山奥で逞しく
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第二章
「私達も行くわよ!」
「お父さんは!?」
「農具倉庫に入れてるわ!」
「わかったわ!」
楓はすぐに応えてだった。
母と一緒にビニールハウスの方に行った、そしてだった。
そこに行くと黒髪でショーヘアできりっとした顔の二番目の姉の菖蒲がいて必死にビニールを外していた。見れば長身でスタイルがいい。
そうしてだ、母と妹を見ると叫んできた。
「ビニールは私が外すから!」
「うん、ビニール持って行くね!」
「そうするわね!」
「お姉ちゃんも動いてるし!」
「トラクター倉庫に入れるわ!」
一番上の姉の菫はトラクターに乗って動かしている、切れ長の大きな垂れ目で泣き黒子がありやはり背が高くスタイルがいい。波がかった黒髪が嵐になびいている。
「斧もね!」
「お姉ちゃん猟銃は!?」
「もう倉庫に入れたわ!」
楓に叫ぶ、そしてだった。
一家総出で力仕事を急いで行い台風への備えを終えた、次の日台風で学校は休みになりその翌日だった。
楓は登校して同級生に笑って言った。
「畑何もなくてよかったわ」
「畑は何もなくても」
それでもと言う同級生だった。
「やっぱりお家大変だったでしょ」
「いつものことだから」
楓は笑って応えた。
「別にね」
「何でもないの」
「そうなの」
「そういえば」
同級生は楓に言った。
「あんた学校への行き帰り山を自転車よね」
「そうだけれど」
「行きは下りでも帰りは上りだし」
それでというのだ。
「だったら足腰凄くなるわね、体力もつくし」
「そうかしら」
「そうかしらじゃないわよ」
それこそというのだ。
「そうなるわよ」
「そうなの」
「だからね」
それでというのだ。
「山姥の子孫じゃなくても体力付くわね」
「また山姥?」
「山だからね、それであんた今日も部活で走るのね」
「そうするわ」
同級生に笑顔で応えた。
「陸上部だしね、それでお家に帰るのね」
「勿論よ」
笑顔で応える楓だった、そして実際に部活に出て家に帰った。この日は家の仕事はしなかったがそうした日々を過ごし体力や腕力のことで困る人生は送らなかった。
山奥で逞しく 完
2026・1・16
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