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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語

作者:マルバ
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SAO編 主人公:マルバ
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
  第三十七話 シンカー救出作戦

 
前書き
バトル・ロワイアル編公開までのタイムリミットが刻々と近づいているッ……!
公開までに書き終われるのか……? 

 
 転移門に着き、キリトたちと別れる。
「また遊びに行くからね~」
「いや、お前は来なくていい」
「酷っ!? 嫌でも行く! 行くったら行く!!」
 キリトとマルバは仲の良い挨拶を交わし、キリトがアスナと共に転移門に向かおうとした時。
 転移門付近にたくさんの青い柱が立ち上った。
 それだけならよくあることだ。しかし、その柱の中から飛び出してきたプレイヤーが鬼気迫る顔をしていたため、その場に緊張が走った。更に、マルバたちはそのプレイヤーたちに見覚えがあった。あれは……コーバッツの部下たちだ。それにユリエールの姿もある。

「ガイズ!ユリエールさん! 一体どうしたの!?」
 マルバは名前を知っている二人に声をかけた。
「《リトルエネミーズ》かッ!? ボス級のモンスターにやられた! 隊長とシンカーが戻らない!」
「死神型のボスモンスターでした。名前は《The Fatal-scythe》。覚えがありますか?」
「いや、ない。でも六十層レベルのボスならコーバッツたちでも楽勝で戦えるはずじゃ?」
 マルバの問いに、ガイズは首を横に振った。
「いいや。俺は隊長の補佐として索敵や識別のスキルを重点的に上げてるんだが、奴は俺の識別スキルに引っかからなかった。確実に八十五層より上のボスモンスターだ」
「なん……だって……ッ!! それじゃ、コーバッツは!? シンカーはどうなったの!!」
「隊長はきっと俺たち全員の離脱を確認してから逃げるつもりだったんだろう。シンカーはボスの向こう側の小部屋にいた。あれはきっと安全地帯だ。バレルとカノンがボス越しに転移結晶を投げ渡したからすぐにでも来るはずだ」
「きっとコーバッツが無事転移するのを待っているのでしょう」
「でもそれじゃコーバッツが……危険じゃないか!」
「ああ、俺もすぐに来ると思ったんだが、まだ来ないとなると……ッ」
 切羽詰まったように話すガイズに、シリカが提案をした。
「すぐに黒鉄宮の《生命の碑》の所へ行きましょう! ここで心配していてもコーバッツさんの安否は分かりません!」


 一行はすぐに黒鉄宮に駆けつけた。
 果たして……その碑のコーバッツの名は、二本線によって消されてはいなかった。
「よ、かった……」
「隊長、無事だったんだ!」
 コーバッツの部下たちが喜ぶ隣で、マルバたちは知り合いの名が二本線で消されていないことを確認して回った。果たして、全ての名前は無事であった。
 しかし……
「ユイの名前が、ない……?」
「本当だ! じゃ、この子はまさか……」
「プレイヤーじゃない、のか?」
「そうかもしれません。だって、この碑に名前が載ってないってことは、HPが減らないってことですよね? この碑は、死んじゃった人とその死因を表すもののはずですから」
「たしかにそうだ。それならHPゲージがないことにも納得がいく」
「じゃ、本当にこの子は運営側の子だってこと……?」
「その可能性は高まったな。でもやっぱりこの年齢で、更にこの言語障害は一体なんなんだ……?」
 ミズキはクイックチェンジで手際よく記録結晶を取り出すと、《生命の碑》のユイの名前があるはずのあたりを写真に撮り、例の分厚い本に転写した。ホロキーボードを出すと、コメントを追加して書き込む。

 マルバたちがそんなことをやっている間に、コーバッツの元部下たちが突然歓声を上げた。驚いて振り返ると、そこにはコーバッツと見知らぬ男性が立っていた。ユリエールが急いでその男性に駆け寄る。その男性こそが、コーバッツたちが命がけで救出したシンカーであった。
 シリカが急いでコーバッツに尋ねた。
「コーバッツさん、大丈夫だったんですか!?」
「ああ、なんとかな。さすがにあれは死ぬかと思ったが」
「何があったんです?」

 コーバッツはシンカー救出の最中であった出来事について話し始めた。それは、本当に危険な出来事であった。




 コーバッツはユリエールの道案内の元、シンカーのいるダンジョンの探索をしていた。コーバッツ部隊は次々現れるゴースト系モンスターをどんどん斬り飛ばしながらシンカーのいるはずの安全地帯に向かって進み、ついにその安全地帯が見えた、その時のことだった。
 安全地帯からシンカーが顔を出した。驚愕と恐怖の表情で彼らを見ている。
「シンカー!!」
 ユリエールは思わずかけ出していた。シンカーはそれを見ると、その顔に更なる恐怖の表情を貼り付け、喉も枯れよとばかりに叫んだ。
「ユリエールッ! 来ちゃダメだッ!! その通路には……ッ!!!」
 コーバッツはその言葉にぎょっとして立ち尽くした。即座に補佐役のガイズが報告する。
「隊長! 二時方向に識別不能の定冠詞付きのモンスターが一体!」
「なんだってッ!? くそ、ユリエールが危険だ!! バレル!」
「はい!」
「ユリエールに麻痺を打て! あいつを止めるんだ!」
 ユリエールが十字路の三歩手前で崩れ落ちた。バレルが放った麻痺専用のピックがユリエールの脚に命中したのだ。ユリエールはダメージを受けずに麻痺にかかり、何が起こったのか分からずに倒れたまま、前方のシンカーを見つめた。
 と、その瞬間。ボスモンスターがユリエールの目前をごうっという音と共に通り過ぎた。
 コーバッツたちが慌ててユリエールに走り寄るのと、ボスがコーバッツたちに向き直るのはほぼ同時だった。コーバッツたちはユリエールの麻痺を回復させると、元来た方角にじりじりと後退する。

「これはまずいな。ガイズ、あいつは何層クラスのボスだ?」
「識別不能です。私のレベルより上、つまり少なくとも八十五層クラスです」
「なんてこった……。 バレル、カノン、転移結晶をボスの向こう側、シンカーの安全地帯まで投げられるか?」
「恐らく可能です」
「よし、投げ渡せ。他のものはすぐに離脱しろ!」
 バレルとカノンの二人が転移結晶を『シングルシュート』でシンカーの位置まで投げ飛ばした。それはボスのすぐ横を飛んでいき、シンカーがなんとかキャッチする。ボスはそれを攻撃とみなしたようで、バレルとカノンの二人に向かって鎌を構えた。
「私が奴の攻撃を受け止める! その隙に早く離脱するんだ!」
「隊長は!?」
「私はあの攻撃を一度受け、奴が硬直している隙に脱出する! 早くしろ!」
「隊長……! どうかご無事で!!」
 ガイズ、バレル、バレットの三人が青い光の柱に包まれ、コーバッツが取り残された。コーバッツは盾を構え、ボスの攻撃を待ち受ける。
 ボスの鎌が唸り、下からの刈り上げが放たれた。盾に凄まじい衝撃が走り、コーバッツの身体が浮き上がる。何が起こったのかよく分からないうちに、凄まじい衝撃と共に彼は床に叩きつけられた。
 HPゲージがレッドに染まっている。コーバッツは急いで盾を杖代わりに立ち上がると、自分が安全地帯の中にいることに気づいて愕然とした。どうやらあのボスはコーバッツを下からすくい上げ、頭上まで持ち上げた後後方に投げ飛ばしたらしい。もし投げ飛ばされた先が安全地帯でなければ、彼は落下ダメージを適用され、HPを全損していたに違いない。
「コーバッツさん……! よく無事で!」
「ああ、さすがに今のは助からないと思った。久しぶりだな、シンカー。街開き以来か?」
「そうですね。まさか再会する場所がこんなダンジョンの奥深くだとは思っても見なかったけれど」
「同感だ。……しかし、今のボスは一体?」
「確認はとれないですが、今のは恐らくラスボス。第百層で我々を待ち受けるはずのモンスターだと思われます。事前にウェブで公開されていたシルエットと全く同じ形でした」
「なんてことだ! 一体なぜ、こんな場所にラスボスがおるのだ……訳がわからない」
「それは私も同感です。まるでこの部屋に誰も入れないように守っているかのようです。あの十字路から動こうとしませんから」
「この部屋に……?」
 そう言われて初めて、コーバッツはあたりを見回した。正方形の部屋。で妙に白い光を放つ壁。そして部屋の中央には、意味ありげな直方体の黒い石が置いてある。
「この石が何か重要なものなのだろうか?」
「きっとそうなんでしょうね。ラスボスをこんなところに配置できるのはそれこそ茅場晶彦だけです。きっと誰にも知られたくない秘密が隠されているのでしょう」
「ふうむ……特別なものには見えんが……」
「そうですね。とりあえず、街に戻りませんか? お腹が減ってしまいまして……」
「そうだな。回廊結晶を持っているから、念のためここを記録しておくとしよう。また後日調査に訪れることができるように」
 コーバッツは回廊結晶の出口をその小部屋に設定すると、シンカーと共にその場から転移結晶で脱出した。




「そんなことが……」
「ああ。とにかく、まずはシンカーに何か食べさせなくては。私はこれで失礼する。もしその部屋に行ってみるつもりなら、この回廊結晶を使い給え」
「え、いいんですか?」
「ああ、構わない。この前の礼だ。それに、私達は《軍》の再建のために忙しく、調査に行くことはできない」
「ありがとうございます」

 シンカーたちが去ってから、マルバたちは相談を始めた。
「ねぇ、どうする? 気になるよね」
「気になりますね……。キリトさんたちはどう思います?」
「臭うな。かなり臭う。これは見に行く価値がありそうだ」
「それじゃ、決まりだね。みんなで見に行こうよ。帰ってくる時にまた回廊結晶で記録してこなきゃいけないけど、この前たまたま回廊結晶を見つけてまだ売ってないからそれ使えるし」
「決まりですね。シンカーさんの二の舞にならないように、転移結晶だけは十分準備しなくちゃですね」
「そうだな。よし、行くぞ!」

 その場の皆は転移結晶の残りを確認すると、回廊結晶によって作られたワープゾーンに入っていった。もちろん、ユイもそれに続いた。 
 

 
後書き
さてさて、ユイも付いて行ってしまいましたよ。どうなるんでしょう。

ガイズ、バレル、カノンと新しいキャラが数人登場していますが、あまり気にしなくていいです。脇役中の脇役ですので。グリームアイズ編でもこの三人はちらっと出てきているので記憶力の良い方は覚えていらっしゃるかもしれませんね。

次回予告! ユイ、ロスト! これ以上はネタバレにつき書きません。乞うご期待! 
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