょ!こんにゃろーーーっ!!」
因みに面倒臭い兄貴こと悟飯は悟天に全力疾走しながら殴られた。
パレスは悟林との試合を観たことで好感度が上がったが、悟飯への怒りは鎮火していなかったのである。
後書き
原作天下一武道会終了です。
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