『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師
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報謝
「ホワイトデーだな」
「そうだな」
フックの言葉に、相槌を打つように答える俺。
今日は3月13日。つまり、明日がホワイトデー……貰ったチョコを返す日だ。
「(チョコ)返すのか?」
「貰ったんだから、返さなきゃな」
「ふうむ……」
「何で悩むんだよ?」
「いや、金あんま持ってなくて………」
「沢山持ってなくても、少しはあんだろ?」
「そうだけど……」
「なら、100円チョコでいいだろ?「金ねぇから、これで勘弁しろ」って言や良いんだよ」
大事なのは気持ち………に似せた形式だよ。
「……歳暮の渡し合いみたいだな」
「どう、違うんだ?」
「もっと、 “愛” 的な何かを……」
「全部、義理(チョコ)の癖に何言ってんだ?」
「うるせぇ!お前だって、そうだろ!?」
「そうだよ。だから、今日の帰りに何か買ってく」
「義理チョコか!?」
「他に何買うんだよ?」
「寂しい野郎だな!?」
「お前と一緒だ」
「ガッテム!!」
「何がだよ……?」
本当に良く響くダミ声だぜ。
※CV高木渉氏
その後もフックとダラダラ駄弁ってたけど、休み時間の終わりが近くなると、奴はそのまま席に戻って行った。
「本当に相変わらずね。あなた達って……」
「そりゃ、どうも……」
奴が立ち去るのと入れ替わるように口を開いた愛子に、テキトーな相槌を打つ。
「仲がいいと言うか、何というか……」
「『青春』だろ……?」
「そっ……そう?」
「そうだろ?ホワイトデーのお返しについて、談議したんだから」
「普通、女の子の隣でする話じゃないんと思うんだけど……?」
「硬えこと言うなよ。ちゃんとチョコ買って来るから楽しみにしててくれ」
「……100円チョコ?」
「そうだね」
「そこは否定してよ!あなたに渡したの、もっとしたのよ」
「幾ら?」
「え……!?」
「あのチョコ、幾らしたの?」
「さ…300円くらい」
「解った。300円ね」
机に出しっぱなしにしてたノートの余白へ、忘れないように書いておく。
「本当に合わせるのね……」
「つり合い取れていいだろ?でも、萩原は10円だ。これは、決定事項!」
「何で、雅美ちゃんには厳しいの……?」
「ちょっとな………」
渡すチョコ代ケチられた上に、あいつの良く解らねぇ糞発言の所為で、シンナー吸った馬鹿共に絡まれた挙句、貴重な文珠を2個も使っちまったんだ。
俺の考え過ぎもあったけど、赤字も良いとこだぞ。返して貰えるだけ、ありがたいと思って欲しい………!
※『不安編』参照
だから、5円チョコを2枚で………1枚で良かったな。まぁ、いいや……サービスしてやろう。
「フックは、100円で勘弁してやれよ。小遣いピンチらしいから」
「はいはい……」
そんなに顔を引き攣らせんなよ。
こんなキラキラもしない貧乏臭い駄弁りだって、『青春』の一部だぜ………知らんけど。
◇◇◇
「おっ、横島」
「貧か」
アパートの部屋へ続く階段を上がる途中、部屋から出て来た貧乏……福ノ神の貧に遭遇した。
「買い出しか?」
「いつも通りや」
やっぱり、そうか。
こいつとは、こんな感じで帰って来ると良く鉢合わせする。
「丁度良かった」
「丁度良かった?」
俺は、俺の言葉に訝しむ貧に構わず。持ってるスーパーの袋から、赤い紙で綺麗にラップニングされた一つの箱を取り出すと、奴へ差し出した。
「これは?」
「チョコレートだよ。明日、ホワイトデーだろ?」
「これをワイに!?」
「アホか?小鳩ちゃんだよ」
チョコを寄越さねぇ(寄越されてもリアクションに困るけど……)、お前に渡す訳ねぇだろ………
ちなみに結構高かった。2000円くらいか……
あの娘、家計だって苦しいのに義理で割と良いチョコくれたからな。頭の下がる思いで一杯だったぜ………
「あいつは、バイトやぞ」
「知ってるよ。だから、お前に渡すんだ。バレンタインのお返しって伝えといてくれ」
「アホっ!んなもん、明日本人に直接手渡せや」
「照れ臭いだろ。勘違いされても上手くないし、お前に渡す方が丁度良いんだよ。じゃあ、頼んだからな」
言うだけ言うと、奴の返事を待たず部屋に入る。
貧は、まだ何か言いたそうだったが別に気にする必要はないだろ。
◇◇◇
アホに渡された箱を眺める。
丁寧にラッピングされたそれは、それなりに値の張るもんなんやろうな。
あいつがアホに渡したのも、こんな感じやった気がするから、それに合わせたんやろ。
律儀に返した事から、小鳩にも “脈” はあるんやろうが………
「前途多難やな……」
ワイは、渡されたチョコを目にしながら溜息混じりに呟いた………
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