『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師
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終着(ドリアン・グレイ編)
「見て♪見てぇ♪」
「紅葉ぃ、綺麗だよ♪」
「そうだねぇ♪」
傍らでキャッキャと笑う双子の姉妹と話していると、自分の今置かれている状況も忘れてつい嬉しくなってしまう。
追手が、そこまで迫ってるかもしれないのに……
ここは、都内の河川沿いにある公園。
秋の陽射しがやわらかく降り注ぐ広々とした敷地内には、色とりどりの紅葉が、見事に秋の風情を感じさせていた。
木々は燃えるような赤や黄金色に染まり、落ち葉が風に舞って地面を彩る。
散歩道沿いにはベンチや小さな橋が点在し、訪れる人達は皆、私達のように紅葉狩りを楽しみながら穏やかな時間を過ごしていた。
「ねぇ、言った通りでしょ。お姉ちゃん」
「ここは、秋になると紅葉で全部真っ赤になるんだよぉ♪」
「本当だねぇ♪お姉ちゃんも、びっくりしたよ!」
この2人の姉妹に初めて会ったのは、大体一月前。
休日にを利用して、散策してる最中に仲良く花を摘んでる2人に話し掛けたのが切っ掛けだった。
小学1年生で、家が近所だから学校が終わると良く此処に来るんだそう。
一卵性双生児らしく、顔ではどっちがどっちか区別出来ないけど、いつも始めに話し掛けるのが姉で、それに付いて来るのが妹。2人共とても良い子でここで会う時は、いつも “はち切れん” ばかりの笑顔を向けてくれる。
勤め先の高校では、正体がバレるかとしれないと言う不安から、必要以上に人と接しないようにしていた私にとって、何の疑いも向けずに接してくれるこの姉妹は、とても大切な存在であって、私の心のオアシスでもあった。
だから、今日はここへ来た。そして、今日で “最後” にしなくてはならない……
◇◇◇
《数時間後》
「ごめんね……遠くに行かなきゃいけないの」
私がそう告げると、2人はぽつりと黙り込んだ。妹の方が寂しそうに私の手を握ると、胸が少し苦しくなった。
それだけ、この子たちと過ごした時間が、私にとってどれだけ大切だったと言うことだろう……
でも、もうここに長くいるのは危険だ。だから、私はゆっくりとその手を離そうと……
「また、会ってあげればいいでしょ?そんな、意地悪言わないで」
「「「!?」」」
突然、後ろから聞こえて来た聞き覚えのある声……自分と全く同じ………いや、私が彼女と同じになるのかな?
でも……どうして、彼女がここに?
「……………………」
「あっ……」
「同じ顔……」
不自然な体勢で振り向いたまま、声の出なくなってる私の代わりに2人が驚いたような反応をする。
「解った!」
「お姉ちゃん達も、私達と同じ双子!?」
「そう♪私は、このお姉ちゃんのお姉さん!よろしくね♪」
「緑……さん」
「緑は、あんたでしょ?私は、橙とでも改名しようかしら……?」
「い、いや………」
「と・に・か・く!遠くに行くのは無しっ!だから、あんた達も泣かなくて平気よ」
「あ、その…………」
◇◇◇
「私……子供、苦手なのよね。煩いし……纏わりついて来るし………この辺も、あんたと真逆ね」
「あの……どうして?」
煙草を吹かしながら呟く彼女に私は、恐る恐る質問した。
あの場を彼女に押し切られるようにして、あの2人と別れた(また、遊ぶ約束をさせられた)後、私達は公園のベンチに並んで座っている。
「そんな、キョロキョロしなくても大丈夫よ。本当に私しか居ないから」
「は、はぁ……」
「あんたの正体を見破った奴………『横島』だっけ?あいつが私を絵から出してくれたのよ……」
「!!?」
その名を聞いて、思わず体が震える。日が浅いと言うのもあるけど、あの日の出来事は私にとって相当なトラウマになりつつあった。
「怯えないで、居ないって言ったでしょ?それに、私も別にあんたを恨んでないわ」
「でも、私はあなたを__」
「燃やさないでくれたでしょ?それと、あんたの日記を読んだわ」
「!?」
「あんたが、私の事でどれだけ悩んでたかを知ったし……そもそも、あんたを生み出したのは私だもんね。お相子よ」
「……
……どうして、ここが?」
まだ、釈然とはしなかったけど私は質問を変えた。とにかく、今の状況が良くわからない。
「それも日記に書いてあったわ」
「えっ……!?」
…………そうかしら?
今日、ここへ来るなんて書いた覚えはないんだけど……ただ、訝しむ私の顔で察したのか更に彼女が続ける。
「そりゃ、ハッキリとは書かれてなかったけど、こう書いてたでしょ?「双子の姉に、ここの紅葉は綺麗と言われた」とか、「双子の妹に、また遊ぼうと言われた」とか……」
「…………そう言えば、そんなことも……あの…………それだけで、今日ここに来るって、解るものなんですか?」
そう聞くと、彼女は苦笑いを浮かべながら自嘲的に語りだした。
「勿論、そこまでは解らないわ。「通勤の途中にある公園」って書いてあったから、多分場所はここで合ってると踏んだけど、後は殆ど想像よ(想像したのは、ジジィだけど)……あんたの性格なら、紅葉の綺麗になる頃にここであの2人に会うんじゃないかってね」
「それって………」
殆ど、勘……当てずっぽうじゃない…………それに、何か途中で小さい声で喋った?
「…………他にそれらしい情報がなかったんだから(何が、情報ないなら想像しろよ。偉そうに)、仕方ないでしょ?それに、実際こうして会えたんだから結果オーライよ」
「………………」
また、途中で何かブツブツ言ってた?
とにかく、バツの悪そうに答える彼女に今度は、私が苦笑するしかなかった。
そして、その場に流れる何だか気不味い空気……
「……どうする積りだったの?」
「解りません………とにかく、人目を避けて生き続けるしかないと思っています」
「あの娘達との約束は、どうするのよ?」
「そ、それは……」
「戻って来れば、いいじゃない?」
「は……?戻る?あ、あなたの元にですか?」
この人は、何言ってるの?
「他に無いでしょ?私の顔してんだから……それにね」
「それに……?」
「学校に行ってから、2週間……やり辛いったら、仕方ないのよ。あんた、教師にも生徒にもやたら評判良かったから、それに合わせるのがもう大変で、大変で………」
「はぁ……」
評判良かったの?正体がバレないように、必死だっただけなんだけど……
「だからさ……もし、私に対して悪いと思ってるなら、今後も私の代わりに学校に行ってよ。そろそろ、ボロが出そうでヤバいのよ」
「あの……いいんですか?GS達が黙っていないんじゃ?」
「大丈夫よ。あの横島も「絵の具が回収出来れば、それ以上は何もしません」って言ってたし、問題無いわ。それに、便利じゃん!」
「便利……?」
そう聞くと彼女は、急にニカッと笑う。
「そうっ!腐れ仕事は、あんたに任せて私は絵の修業に専念出来る。あんたが居れば、私は働かないで自分の好きな事が出来るのよ!これを手放す理由なんて、ないじゃん♪」
「…………そ、そんな理由で?」
それに、腐れ仕事って……何で教員になったの?
「それとさぁ〜……」
「ま…まだ、何かあるんですか?」
「消さないでくれた事とは別に……あんたには感謝してんのよ」
「?」
「私……自分の絵が認められないのは、周りの連中に見る目がないと思ってたのよ。私の記憶があるんだから、知ってるでしょ?先生達には、いつも「君の技術は凄いが、感じる物が無い」って、言われ続けてた……」
「ええ……」
「その度に悔しく、悔しくて……いつか見返してやろうって意地になって………そうして、自分を見失って行ったわ」
「……………………」
「でも、あの絵の具で自分を描いた事でハッキリ解った。私は、まだまだ未熟………私とは、全く違うあんたが生まれたんだから、もう言い訳なんて出来ないわね」
「………………」
そう言うと、彼女は再び私の方を向く。そして……
「…………あんたは、間違い無く私の画家としての転換点になる。だから……それを忘れない為にも、あんたにはずっと側に居てほしいのよ」
「緑さん……」
彼女の言葉が、胸の奥にじんわりと染み渡る。それと、同時に秋の柔らかな風が、私たちを優しく撫でた。
私は……「人」として、ここに居ていいのかもしれない………
後書き
原作のアレンジが著しい……
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