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山奥で逞しく

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第一章

                山奥で逞しく
 その一家は山の中に一軒家で暮らしている、母親と三人姉妹だが姉妹の末っ子である花澤楓は黒髪が長く波がかっていて楚々とした感じで背が高くスタイルもいい。そして。
 兎角体力があり運動神経もかなりでだ、通っている中学校である日同級生に言われた。
「あんたのお家山の中にあるけれど」
「それがどうかしたの?」
「いや、まさかね」 
 同級生は陸上部の部活で八キロのランニングでも平気な楓に言った。
「山姥の子孫とか」
「妖怪の」
「山だしね」
「多分違うわよ」
 それはないとだ、楓は笑って返した。
「幾ら何でもね」
「多分なの」
「ご先祖様のことはわからないから」
 だからだというのだ。
「多分ね」
「多分なの」
「けれどうちは昔からね」
「あそこに住んでるのね」
「それで農家をしているの」
 そうだというのだ。
「家族でね」
「そうなのね」
「台風とか来ないと穏やかだから」
「台風ね」
「そう、台風が来たら」
 その時はというと。
「一家総出でビニールハウルのビニール外したりね」
「そうしたことしてなの」
「それでね」 
 そのうえでというのだ。
「力仕事も常だけれど」
「山姥の血は引いていないのね」
「多分ね」 
 こう言うのだった、そしてでだった。
 楓は普通の学園生活を送っていたがその台風が来てだった。
 母の桔梗、長い黒髪を持ち切れ長の整った目を持つ背が高くスタイルのいい彼女が学校から帰ってきた彼女に言った。
「急いで!台風が来るわよ!」
「わかってるわ!」 
 楓はセーラー服のままで母に応えた。
「ビニールハウス行くね!」
「もうお姉ちゃん達は行ってるから!」
 母は手袋とゴムの長靴を身に着けつつ叫んだ、ジーンズにセーターという動きやすく汚れてもいい恰好だ。 
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