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『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師

作者:wood12
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後処理(魔族の依頼編)

 
前書き
取り敢えず完結です。 

 

 ゴゴゴゴゴッ……


「揺れた……?」


 それは、ガルザが死んでから数十分後の出来事だった。

 それまでガルザの統制を失って混乱する棘兵(連中)を順調に駆逐していた俺達だったが、ここに来て急に揺れ出した地面に俺は眉を顰める。

 これが、ただの地震なら別に何も思わなかったかもしれない。

 だが……何だ?この感じ。この違和感は………そう思っていると、俺の近くに居た氷雅さんが戸惑った様に呟く。


「霊気が……不安定になってる!?」
「不安定になってる?」


 そう聞き返すと、彼女は更に慌てたように続ける。


「あの装置ですわ。そこに大量の霊気が流れ込んで……このままじゃ、爆発します!」
「マジかよっ!?なら、爺さんに連絡とって__」
「いや、逃げる方が先だ!転移するぞ。もう、ヤバい……!」
「………………」←無骸


 彼女の言葉に驚いて、通信コンパクトを出そうとする雪之丞の言葉を俺は遮る。
 確かに意識してみると、半壊した神社の本殿から強烈な霊気の脈動を感じる。これじゃ、そう長くは保たないだろう。


「わかった……いや、ちょっと待て!」
「何だっ…?」

「ガルザの首!」
「早く、持って来い!」



 …………その後、神社周辺が消滅したのは、それから数分後だった。



    ◇◇◇


「それは……派手(・・)にやったな………」


 それが、話を聞き終えた(前回と同じく立ちっぱ……)ワルキューレの第一声だった。


「大尉さんよぉ…ありゃ、不可抗力って奴だぜ」
「右に同じです……」


 やれやれ…と言った感じで返す雪之丞に俺も同調する。あそこ(・・・)まで、責任なんか取れん……

 ここは、例によって俺達の事務所の2階。あれから、2日後に再びここを訪れたワルキューレに事の顛末を報告し終えた所だった。


 あの時、装置に異常を感じて慌てて脱出した俺達だったが、それが大爆発したのは逃げてから大体1〜2分くらい……もう少し、もたついてたら間違いなく無事じゃ済まなかったろう。それくらいの爆発だった。

 転移した先からは赤黒い光を見えただけだったが、翌朝に戻ってみると神社を中心に半径約30メートルは完全に更地。爆発で全て蒸発しちまったんだろう。
 そして、その衝撃波と思われる二次被害はそれ以上。廃村の約1/3程の木々が倒れ、廃屋はバラバラに倒壊。とんでもない大惨事だ。

 ……まぁ、爆発したのが山奥の廃村なんで、全く騒きならなかったのが不幸中の幸いだったな。


「フム……多分、その装置は誰かが常に管理調整してないと不安定になるタイプだったんだろう」
「なるほど………それを部下に管理させてたけど、親玉の制御が切れたせいで、管理が疎かになっちまったと?」

「あくまで、可能性だがな……本当に何も残ってないのか?」
「本当だよ。疑うなら、アンタ達の目で見るといい。装置も何もかも、全部吹っ飛んじまったぜ」


 ついでに言うなら、魔界並に滞留していた瘴気もあれで吹き飛んだ。完全と言うわけじゃないが、後は自然に消えるだろう。


「聞いただけだ。まぁ、確認はするがな。そして、そこにあるのが__」
「ガルザだよ」

「……何で、テーブルの上に?」
「別にいいだろ?それとも、あれか?死者には、もっと敬意を払えと?」


 ガルザの首……それは、今目の前にあるテーブル(普段ここで飯も食う)にワルキューレと正対するように鎮座している(勿論、敷物くらい敷いてる)。
 元が全長2メートル半ばもあるんで、首だけでもかなりデカい。バッファローみたいに伸びた角も含めると、もっとデカくなる(横50〜60センチ、高さ70〜80センチ)。

 ちなみに、持ち帰る時はブルーシートに包んで車のラゲッジスペース(トランク)に詰め込んだ。後ろの2人(無骸、冰織)は何も言わなかったが、余りいい気分じゃなかったろうな……


「いや、そうじゃなくて……まぁ、気にならないならいいか」
「こいつは、アンタの言ってた魔族で間違いないか?」

「ああ。情報とほぼ一致する。ガルザで間違いないだろう」
「そうか……」

「ご苦労だったな。ある程度期待してはいたが、ここまで鮮やかに仕留めるとは想像以上だったぞ」
「そりゃあ、どうも………」


 また(・・)か……

 褒められたのにも関わらず憮然としたままの雪之丞()だったが、数秒程沈黙すると珍しくしお(・・)らしい口調で口を開く。

 
「なぁ、大尉さん」
「どうした?」

「このガルザ()は、デタントについては、別に知らないんだよな?」
「当たり前だ。デタントの事を知ってるのは、上層部を含めた極一部。こいつが知ろうはずもない」

「そうか。まぁ、そうだよな……いや、始めにアンタが言ったように、コイツも魔族の現状にやたら憤懣溜め込んでたからな。ヒョットしたら、知ってたのかなと思ったんだよ」


 ……なるほど。

 景気良く倒した割にテンションが低かったのは、それが理由か。奴なりに、魔族の境遇に思う事があったのかもしれない。床じゃなくて首をテーブルに置いたのも、その辺の理由………いや、絶対丁度良い台が無かったからだな。


「フム……そういう事か」
「ガルザみたいな連中は、多いのかい?」

「ああ。数えだしたらキリがない。今回は、たまたま近くに来たんでお前達に頼んだが、世界各地には似たような連中がわんさか居る。その度に、魔族も人間も “てんやわんや” だ……」
「はは……まま(・・)ならねぇもんだな」


 ああ……ままならねぇな。

 だが、それでも神魔戦争(ハルマゲドン)に繋がるなら………看過は出来ない。


 ただ、俺にとって予想外だったのは、その後のワルキューレの反応だった。


「フッ……私が何年生きてると思ってる?もぅ、慣れたさ」


 澄まし顔で聞き流したぞ。

 雪之丞の言い方は、明らかに相手を慮った言い方だった。だが、プライドの高いこの女なら “人間如きが!” とか言って、キレると思ったんだがな………この女にとっても、それだけこの問題が切実なのかもしれない。

 ワルキューレの顔は、俺にそう思わせるくらい達観しているような何かが見えた。



「何にしても、今回は助かった。礼を言うぞ」
「別に構わねぇよ……それよりも、また似たような仕事があれば回してくれると助かる」


 雪之丞がそう返すと、ワルキューレは澄まし顔から一転、今度は驚きと呆れが混じったような笑みを浮かべる。

  “こいつは何を言ってるんだ?” とでも言いたげだな……


「 “助かる” ……?助かるって、GSが魔族に仕事の斡旋を頼むのか?」
「アンタも知ってるはずだぜ。俺はメドゥーサ(魔族)と契約したせいで、人間から白い目で見られてる。なら、魔族を頼った方が早い。違うか?」


 そこへ、俺も追従する。


「今回の件は、武神様にも通してあります。デタント維持の為の協力なら、別に問題ないでしょう?勿論、対価は頂きますが」


 俺達に出来る事なんて限られてる。それこそ、大海の一滴にも満たないだろう……それでも、自分達から手を上げるくらいはするべきだ。そうに思った(まぁ、金払いのいいクライアントは確保すべきと言う打算もあるが……)。

 すると、当の本人は一瞬呆けた後に声を上げて笑いだす。


「ハハハハハッ!道理だな。いいだろう。なら、今後も頼らせて貰う」
「そういう訳だ!こっちこそ、宜しく頼むぜ。大尉さんよぉ♪」


 やれやれ。何とか上手く運んだか………


 ただ、ガルザの首……もっと、丁重に扱ってやるべきだったかもな。

 ………と言うより、絶対テーブルに乗せるべきじゃなかった(今更)。置いたのは雪之丞だが、俺も何で止めなかったんだろう?

 見た目が人間離れしてるから、ハンティングで仕留めた獲物と混同してたんだろうか?

 
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