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番外編とネタの残骸

作者:無花果
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勘違い系中忍MIZUKI爆誕

 
前書き
ネタその1をSSにしてみました

 

 










この化け狐は、本当に、自分の知る彼なのだろうか?


アカデミー卒業試験に落第し、1人ブランコで黄昏ていた化け狐―うずまきナルトに声をかけた

我ながら虫唾が走る、善意を貼りつけた笑みを浮かべて


「ナルト君・・・その、今回は残念だったね・・・」


三回目の落第だ
落ち込んでいるに違いない
そう思いながら声をかける
嘲笑いたくなるのを抑え、なるべく、なるべく悲しげな声を出す
ざまぁみろ、そう言ってやりたかった
全てを奪っていった化け狐にはお似合いだ
死んでいった仲間達、親類そして――彼女
皆お前のせいで死んでいったのに、お前だけ生きている
お前だけのうのうと笑って生きている
許さない
そしてこいつを殺さない里の上層部も、許せない
だから俺は木の葉を見限ったんだ
情報と秘術の巻物を引き換えに、俺は里を抜ける

そのためには、このガキに全ての罪を押し付ける
俺が里を抜け、ガキが殺されるようにするために計画を整えた
後はガキが巻物を盗み出すよう唆すだけ

ガキを騙すなんて朝飯前だ
突拍子もないウソに騙されるのがアカデミー生
”優しいミズキ先生”の言葉が嘘なわけがないと信じる馬鹿な子供たち
特にこいつは騙されやすい馬鹿だ

そう、思っていたのに
声をかけ、巻物の話をした俺へと振り返る化け狐は・・・まるで別人のようだった

「あのですね、不合格を合格にさせるような温情が・・・あるわけがないでしょう
 どんな事情があろうとなかろうと、不合格は不合格
 それを取り消して特別試験?それも彼方の独断で?
 どういう意味で試験を取り行おうと思ったんです?」

冷めた目が俺を射抜いた
誰だ?こいつは一体誰なんだ?
こんな熱の無い声を、こいつはしていたか?声変わりなんてものじゃない
全てにおいて、あの太陽のような明るさが消え去っていた
あの明るい笑顔がない
笑顔を見るたびに、死んでいった者を思い出してしまう、あの笑顔がない
いつものナルトが太陽なら、こいつは―――

「その、教師たるもの甘やかすことだけが教育ではないと思いますよ
 いわゆる飴と鞭ですね
 子供だからと飴ばかり与えていてはいけません
 虫歯になっちゃいますから、たまには強制歯磨きもしてあげてください
 それぐらい、出来るでしょ?

 子供が好きで、教師になったんでしょ?」

やめてくれ
頭が真っ白になりながら、もう優しいミズキ先生の仮面は剥がれ落ちていった
確かに子供は好きだ
好きになるはずだった
だって彼女が笑っていたんだ
もうすぐ家族が増えると、2人の愛のあかしだと笑っていたのに
なのに
お前が、お前が彼女を、子供を
いつか、自宅でもアカデミーでも忍術を教えてやると俺は彼女に言ったのに
なのに

「・・・わかりました
 三代目火影の所へ潜り込み、巻物を奪取してくればよろしいのですね?
 
 ・・・泣きたいときは、泣かれた方が良い
 心に貯め込んでばかりでは、体が壊れます
 貴方はどうやら私が嫌いなようだ
 すぐに消え去ります
 だから、思う存分泣いてください」

どうしてこんなにも
化け狐の言葉が心に突き刺さるのだろう
涙が溢れてたまらないのだろう
冷たい声が、優しいと思うのは何故なのだろう

この場を後にするナルトの後ろ姿を見ながら、泣いていた






ひとしきり泣いた痕跡を誤魔化し、森でナルトを待つ
ナルトには甘い三代目のことだ
巻物を奪われたとしても、いつもの悪戯として気に留めることもないだろう
気にとめたとしても、周りの人間達が許しはしないだろうが
・・・オレと同じように、九尾に親しいものを奪われたモノたちが、アイツを許しはしない

そう考えると、なんだかナルトも可哀想なものだと思えた
今のあいつは、俺の言うことを聞いただけの、ただの素直な生徒だったのだ

餌である卒業試験合格については、全く興味を抱いていなかったみたいだけど

それでも、俺を教師と信じ、巻物を取りに行った
森に潜む他里の忍たちの存在すら知らないのに、あいつを木の葉への反逆行為に加担させた
・・・このままでいいのだろうか
俺は、「生徒」を駒にして良いのだろうか
「教師」として、許されるのだろうか


(―――!誰か来るぞ・・・例の子供か?)

他里の忍が気配を感じ取った
探ってみればこの気配は馴染のあるものだった
イルカが、なぜこの森に?
まさかナルトがイルカに話したのだろうか
目を見張ってイルカに話しかけるかどうか悩んでいると、思いもよらぬ叫びが聞こえた

「ミズキ先生ー!どちらにいらっしゃいますかー!!
 もう演技は必要ないんです!
 ナルトが全てを教えてくれました!
 ミズキ先生―!!」

・・・演技!?
どういうことだってばよ・・・じゃなかった、いや言いたいことは同じなんだが、どういうことだ
ナルトが全てを?
巻物奪取で卒業試験合格のことを?
いや、それだけなら何故演技という言葉が出てくるのか




「もう裏切ったふりして木の葉に危険を教えようとしなくても大丈夫ですよーー!!」




(ミズキ貴様!裏切っていたフリをしていたのか!)




・・・まさか

ナルト、お前、何か、勘違いして三代目とイルカに相談したの・・・?

他里の忍がクナイを俺に向け、激怒しながら突進してくる
呆然としたままの俺が避けられるわけもなく、左手を刺された
だがその行為が隠行をかき消したのだろう
何処からともなく現れた暗部が、他里の忍を気絶させた

「・・・ミズキ中忍・・・」

「は、はい!」

思わず声が裏返る
暗部の仮面で阻まれた視線が突き刺さる
視線で人が殺せるに違いない

「全てはあの子が教えてくれました
 問題を起こすことで、上層部に他里の忍が侵入していることを、
 気付いて貰おうとしていたのではないかと・・・あの子が話してくれました
 
 確かに中忍である貴方にとって、他里の上忍相手は難しかったでしょう
 ・・・ですが、侵入されていることに気づき、里に警告を出した貴方に敬意を表します

 貴方は、英雄だ」


なに が おこった


イルカを追い掛けてきたらしきナルトが、不安げにこちらを見た
そして俺は悟った

もうこの勘違い解けねえな

ナルトの眼が「あ、こいつマジで裏切ってたのか」と語っていた
後にそう思っていたと伝えられ、俺達意思疎通完璧じゃねーかと笑いあったのは良い思い出である






 
 

 
後書き






アニナルで婚約者がどーのこーのとされていたので自分なりに解釈

アカデミー教師やってたら、何らかの形でいずれはナルトと関わるって分かってたと思うんだ
もしかしたら担任になったりとか(ナルトに対して敵意がないとか3代目が調査して担任決めると思うけど)
そういう可能性があるにも拘らず、どうして教師やっていたのか
いや、ナルトが成長しきる前に暗殺される可能性もありますけどね

同じように九尾に対して恨みを持っている奴らが凸ることもあり得ますし

そういうことを踏まえて、結局、彼は子供が好きで、教えることが好きで教師やってたんじゃないか
原作ナルトが巻物奪取で卒業合格というのを疑わなかったのも、「良い教師」だったのを見てたからじゃないかな

「優しいミズキ先生」が、「嫌われ者のナルト」のために考えてくれた温情

そんな風に夢を見てしまったが故のネタでございます

 
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