〜独白〜黒衣の除霊師……ゴミ置き場
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アフロ爆誕
「よぉ、横島!」
「おお」
「………………」
「………………」
眠い……HR前は、どうしてもテンションが下がる。
「…………おい?」
「何だ?」
「何かないのか?」
「お前誰だ?」
「渡辺郡じゃーーーーー!!!!」
「うるせぇな……で、なんだ?」
朝から大声上げんなや。無駄に煩ぇのはステルス1人で十分だよ……当のあいつは…………いいか。
お前は前回まで吠えまくってたから、暫くはステルスしとけ。
「だから、何もねぇのかよ!?あっ、そうか!眼鏡か?眼鏡掛けてるから解らねぇんだな?」
いや、別に眼鏡の有無関係なしに覚えてねぇだけなんだけど……
「眼鏡にしたんだな……」
眼、悪かったっけか……?どうでもいいけど。
「眼鏡にしたんだよ!あ、ちなみに伊達眼鏡だ」
そう言って、フレームに親指を通して見せる。レンズなしのタイプね。
「だから、何だ?」って、話だけど…………
「だけど、眼鏡にしても誰も騒がねぇんだよ」
「騒ぐわけ無いだろ」
なんで、眼鏡にしたくらいで騒ぐんだよ?
「お前言ったじゃねぇか」
「何を?」
んな、咎めるような言い方されてもな……俺、何か言ったかな?
「俺は、眼鏡を掛ければ『近畿剛一』になれるって!!」
「んな事、言ったか?」
何だそれ?意味解んねぇんだけど……何でこんな特徴のない野郎が『近畿剛一』なるんだよ?
眼鏡無しのモブが、眼鏡有りのモブに変わるだけだろ?
ちなみに『近畿剛一』ってのは、俺等と同い年のイケメン俳優だ。
「言ったわ!!今年の始めに確かに言った!だから、わざわざ眼鏡買って来たんだからな!」
「ん〜〜……言ったような気もする…………」
俺何で、んな意味の解んねぇこと言ったんだろ?
ってか、今年の始めって3ヶ月以上前じゃねぇか!暇なのか?もう、3年なのに!?
「なのに、何だ?誰も何も言わねぇから、自分で言ってやったら皆「似てねぇ」って言うんだよ!」
そら、似てねぇからな……寧ろ、よく言う気になったよ。
「挙句の果てに「渡辺は言いにくい」から “眼鏡” とか呼ばれだしてんだ!雑すぎだろ?」
「外せばいいだろ?」
いや、お前がそうに呼ばれたら何気にフック(田嶋)の立ち位置がヤバくなる……
「折角買ったんだぞ!」
「お前が勝手に買ったんだろ!?」
だあっ……うぜぇな、もう!
「お前が言い出したんだからな!何だ?何がいけない?今の俺に、何が足らないって言うんだよ?」
「…………インパクト……」
お前が騙されたんだろ?……と言ってやりたいが、そうするとエンドレスになりそうなんで、適当に会話の方向転換をする。マジで面倒くさくなってきた。
「インパクト?」
「ああ……『近畿剛一』は嘘じゃないけど、まだパーツが足らなかったんだ」
(その茶番、いつまで続けるの?)なんて声が隣の机妖怪から聞こえた気がするけど、多分気がするだけだ。
「何なんだ?後、俺に何を足せば『近畿剛一』になれるんだ?」
よし、乗ってきた。いや、乗られても困る……?
「それは……」
「そ、それは……!?」
……………………どうしようかな?
「………………アフロ……」
「アフロ……?」
(何でよ…………?)
流石に苦しい…………ただ、言っちまったからには後に引けねぇ……
「アフロにすれば、『近畿剛一』になれるのか?」
「多分……」
知らん……目立つとは思うけど。
「よし!そういうことか!!」
どうゆうこと?
なんか1人で納得した顔してるけど……そして、俺が困惑状態から抜けきらない内に渡辺は、さっさと自分の席に戻っちまった。
「ねぇ……」
「…………何?」
今度はお前かよ。そんな顰めっ面すんなって愛子。俺だって困ってんだから。
「何で、アフロなわけ……?」
「いや、何となく……」
「本当にアフロにしてきちゃったら、どうするの?」
「やらないだろ、いくらなんでも…………」
自信は全くないけど……
「おい、横島!」
「うおぃっ!!」
「…………」
んだよ?びっくりした!いきなり戻ってくんなよ。
「お前の力でアフロに出来ないか?」
「お前は、俺を何だと思ってんだ……?」
俺は、GSアシスタントだぞ。理容師じゃねぇ!と言うか、本当にやる気か?お前、正気なのか?
「でも、以前渡された “ビー玉” ……文殊だっけ?あれ、すげぇ力があんだろ?何とかならねぇか?」
「無理だよ……」
出来るけど、したくねぇ…………いや、して堪るか!!いやいや、アフロなんて止めろ。取り返しが付かなくなるぞ!?
「んだよ!言い出しっぺの癖に使えねぇなぁ……」
ピキッ!
「まぁ、しょうがねぇか。お前に多くを期待するってのが、そもそもの間違いな気がするしな」
ピキッ!ピキッ!
「新聞に載ってたのも殆ど伊達さんだし、別にお前が凄いわけじゃないもんな。解ったよ。なら、美容院探すわ」
「………………」
「よ、横島君……」
この野郎…………自虐すんのはいいけど、面と向かって言われると糞腹立つわ…… !!
…………俺は、自分の席とあいつの席の距離を目算する。この距離なら余裕か……
「ちょ、何してるの?教室よ……」
「青春だよ……」
「いや、意味解んないから……え?目玉!?」
ゴルフボール大で十分だな……直で当たると強すぎるから、掠るように…………
「ふっ!」
息を吹きかられた霊盾は、一直線に奴の頭に飛んで行く。そして……
ヴォンッ! 「ぶごぉっ!」
ちょっと強過ぎたかな…………?まぁ、いいや……
“おい!何があった?”
“音がした……あと、何か光らなかったか?”
“解らない。いきなり渡辺君の頭が爆発したように見えたけど……”
“大丈夫か?……駄目だ失神してる…………”
騒いでる連中の中心には、机に突っ伏して白目を剥いて気絶してる渡辺が居た。
そして、その頭の上には何故か白煙を上げながら、見事に爆発したアフロヘアー……
「そのニヤついた顔止めない?普通に気持ち悪いんだけど……」
「青春だな♪」
「殴るわよ……!」
結果に満足した俺は、未だ騒ぎの収まらない教室を気にせずHRまで眠りについた。
◇
「よお、横島」
「よく似合ってるな♪」
「………………」
翌朝、見事なアフロを晒す渡辺に俺は満面の笑みで応えてやる。隣で顔を顰める愛子は気にしない。
どうでもいいけど、昨日の眼鏡もちゃんとしてる。ふっ飛ばされただけで、壊れなかったらしい。
「何で笑ってんだ……?まぁ、いいや。昨日の朝、いきなり頭が “ズガーン” って来て、目が覚めたらこうなってたんだ……ちょうどアフロにしようと思ってたタイミングでだ。これもオカルト現象か何かなのか?」
「きっとそうだ!神様が、お前はアフロが似合うって後押ししてくれたんだよ」
「そんな神いるのか……?どんな、神だよ?」
「そりゃ、 “アフロの髪様” に決まってんだろ!お前はあの方に選ばれたんだ!」
「も……もう、その辺にしない……?」
遠慮勝ちに言う愛子の言葉は、目の前の馬鹿にとって至極真っ当な助言だったが、既に耳には届いてない。
「あ…… “アフロの髪様” ?俺は “選ばれた” のか!!?」
神様より、選ばれたのが嬉しいらしい……
「そうだ!昨日のことは、偉大なあの方のお告げなんだ!こんなこと滅多に起こらないぞ、お前は世の中のアフロの頂点に立ったんだよ!!」
「もう、意味不明……」
真っ当な愛子の言葉は、以下同文……
「ま、マジか……!?俺が “頂点” !!?なら、俺は『近畿剛一』に成れたのか?」
「いや、全く似てない」
この際、『近畿剛一』から離そう。面倒くせぇし……
「似てねぇのかよ!!?」
「うるせぇ!だから、どうした!?お前は、頂点なんだぞ!『近畿剛一』なんか、お前の足元にも及ばないんだよ!!そんな名前、もう忘れろ!お前にとって何の価値もない」
「何言ってるの……?」
愛子の以下同文……
「マジか?だ、だったら…………俺は……俺はどうしたらいいんだ?」
「何もしなくてもいい。お前は、お前だ。死ぬまで堂々と、その頭を披露し続ければいいんだ。お前はそこに居るだけで価値がある!」
「存在するだけで価値がある……」
「…………何で騙されるの?」
愛子の以下同文……
おお……!
『近畿剛一』なんて唆した時より強いオーラがこいつから…………気持ち悪る……でも、すげぇおもしれぇ♪
「俺は選ばれし存在……!」
「そうだ!お前は髪に選ばれたんだ。いや、愛されてるんだ!!」
「おおっ……!」
ガタッ……
オーラがますます強く……!このまま煽り続ければ昇天して、ドリップするかも♪
「俺は髪に__」
がっ!!
「__い!?」
ん……?アフロの両端に少女らしい繊細な指が…………って愛子か。
ブチブチブチブチッ!!!
「ぎゃ〜〜〜〜っ!!!」
「………………」
教室全体に響渡るアフロ……正確にはアフロだった奴の絶叫。今は、愛子に両方から毟られて見るも無惨な姿に……
「何が髪様よ……いい加減、目を覚ましなさい!」
「いや、そこまでせんでも…………」
当の本人は、床で白目を剥いて気絶中……
「あなたも、あなたよ!調子に乗って悪乗りして!騙される方の身にもなりなさい!!」
「いや、騙される方が……」
「え゙……?」
うぉっ……恐ぇ!美人が怒ると恐いって言うけど、今が正にそれじゃねぇか!
って言うか……何?何で本体(机)振りかぶってんの…………(恐)?
「……え、いや……あの…………」
「あなたにも、 “お仕置き” が必要ね……何か言い残す事があるなら聞いてあげるけど」
「……せ、青春じゃ “ゴスッ!!” ごばっっ!!!」
や…………やっぱり人を騙すのって良くないよね。
横っ面を本体(愛子)で、 “おもくそ” ぶん殴られて意識を失う寸前そんなことを思った……
余談だが、後日渡辺の渾名は『眼鏡』から『アフロ』に変わったらしい。アフロが気に入ったみたいだ……
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