| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

白の襲来

―――束side

 ありえない。それが彼女が思っていることだった。

「……どうして……?」

 目の前のIS『ディアンルグ』を纏った男のしていることには驚かせることしかなかった。まるで手足の様にそれを操っている。
 しかも祐人に攻撃している無人機は彼女がつぎ込めるほどの技術をつぎ込んで完成させた無人機。従来のものとは違い、そう簡単に落とされるものではない。それこそ倒せるのは、性能差もあって倒せるのは第三世代の技術で改良した暮桜に乗った彼女の親友にして初代ブリュンヒルデである織斑千冬だけだと思っていた。だが、それが狂わされていた。彼女にとって潰すべき敵であり、干渉した覚えのない未登録のコアを使っている風宮祐人によって。

「どうしてさっさと落ちないんだよ、こいつは………」

 篠ノ之束はそう言いながら投影されたキーボードを弄って零落白夜を発動させる。シールドエネルギーの不足問題なんて自分にとっては何の苦もなく解決した。
 そして無人機は攻撃しようとする―――が、それより早く貫かれ、コアを抜き取られてその無人機は落ちていった。

「………何で?」

 また新たな問題が浮上した。
 それはありえない―――絶対防御の貫通。減らされているわけじゃなかった。それに敵は一度も攻撃したいないのだ。だから今目の前に起こっていることはありえない―――はずだったがどうやらそれは完全に現実のようだった。

「邪魔なんだよ!!」

 それに呼応するかのように無人機が二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション・ブースト)を発動して零落白夜で斬り付けようとし、祐人の防御は間に合わずにそのままダメージを食らった。だがそれは掠った程度でISスーツが破けた程度だった。

「どうして、こいつはいつもいつも束さんの邪魔ばかりするんだよ!!」

 叫ぶが誰も返事をしなかった。だが、

『あっぶねぇ。まさか瞬時加速ができるとは………』

 そう言うと同時に一瞬にしてコアを抜かれた。

「また―――!?」

 残り一機がビームを撃つが、それを避けられると同時に距離を詰められて最後のコアを抜かれる。

「……ありえ……ない……」

 自分の最高傑作の無人機。それが一瞬にして葬られた。
 あの時、あのゴミ共々葬れば良かったと後悔するが、それは結局のところ叶わなかっただろう。何故ならシヴァが現れたのはいざというときに対処するためだから。

「何で、何で邪魔ばかりするんだよ……。ゴミのくせに………ゴミのくせに!!」

 篠ノ之束の研究所。そこで彼女の声が木霊するが誰も返事しなかった。唯一そこにいる女の子は荒れるなぁと思いながら苦手な料理をマスターするために頑張るのである。
 そこで別の画面がフッと消えた。

「……え?」

 そこにはさっきまで彼女の大好きな一夏と箒が映っていたが、それが急に消えた。そして楯無と簪の所に向かわせた無人機をそちらに飛ばそうとしたが、そっちの画面も消えている。
 彼女は原因を調べるために衛星をハッキングしてそっちを見るが、そこにはボロボロになった一夏と箒と、

『なぁあんだ。篠ノ之束が造ったって聞いたけど、大したこと無いじゃん』

 キャノンボール・ファストで現れた白いISがいた。





 ■■■





 時間は少し前に遡る。
 それぞれ調整をしていた一夏と箒は二人揃ってため息を吐いていた。その原因は対戦相手。更識姉妹は強敵だからだ。

「いや、一夏。弱気になってどうする」
「そ、そうだな。いくら二人が相手だからって悔いなくぶつかればそれでいいもんな」

 そう言って二人で慰め合っていると、無人機が乱入してきた。
 二人は楯無に鍛えられていたこともあってか、その無人機に苦労することはなく、篠ノ之束の思惑通りでもあるが抜群のコンビネーションを見せるほどの能力を発揮して無人機を相手にしていた。
 一方、楯無と簪にも向かってきていてスペックの違いで苦戦するも、順調に倒せていた―――が、突如目の前にあった無人機が狙撃されて爆発する。
 それは一夏の方も同じだった。

「これは……一体どういう……」

 一夏は意味がわからないと言うかのようにそう言うと、

『別のISをここから2キロ先の地点で確認。こちらに接近してきます』

 一夏が白式のハイパーセンサーからそんな情報を受けていたときは近くにいた三人も同じような表情をしていた。
 そして無人機を落としたISはすぐに現れた。

「わぁ。案外脆いのね」

 第一声がそれだった。

「……あなた、何者?」

 楯無が蒼流旋を構えながら質問するが、

「知りたい?」
「ええ、知りたいわね。よかったら教えてくれないかな~?」
「断るわ」

 そう言って近くの無人機の所に降りようとする白いIS。だがその前に荷電粒子砲がその無人機の残骸を襲った。
 それを見た白いISは舌打ちした。

「まったく、兄さんにまとわりつくだけでなく私の邪魔までしないでよ」
「……だけど、コアは奪わせない」

 簪は冷静に答えた。

「ふーん。じゃあ、しばらくはそこで止まっておいてね」

 そう言うと同時にどこからともなく鎖が現れ、楯無と簪を被った。

「なっ!? テメェ!! 二人に何を―――」
「ああ、もう。ぎゃあぎゃあ喚かないでよ。ただあなたたちを壊すために邪魔な二人を止めたのよ。私だって兄さんに怒られたくないんだから……」

 一夏の言葉を遮って白いISは答えた。

「兄さん?」
「そう。兄さん。まぁ、あなたたち二人が相手になっても兄さんには勝てないわよ。特に今年の一年の専用機持ちはさっきのロリメガネ以外は全員問題児のくせして雑魚の集団じゃない」

 もちろん、兄さん以外はとその女は付け足す。

「……まさか、お前は風宮の?」
「まぁ、それは想像にお任せするね。そして―――さよなら」

 白いISを駆る女は即座にウイングスラスターを伸ばしてそこから多種多様の銃弾の雨を降らせた。

「ほらほら、逃げた方がいいわよ―――って、無理だけど!」

 箒はその場から離脱し、一夏は楯無と簪を被った鎖と白いISの間に入って降り注ぐ銃弾を両断していく。
 するとその雨は一度止んだ―――が、

 ―――ドォオオオンッ!!!

 白いISを駆る女はさっきのウイングスラスターを外して投げてレーザーで撃って爆発させ、白式を纏う一夏を襲った。

「一夏ッ!?」

 箒が雨月と空裂を展開した状態で一夏の方を見ると、

「―――遅いよ」
「なっ―――グハッ!!」

 瞬時に白いISが箒を襲ってシールドエネルギーを切らせた紅椿がそのまま落下した。

「なぁあんだ。篠ノ之束が造ったって聞いたけど、大したこと無いじゃん」

 期待して損したとばかりにレーザーライフルを二丁展開すると、鎖を解いて楯無と簪を開放する。

「随分な手を使ってくるのね」
「いやぁ。現存するISを上回るISだって聞いたけど、どっちも大したことなかったから興冷めだよ。しかも操縦者が雑魚すぎて話にならない。これが()()()()()()最初の男性操縦者とその恋人候補かぁ」

 白いISが荷電粒子砲を展開してこっちに向かう教師陣を狙撃した。

「あなた、どういうつもり?」
「ん? ただ兄さんを待っているんだよ。こんな低レベルな施設にいると変な虫がつくし牙は抜かれるで大変なんだよねぇ」

 ―――パチンッ

 楯無が指を鳴らすと水蒸気爆発が起こった。が、

「ふぅん。だけど食らわないよ」
「驚いたわ。下がりながら瞬時加速を行うなんて……」

 白いISはまるで何かを感じ取ったみたいに爆発と同時に瞬時加速を行って下がった。

「でも、私の考えの半分は達成できたわよ」

 そう。ただ楯無も爆発を起こしたわけではない。簪がその間に無人機の残骸と一夏と箒を回収していた。

「無人機はもう使い物にならないって知っているからいらないよ。でも戦力は減らしてこいって言われているから―――ISを貰うね」

 その白いISは簪の方に向かうが楯無が蒼流旋のガトリングガンで撃って進行を阻害した。

「残念だけど、そうはいかないの」
「そう。だったらあなたをもらう」

 そして白いISは抜刀して楯無に斬りかかり、楯無は蛇腹剣《ラスティー・ネイル》で防いだ。

「ふーん。なんだかお姉さんの方が楽しめそうだなぁ。それに―――そろそろ兄さん好みに調教しておかないとね」
「あら、私はあなたに調教される気はないわよ」
「でもされる。これは決定事こ―――」
「―――そんな痴女を調教してどんなメリットがあるか知りたいんだけど……」

 ―――キンッ!!

 いきなりの声に反応できず、その白いISの剣が空を舞った。

「……兄さん。やっと来てくれたんだ」
「………」

 そこにはため息を吐きながら《斬魂》の峰を右肩に置き、ため息を吐く祐人の姿があった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧