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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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閑話ー現実と仮想の演舞ー
  30.SAO・アインクラッドの軌跡 破

 
前書き
第30話投稿!!!

舞台開演!
そこで起きるハプニング!! 

 


『本日は、ご来場いただきまことにありがとうございます。まもなく、《SAO・アインクラッドの軌跡》が始まります。もうしばらくお持ちください』

アナウンスが終わるとすぐに舞台にかかっていた暗幕が上がりいよいよ始まった。

幕が上がるとそこには、黒いコートを身に纏い二本の剣を持つ少年、キリト/お兄ちゃんと赤と白がベースの服に細剣(レイピア)を持つ少女、アスナさん。それに赤と白がベースの服に左に大きな赤い十字が描かれた盾、右に長剣を持つ、プレーヤー......あれがSAOのGMの男、ヒースクリフだろう。他にも、リズさんやシリカちゃんもいる。

そして舞台の向こう側から現れる骸骨の大きな鎌を持つモンスターが姿を現す。
そこで舞台が暗転し、舞台上のモニターがつきそこには、これまでのあらすじのような場面が流れ、アナウンスが響く。

『閉じ込められた世界。.......ついに七十五層まで到達する。そこに現れるこれまでにみない最強の敵、《The Skullreaper》が立ちはだかる。果たしてプレイヤーたちは、倒すことが出来るのか!?』

舞台が明転し、スカルリーパーとキリトくんとアスナさん、それにヒースクリフ、リズさん、シリカちゃんがスカルリーパーと激闘。

「あれ........?」

「どうした、リーファ?」

「いえ、集也くんの姿が見えないなと思って」

「そういえば.......まあ、あいつのことだから、俺はめんどいからパス、とか言って裏方にまわったんじゃねぇか?」

「はっはっ、あいつならありえるな」

エギルさんがあたりを気にせず大きな声で笑い出す。

「エギル、静かに!」

「おっと、すまねぇ。.......にしてもあのヒースクリフ、よく再現出来てるな」

「ああ、全くだ。本物のあいつが舞台に出てるみたいだ」

二人は感心しながら舞台をみる。

舞台は急展開となる。キリトくんとアスナさん、ヒースクリフの猛攻にでスカルリーパーのHPは0になり倒れる。すると再び暗転し、モニターが映り、アナウンスが響く。

『七十五層の強敵、《The Skullreaper》を倒したプレイヤーたちだったが戦いはまだ終わりではなかった。なんとSAO最強のプレーヤー、ヒースクリフがGMだったのだ。そして彼は、一つの提案をしてきた。ここでヒースクリフを倒せばゲームはクリアされるという条件を出してきた。《黒の剣士》がついにヒースクリフと最終決戦を迎える』

舞台に明転すると、さっきまでいたスカルリーパーの姿はなく、代わりに向かい合うキリトくんとヒースクリフの姿。アスナさんやリズさん、シリカちゃんは舞台に倒れこんでいる。

キリトくんは、後ろを振り向き、リズさんの方を向く。

「今まで武器の調整ありがとな、リズ」

「.......キリト」

続いてシリカの方を向く。

「シリカもあの時は楽しかったよ。ありがとな」

「......キリトさん」

そして、視線をアスナさんに向けると何も言わず微笑み、ヒースクリフの方に顔を向ける。

「悪いが、一つだけ頼みがある」

「何かな」

「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだら.......しばらくでいい......アスナが自殺出来ないように計らってほしい」

「よかろう」

「キリトくん!!ダメだよ!!........そんなの......そんなのないよ!!」

舞台にくぎずけになる。
これが本当にあったこと。SAOという【ゲームオーバー=死】というもう一つの現実世界でお兄ちゃんはこんなことをしていたんだ。

二人は剣を抜き、互いに向き合う。

沈黙となる舞台。そこに床を蹴り上げる音とともに急激にキリトくんが加速し、二本の剣をヒースクリフに振るう。激しい剣激戦になるはずなのだが、キリトくんの二本の剣を意図も簡単に左の大きな盾で防いでいる。

この戦いのクオリティの高さはすごい。さすが二年間、SAOで剣撃を鍛えてきたわけではないとこの目で実感した時だ。

「うおぉぉぉ!!」

キリトくんの二本の剣が嵐のように降り注がれるが、ヒースクリフは意図も簡単に防ぐが、右の剣が盾に触れた瞬間、盾が弾かれ、一瞬の隙が生まれる。そこをついて、左の剣が盾と剣の間を抜けてそのままヒースクリフの顔めがけて一直線。

ヒースクリフはなんとかそれを避け、体勢を立て直すため後ろに飛ぶ。

すると、舞台としてはあってはいけないことが起きてしまった。

「えっ!」

「あーあ」

「キリトの奴が熱くなるから」

隣に座っているエギルさんとクラインさんが呆れたように舞台を見る。

私も驚きがあったが少し呆れたように舞台を見る。




(......ふぅ〜、危ねえっ!キリトのやつ本気になりやがって)

キリトが熱くなったせいで台本と違い互角というかキリトが押してる感じになっている。俺は後ろに飛び体勢を立て直し、再びキリトの方を向くとキリトの顔が驚いている。

(ん?どうしたんだ......)

キリトは口パクで何かを伝えようとしている。

口の動きをみると........ず......ら.......?

(ズラ?)

俺は頭に手を乗せるとそこには、あるはずのズラがなくなっている。

(しまった!?さっき飛んだ時に!?)

ズラが落ち、普段の俺の髪の毛が露わになり、さっきまでヒースクリフだったが今はただの如月集也の姿だ。

「うっ........」

少し慌てる。
考えろ......。この状況でできるフォローを......。

ふとその閃きが降りてくる。

(しゃあない。合わせてくれよ、キリト!)

俺は、左手で持っている十字の盾を外し、着ていた赤と白の服を脱ぎ捨てる。赤と白の服の下には、黒色の服を着ており、それに念の初期案でシュウをSAOの舞台に出すということで作っていた黒のコートを舞台裏から誰かが投げてくれてそれを羽織る。その姿は、ヒースクリフからSAOのアバター、シュウの姿へと変わった。

そして俺は、長剣をキリトに向けて言葉を放つ。

「ふ....ふははははっ!よく俺の正体を見破ったな、キリトくん........いや、キリト!!」

「しゅ、シュウ......なんで?」

(ナイスアドリブだ、キリト!)

「なんでだと?教えてやるよ。茅場晶彦と俺は繋がりがあるんだよ。元々、ヒースクリフを装って血盟騎士団に指示を出し、シュウとして攻略をサポートしていた。だから俺は、ユニークスキルを扱うことができるんだ」

(我ながら適当なセリフだな)

「お前は、俺たちを今まで騙してたってことか.......」

「そうなるな。だからどうした?」

俺は、アスナに近づき舞台に倒れるアスナから細剣を奪い取る。

「それじゃあ、続きをしようぜ、キリト」

床を蹴り上げ、右手の長剣と左手の細剣を握りしめキリトにノーガードの猛攻をしかける。

「うおぉぉぉ!!」

キリトも二本の剣で対抗する。互いの剣が激しくぶつかり合う。

キリトとデュエルで何回か戦ったことはあったが二刀流のキリトと戦ったことは一度もない。いくら舞台といってもキリトが手を抜くわけがない。こいつは本気で俺を斬ろうとしている。

俺とキリトが持っている剣は、模擬刀。いくら斬れないといっても痛みは結構ある。

(キリトが本気なら俺も!!)

キリトは二本の剣を同時に上から振り下ろす。その二本を俺は右の剣を思いっきり振り上げ相殺し、完全に隙が生まれたキリトの腹部目掛けて左の剣を斬りつける。

キリトはそのまま倒れこみ、二本の剣が手放す。

「これで終わりだ............じゃあな、キリト」

右の剣を振り上げ、そのままキリト目掛けて振り下ろす。すると俺とキリトの間に人影が現れる。

それは、閃光の異名を持つ、アスナだ。振り下ろされた剣はキリトではなくアスナを斬りつけた。アスナはグッタリとキリトの腕の中で倒れこむ。

「........嘘.....だろ.......アスナ......こんな......こんなの......」

「.........ゴメンね..........さようなら......」

そこで舞台は暗転し、アスナは去り際に小さく俺の耳元で.......

「ここからは台本通りでお願いね」

と言って、舞台裏に姿を消した。
舞台が明転すると当然、アスナの姿はなく、そこには絶望の顔を浮かべるキリトが。

「まさかだよ。自力で麻痺を解く手段はなかったはずだけどな。こんなことも起きるんだな」

(確かこんなセリフだったような........)

さっきいろいろとありすぎてセリフが全部吹っ飛んだからな。

キリトは、その重い体を立ち上がらせて床に落ちる二本の剣を拾い上げ、生気がなく振るう。その姿は、まさにあの時のヒースクリフに向かうキリトのようだった。

(......それなら俺も)

キリトの重みもない剣を弾き飛ばし、右の剣を腹部に突き刺す。突き刺すと言っても突き刺したように見せてるだけ。

「うおぉぉぉ!!」

キリトは叫び、俺の腹部に剣を突き刺す。そして、舞台が暗転し、ナレーションが響く。

『十一月七日十四時五十五分、ゲームはクリアされました。ゲームはクリアされました。ゲームはクリアされました..........』

繰り返し響くアナウンスの中、続けて違う声のアナウンスが鳴り響く。

『こうして、《黒の剣士》はヒースクリフを倒し、二年という長い旅が終わりを告げたのだ』

そして、幕が徐々に降りていきその中、観客たちの歓声と拍手が響く。

こうして俺たちの舞台........《SAO・アインクラッドの軌跡》は幕を閉じた。


 
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