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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第73話 最終決戦

「うう……ぐ……あああ……!!」

シュテルの作戦は成功だった。
2人の攻撃は直撃し、苦しんでいる。

零治を突き刺し、上げたまま……



「ああ……ああああー!!」

UーDは苦しんだ後、零治を離し、何処かへ行ってしまった。
そして支えるものが無くなった零治は真っ直ぐ落ちていく。

「!?」

我に返ったディアーチェが慌てて零治の下に足場を展開。
落ちることが無くなった零治だが、体から血が流れていた。

「何をしてるのだ馬鹿者!!」

直ぐにディアーチェが魔法で止血に取りかかる。だが破壊しか知らないディアーチェ達は回復魔法を知らなかった。

「くそっ!?どうすれば………」

「ディア。………シュテルと……レヴィは……?」

「あの2人は無事だ!レイが守ってくれたお陰でな。だから喋るな!!」

傷を抑え、血を止めようとするも止まらない。
ディアーチェにはどうすればいいのか分からなかった。
そんな時、

「レイー!!!」

「王!医者を!!」

そこに駆けつけたのは、シュテル、レヴィ、近くまで来ていたアースラ組のシャマルだ。
アースラ組が来ているのに気がついたシュテルは直接彼女等の所へ行き、シャマルを連れてきたのだ。

「ちょっと見せて!……うっ!?これは酷い……」

「レイ!!しっかり、しっかりして!!」

「頼む!レイを……レイを助けてくれ!!」

「分かってるわ!絶対に助けて見せる!!」

シャマルは両手を添え、治療のために集中する。
それを見て、ディアーチェは立ち上がった。

「………レイ、お前が居なくとも我等だけでも奴を救って見せる。だからお前はそこでゆっくり休んでいろ」

最後にそう言い残し、ディアーチェ逹ははやて逹の所へ向かった。








「王様、お兄さんは!?」

慌ててこっちに来たはやて達がディアーチェに零治の容態を聞いた。

「今、医者が見てくれているわ。それよりどうしてここにいる?」

「………UーDを倒しに来たんや」

「ならん!そんなこと絶対させん!!我はあやつを救うと決めたのだ!そのために動いたレイを裏切るわけにはいかん!!」

「レイ?」

「恐らくキリエさんが言ってた零治さんだよ」

フェイトになのはが教える。

「我等は必ずあやつを救う!!邪魔をするなら容赦はせぬぞ!!」

「王様……」

「ねぇ、なら一緒に行こう」

そんな王様になのはが声を声をかけた。

「なのはの言う通りだよ。手伝ってもらった方がうまくいくだろうし。救うなら尚更いいよ!」

フェイトもなのはの意見に賛同する。

「僕も賛成だ。UーDをどうにかできるのは君達だけだからな。例えそれが救う結果になったとしても危険がなければ問題ない」

クロノの意見で方針は決まったようだ。

「王様、やろう!レイが起きたときにUーDを紹介出来るように!」

「次で決着です」

「ああ。この戦い、我等の勝利で終えようぞ!!」

ディアーチェの掛け声と共に皆は最終決戦に望むのであった………









「全く、バカな人ね………」

キリエは治療中の零治を見て呟いた。

「あの子達を助けるために自分を盾にするなんて……」

未だに零治は目を覚まさない。
回復はシャマルさんの指揮の元、リーゼ姉妹にも手伝ってもらっている。

「キリエ………」

そんな妹の様子を姉は心配そうに見ていた。
既に2人も最終決戦を手伝うことは決めている。

「行こうお姉ちゃん」

「いいの?」

「いいの。起きたらみっちり文句を言ってあげるから」

そう言ったキリエの顔は清々しく、まるで問題無いみたいだった。
だが、アミタはそんなキリエが無理をしているように見えた。

(本当は心配なんだろうな……)

そんなことを思いながらも口に出すことはせず、

「……分かった、次で決着を決めましょう!」

「ええ」

妹と並んで、この事件を終わらせにいくことにした。






「零治……」

治療している零治のすぐそばにアギトは立ち尽くしていた。

自分の大事なロードの命が危険なほどの大怪我。
自分がいれば幾らか状況が変わっていたかもしれないのにと後悔に押し潰されそうになっていた。

「大丈夫だよ、彼は絶対に死なせたりしないから」

リーゼアリアの言葉に心も多少軽くはなったものの、やはり後悔はつきない。

「零治……」

零治の顔を見ながらアギトはただ無事を祈るのであった。











気がつくと俺は傭兵時代に良く先輩に付き合わされた酒場にいた。

「何で俺はこんな所に……?」

最後に覚えているのはディアに何かを話した事。

「それなのに俺は何でここにいるんだ?」

俺は自分の置かれている状況に混乱している時だった。

「よう!」

とても懐かしく、一生忘れることのない人の声を聞いたのだ。








「UーDの様子はどうだ?」

『今の所沈静化してるよ』

クロノの問いに通信越しのエイミィが答える。

「よし、なら前に話したプランで行く。第1チームが一番威力のある魔法を集中して防壁を破壊し、第2チームがその後プログラムカードリッジと威力のある魔法で攻撃。……後はマテリアルの彼女逹が直接UーDを書き換える」

「ああ、最後は我等に任せてくれ」

ディアーチェの言葉に皆が頷く。

「それと、ユーノ、アルフ、ザフィーラはみんなの援護を頼む」

「うん」

「分かったよ」

「了解した」

ユーノとアルフ、ザフィーラは返事をしたその時、

「待ってください!!」

声と共に、トーマ、ヴィヴィオ、アインハルトがやって来た。

「僕たちも手伝います!」

「私達だけ見てるだけなんていきません!」

「私も協力させてもらいます」

「……済まない。それじゃあみんな、行こう!」








「ほら、お前も飲めよ」

先輩は俺をカウンターに招き寄せ、酒を進めてきた。

「俺、まだ未成年ですよ……」
「どうせシャイデに飲まされてるだろ?」

そうなんだけど……

「それより先輩、ここは………?そして何で先輩が………?」

「いいから!いいから!取り敢えず飲めって!!先輩の酌を断ったりするなよ!」

そう言って何度も催促してくる。

「分かりました!分かりました!!飲みますから止めてください!!」

あんまりにもしつこいので俺は渋々酒を飲む。
あっ、結構うまい。

「で、結構楽しんでるみたいじゃないか」

「何のことですか?」

「女の子はべらせて……このリア充が!!」

「いきなりなんですか……?」

「俺なんかシャイデをおとすのにどれだけ苦労したか……」

そりゃあ、くだらない事に俺を付き合わさせてたからな………

「よく知ってますよ。でもそんな下らない話をする暇があったら俺帰っても良いですか?俺にはやらなきゃいけない事があるので」

「何だよ、久しぶりに会っても付き合い悪いなお前は……まあお前らしいか」

酒をグビッと一気に飲み干し、俺を見る。

「あの子は心の中で助けを求めてるぞ。こんな運命が嫌だ、破壊なんてしたくないってな。それを救えるのはお前とあの子の家族だけだ」

そう言う先輩の顔はいつものおちゃらけた感じではなく、滅多に見せない真面目な顔だった。

「だから……あの子にも未来を切り開いてやりな。かつてお前が助けた消えかかってた少女達の時の様に」

「先輩?」

あれ、意識が……

「また会えて嬉しかったよ。だけど、もうここには来るなよ〜!」

「ちょっ、先……」

そこで俺の意識は完全に暗くなった……






『目標コード『システムUーD』、座標確認、位置確認……結界魔導師による空間封鎖完了!ですが、周辺魔力が凄い勢いで集められていきます、ドンドンパワーアップしてる!』
「私達の攻撃で失った分を急遽取り入れてますね。ですがそのスピードも普通より遅いです。これくらいなら何とかなりそうですね。レイが作ってくれた時間、無駄になりませんでした」
「うん、そうだね。レイが作ってくれたチャンス、必ず成功させなきゃ!」
「行くぞ、シュテル、レヴィ。我等の力で必ずUーDを救ってみせようぞ!!」

マテリアル逹は最後の戦いの為に3人で気合を入れたのだった……







「よし、第1チーム、システムUーDを目視。これより作戦を開始する」

第1チームにいるのは、クロノ、シグナム、ヴィータ、アインハルト、ザフィーラ、キリエ、アミタ。

「ヤミちゃ〜ん!少しお話しません〜?」

「………」

キリエがUーDに話しかけるが、UーDは反応しない。

「やっぱり反応ないですね……」

「魔力を集めながら、次段階への覚醒をしようとしている……」

「ここで仕留めねーと不味いな……」

険しい顔してアミタ、シグナム、ヴィータが言う。

「あの方、何だか悲しそうに見えます……」

アインハルトはUーDを見てそう呟いた。

「確かアイツも初めてUーDを見たときにそんな事言ってたっけ……?でも油断しないで。気を抜いたら一瞬で落とされるわ」

「もしかして零治さんですか?」

「そう」

キリエがアインハルトに気を引き締める様に言う。

「キリエ、タイミングを合わせて下さいね」

「分かってる、アミタ」

「よし、なら第2チームに続くように、全力で攻撃するぞ!」

クロノの声に第1チームの戦闘が始まった。







「うっ!?」

目を開けると景色は淀んだ空だ。

「零治!?」

「ここは……?」

「零治ー!!」

アギトが俺に飛びこんできた。

「ふぅ……取り敢えず、峠は超えたな」

「ええ、何とかなったわね」

声が聞こえたので、体を起こして見ると、シャマル先生と猫耳の女性2人がいた。

「俺は………」

「あっ、まだ起き上がっちゃ駄目ですよ。今、アースラに転移しますから」

「転移………?そうだ!!UーDは!?」

「そろそろ戦闘が始まる頃よ」

「マテリアル逹は?」

「みんな無事。零治君の分も頑張るって言ってたわ」

「そうですか………」

俺は大きく息を吐き、再び体を寝かせた。
取り敢えず一安心だな。

「作戦も干渉制御ワクチンを打ち込めた事で、制御を目的とした作戦になりました。うまくいけばヤミちゃんも助けられますよ」

そう言ってシャマル先生は立ち上がって通信をし始めた。
猫耳姉妹もそれぞれ何かしている。

そうか………
だけど何だ?この胸を突くような不安は……

「ラグナル、ブラックサレナはどうだ?」

『どうだと言われましても……ボソンジャンプくらいは出来ますけど、戦闘は無理ですね』

「アギト……お願いがある」

「何だ?今のアタシは寛大だから何でもしてやるぞ!」

「ユニゾンしてくれ」

「ああ、全然……って何!?」

アギトの大声でシャマル先生と猫耳姉妹がこっちを向いてしまった。

「どうしたの?」

「ああ、大丈夫です。お気になさらず」

そう?と言って3人共自分の作業に戻っていった。
バレなくて良かった……

「零治、何考えてるんだ!?」

『そうですよ、マスター!!』

「2人共ボリューム下げてくれ。何か嫌な予感がするんだ。別に戦闘に参加するつもりは無いから、頼む!行かなきゃいけない気がするんだ!」

『でも、連戦続きで魔力も後僅かってシャマル先生が言ってたぜ……』

「大丈夫、これがあるから」

そう言って俺は懐からスカさん特製魔力増幅剤を取り出した。

『バッタモンじゃないですか!!また動けなくなりたいんですか!?』

「それでも行かなくちゃいけない気がするんだ!だから頼む……」

俺は動けない体で一生懸命頼む。
するとアギトが俺の体に触れ、

「……ユニゾンイン」

ユニゾンしてくれた。

「何!?」

「「えっ!?」」

「サンキューアギト」

『……零治はロードだからな。だけどアタシは怒ってるぞ』

「ああ、ごめんな。ラグナル、ブラックサレナ!」

ユニゾンのおかげで動けるようになった体で、ブラックサレナを展開。
そしてスカさんから貰っておいた魔力増幅剤を飲む。

「零治君!?何をするつもり?」

「すいません、何か嫌な予感がするんです。UーDの所へ行きます!」

「駄目だ!お前、自分がどれだけ危険な状態か分かってるのか!?」

「そうよ、止めなさい!」

「………ごめんなさい。ジャンプ!」

止める3人を無視して俺はUーDの所へ向かった……








「はあああああ!!」

シグナムはレヴァンテインを向けて、UーDに向かって攻撃する。

「……」

UーDは無言でそれを受ける。
しかしその体には傷一つつかない。

「くっ!?やはり………ザフィーラ、頼む!!」

大きな手により、払い退けられながらザフィーラに頼むシグナム。

「了解した………はああああああ、鋼の軛!!」

地面から伸びた、鋼の軛がUーDを絡めて動けなくする。

「執務官!」

「分かってる!行くぞ、凍てつけ!エターナルコフィン!」

クロノのデバイス、氷結の杖ディランダルから繰り出された冷気はUーDを包み、凍らせる。

「次、ヴィータ頼むぞ!」

「了解です!轟・天・爆・砕ギガントシュラーーーーク!!」

ひと振り回したヴィータのハンマーがとても巨大な大きさのハンマーになる。
そしてそれが未だに固まったままのUーDに直撃する。

「次、アインハルト行けー!!」

「はい!私の拳に全てを掛けます!」

全体に巻き起こる風を右拳に纏わせる。

「覇王・断・空・拳ーー!!」

その右手に纏わせた風を一気に放出した。

「アミタさん、キリエさんお願いします!」

「了解!熱血、必中で行きます!」

「ちゃんと合わせなさいねアミタ!」

二人はUーDを挟む様に斬りかかる。

「先ずは私!」

アミタが銃で牽制する。

「キリエ!」

アミタが撃ち終わった後、キリエは大剣で斬りかかる。
横薙ぎ、袈裟斬り、そして思いっきり斬り上げる。

「アミタ!」

「ええ!E.O.D行け!!」

上がってきたUーDに準備していた魔力弾の包囲が一斉に襲いかかる。

「キリエ!」

「これがお姉ちゃんとの合体技、アサルトコンビネーション!」

キリエの銃で作りだした巨大な魔力弾をぶつけた。

「シグナムさん、お願いします!」

「任された」

アミタに言われたシグナムはレヴァンテインをボーゲンフォルムに変える。

「行くぞ!駆けよ隼!シュツルムファルケン!!」

高速の魔力の矢がUーDに突き刺さった。

「どうだ………?」

第1チームの全力の攻撃。
シグナムの最後の攻撃は見事に防壁を破り、突き刺さった。
全員でつなげた攻撃、それによってもたされた結果だ。

しかし………

「あっ、ああああ!!」

UーDの様子が変わり、白い服だった色彩が血の様な真っ赤な赤に変わる。

「色彩が変わった……?」

『魔力増大、未知の魔力素を検出!』

「あれが無限連環機構、『エグザミア』の力………」

キリエがUーDの様子を見て呟く。

「でも、やっぱりあの方、泣いてます」

「苦しいんだね。元々誰かが支えてあげないと自壊してしまうんだし……」

アインハルトの言葉にアミタが続く。

「シュテルの話だとあの戦闘モードになると人格まで変わるらしい。自分の意思で、破壊をはじめちまう」

「何とかして止めてやらねばならんが………」

そんな事を言ってると、UーDが淀んだ目でこっちを見てくる。

「!?皆、散開しろ!」

クロノが叫ぶが、間に合わない。

「ジャベリンバッシュ………」

大きな血の色の翼を広げ、羽の様な魔力弾を放出した。
その数は凄まじく、皆、ガードしたり回避したりと対応するが、長くは続かず………

「みんな!!」

第2チームが着いた時には、第1チームの全員が倒れていた………










『マスター!!ここからでも分かるくらい凄い魔力反応が!!』

「分かってる、ひしひしと感じてるよ」

ブラックサレナは転移して直ぐに崩壊、次に展開するまで暫くは無理だろうな……
アーベントもアギトとユニゾンを解除しなければ展開出来ないし、ユニゾンを解除したら今度は俺が動けなくなる……

UーDがいる地点まで約15Km程。

………間に合うか?

「急ぐぞ、下手したら間に合わなくなるかもしれん」

『夜美逹大丈夫だよな?』

「分からない、だから最悪な事になる前に何としても間に合わせるぞ!!」

俺は急いで、戦闘場所へと向かった。






「ユーノ君、アルフさん、みんなを!!」

「うん、なのは気を付けて!」

「みんな頑張ってくれ!」

ユーノとアルフは第1チームの救助に当たる。
そして、第2チームの面々は更に禍々しくなったUーDに目を向けた。

「王……それにシュテル、レヴィ、どうしてここに……?」

「知れた事。貴様を手に収めに来たのよ」

「私逹はあなたを救いたい」

「そのためにオリジナルとここまで来たんだ!」

「そう……だけど君たちは私に敵わない……白銀の騎士も私が壊した。忘れたわけではないでしょう?」

「笑わせるな、奴はこんなものでは壊れん。我との約束を果たし、少し休んでいるだけよ」

「そうだとして……私を手に入れて、それでどうします?」

「貴様の力を我がものにして、制御しきってくれる」

「それが私逹の願いでもあり」

「僕たちの悲願でもあるんだ」

「無限の力を手に入れて……借りに制御出来たとして……それであなたは何をする?」

「そうさの……この世界を粉々に砕いても良いが……塵芥の様な人間共の居らぬ地に赴いて、ゼロから我が王土を築いてやるのも良い。そして何より……」

ディアーチェはシュテルとレヴィを見て、

「家族として一緒に過ごすのも悪くないと思う。レイの世界では我らは人間として、生活しているらしい。そんな事は考えた事も無かったが、それはそれで面白そうだ。あっちの我等でも出来たのだ。我等にも出来よう」

ディアーチェの発言にシュテルとレヴィも予想外だったのか驚いてるが、2人共笑顔になる。

「夢物語だ………そんな事出来ません」

「出来るかできぬかは知らぬ。だが、やるかやらぬかは我が決めることよ。貴様と無駄な問答する気は無い。これは命令ぞ……我が元に来い、UーD」

「そうです、一緒に居ましょう」

「一緒の方が楽しいよ!」

3人の言葉にUーDの顔が暗くなる。

「でも駄目です、あなた逹も壊してしまう……」

「阿呆が!!壊れぬわ!!我等3人協力すればどんな状況でも負ける事は無い!」

「そうです、私達3人の力は凄いです」

「僕逹は最強だよ!!」

「故に我等は負けない!!」

「それに私達もいるから……」

3人の言葉に続いてなのは達も加わる。

「ヤミちゃんだけ仲間外れは可哀想やからな」

「それに本当は優しい子だから救いたいんだ……」

「私が助けてもらったように、あなたも悲しみから助けてあげる………」

「そしてみんなでハッピーエンドだ!」

『うん、私も頑張るよトーマ!』

マテリアル逹だけでなく、第2チームみんながディアーチェ逹と並び、UーDに声をかける。

「我等の力を持って、貴様を今、永遠の牢獄から引きずりだす!!」

ディアーチェの宣言と共に、最終決戦の火蓋が切って落とされた……






「パイロシューター!」
「アクセルシューター!」

なのはとシュテルの誘導弾が互いに広範囲に展開してUーDを襲う。

「そんなもの」

両手にエターナルセイバーを展開して向かってくる誘導弾を全て消し去る。

「たああああー!!」
「でやあああー!!」

その内に両サイドからフェイトとレヴィがハーケンザンバーで突撃。

「届かない」

だがそれもエターナルセイバーで受け止められてしまう。

「ですが!」
「これなら!」

両手がふさがってる状態を狙って、ヴィヴィオとトーマがUーDに向かって突撃。

「それも無駄」

UーDは両手を抑えられた状態で頭上から大きな手を作り出し、その手で2人の攻撃を防いだ。

「だが、そこまですればこれは防げまい……」

「行くで王様!」

「我に命令するでない、小鴉!!行くぞ、アロンダイト!」
「クラウソラス!!」

二人の砲撃魔法は混じり合い、白と紫の砲撃魔法となる。

「だから………」

少し、体を丸めるUーD、

「届かない!!」

体を大きく広げるようにすると、周辺に衝撃波が巻き起こる。
それにより、抑えていた4人が吹っ飛ばされ、

「これで」

右手で作り出したシールドで、UーDは2人の砲撃魔法を完全に防いでみせた。

「くっ、通らないか……」

「固いな、ヤミちゃん……」

「今度はこっち……」

さっきと同様に大きな翼を展開する。

「ジャベリンバッシュ」

大量の羽を飛ばした。

「皆、避けよ!」

ディアーチェの掛け声と共に皆、一斉に避ける。
吹き飛ばされた分、遠くにいたので、皆何とか避ける事が出来た。

「ナノハ!」

「うん!ディバイイイン………」

「ブラスト……」

「「バスター(ファイヤー)!!」」

今度はなのはとシュテルの合わせた砲撃魔法がUーDを襲う。

「だから……」

「でも」

「ここまで来れば!」

直撃する前に、ソニックフォームとスプライトフォームになっていたフェイトとレヴィが襲う。

「シールドは両手を塞がれちゃ使えないよね?」

フェイトの言葉と共に、UーDはなのはとシュテルの砲撃魔法が直撃した。

「二人共離れろ!!インフェルノ!」

巨大な魔力弾が上空から降り注ぐ。

「私も行くで!バルムンク!!」

それに続いて、UーDに向かって、360°から魔力の刃が突き刺さった。

「最後は私と」

「俺たちだ!」

最後はヴィヴィオとトーマ。
二人共並んで、UーDに迫る。

「一閃必中、セイグリットブレイザー!!」

右手に展開した虹色の魔力を斜め上から一気に放出した。

「うおおおおおおお!」

ヴィヴィオのセイグリットブレイザーの後を追う様に、トーマが進む。
銀十字からページが飛び散る。ページはUーDを囲み、トーマがそこへ突っ込む。

「はあああああ!!」

大剣で斬り降ろし、横薙ぎ、斬り上げる。
そして……

「ディバイドゼロエクリプス!!」

上に上がったUーDに巨大な魔力を解き放った。

「よし、よくやった!!後は我等で……」

「!?王様!!」

はやてが王様をかばうように前に出る。
煙からいつの間にか、ディアーチェの所へUーDが現れた。

「なっ!?」

そしてUーDはそのまま、庇ったはやての胸に手を突き刺し、そこから自分の3倍以上もある巨大な剣を作り出し、

「エンシェント・マトリクス」

作り出した剣を回るように動かし、はやてに突き刺す。
そして………

「さようなら」

刺さった剣を最後に自分で踏んで、爆発させた。

「キャアアアアアアア!!」

「小鴉ー!!」

はやては落ちながら、ユニゾンが解け、リインフォースと共に落ちていく。

「はやて!!」

フェイトはすかさず、はやて逹を助けようと動くが、

「オリジナル、ダメ!!」

レヴィが叫ぶも、間に合わない。

「遅い」

フェイトに向かってバインドを飛ばしたUーD。
気づくのに遅れたフェイトはバインドに捕まった。

「これで……」

作り出した大きい槍を動けないフェイトに向かって飛ばす、UーD

「間に合えー!!」

レヴィが向かうが、間に合わず、フェイトに突き刺さる。

「きゃあああああ!!」

「これで2人目」

UーDが呟く。

「これがヤミちゃんの力……?」

「ナノハ、合わせてください。私達の最大の魔法でUーDを攻撃します」

「うん、分かった!プログラムロード、ネーベルベルファー!」

「!?させない!」

UーDもなのはのカードリッジに危機感を感じたのか、止めに向かう。

「ここは……」

「行かせない!」

そこにヴィヴィオとトーマが止めに入る。

「っ!?邪魔!!」

エターナルセイバーを振るい、2人を吹き飛ばす。
が、それでも2人は耐え、また向かってく。

「行くよ!全力全開!!スターライト……」
「疾れ明星、全てを灼き消す焔と変われ、真・ルシフェリオン………」

「「ブレイカー!!」」

二人の最高の砲撃魔法がUーDを飲み込む。

「やった!!」

「これで!!」

何とかUーDを抑えきった2人にも笑みがこぼれる。
……だが

「駄目ですよ油断しちゃ……」

未だに無傷で現れたUーD。
そして大きく広げた翼から、大量の羽を飛ばす。

「ヴィヴィオ!!」

「トーマ!!」

互いに背を合せ、守りあいながら攻撃を躱すが、次第に耐え切れなくなり……

「キャアアアアア!!」

「うわあああああ!!」

二人共倒れてしまった。

「そんな……」

「後は4人ですね……」

ここに残っているのはマテリアル逹となのは。
他は皆倒れてしまった。

「だが、貴様も余裕はなさそうだな」

「何を言って……!?」

そう言われてUーDは自分の違和感に気がついた。

「これは………傷?」

「通っていたのだ。皆が繋げた攻撃はな」

「ここまで来て諦めるもんか!」

「私達は最後の一人になっても諦めない!」

「後もう少しであなたを救えます、UーD」

「ううう………うわあああああああ!!」

UーDの叫び声と共に、周りが漆黒の闇へと変化する。

「もうお遊びは終わりにします」

そう言ったUーDは血の色の剣を大量に展開する。
そして、

「いけ!」

それを一気に4人に向けて飛ばした。
剣は不規則に目標へ向かっていく。

「こんなもの!」

レヴィが剣に向かってハーケンを振る。

「うそっ!?」

だが、レヴィのハーケンは空を斬った。
剣がいきなり急降下したのだ。

「パイロシューター!」
「アクセルシューター!」

剣を相殺するために誘導弾を発射するが……

「駄目!!アクセルシューターじゃ……」

「私のパイロシューターでも駄目です……」

当たるには当たったが、いとも簡単にはじかれてしまう。

「アロンダイト!」

ディアーチェの砲撃魔法も剣に避けられてしまう。

「こうなったら………」

レヴィは動かず、目をつぶる。
そして無防備になった剣がレヴィに向かって飛んでいく。

「レヴィ!!」

「……そこだ!!」

向かってくる瞬間レヴィのハーケンが一閃。
向かってきた剣を全て斬り落としていく。

「凄いよレヴィちゃん!!」

「流石はレヴィ。野生の感だけは優れてますね」

「へへーん!僕最強!!」

「流石我の臣下よ」

「ですけど、それで全部じゃないんです」

それを待っていたかの如く、かなり上空に設置した剣をレヴィに向ける。

「レヴィちゃん!!」

いち早く気がついたなのはがフラッシュムーブでレヴィを突き飛ばす。

「キャアアアア!!」

庇ったなのはがレヴィの代わりに貫かれた。

「ナノハ!!」

「これで後はあなた逹だけです」

冷酷に告げるUーD。
それに対してマテリアルの3人は固まって話していた。

「くそーっ、後もう少しなのに………」

「そうですね。あの攻撃力、恐らく防壁に回していた魔力を使って生み出しているのだと思います。ですので、今なら………」

「そうか………」

大きく翼を展開するUーD、
それを見て、レヴィとシュテルはお互いの顔を見合わせて決意する。

「王、強大魔法の準備を。それまで私達が時間を稼ぎます」

「そしてUーDに向かって魔法をぶつけちゃえ!!」

「なっ!?だが……」

「大丈夫です、絶対に帰ってきます。私もレヴィも王の作る国を楽しみにしていますから……」

「僕たちだって家族で過ごすのを楽しみにしてるだからね。だから……」

「「みんなで笑おう(いましょう)」」

「………分かった、頼むぞ」

ディアーチェも覚悟を決めて集中し始める。

「レヴィ、前線を頼みます」

「うん、だから援護はお願いねシュテるん!」

二人は覚悟を決めて、UーDに向かって行った。




「ジャベリンバッシュ」

最初に戦ってる時よりも多い羽の魔力弾が襲う。

「ディザスターヒート!」

ディザスターヘッドから繰り出された魔力砲がレヴィに向かってくる羽を魔力弾が消し去る。

「ありがとうシュテるん!!行くよ、光翼斬!!」

UーDに向かって、ハーケンで作った魔力刃を放つ。

「こんなもので……」

シールドを張り、光翼斬をはじき返すUーD。

「そんなの分かってる!だから……」

そう言った瞬間高々とバルフィニカスを上げる。

「僕の最高の一撃を君にぶつけるんだ!!」

そう言うと自分の周りに雷の魔力の玉が複数出来る。
そこから伸びるように雷のナイフがUーDに向かって突き刺さる。

UーDもシールドを張って防ごうとするが、それを避けるようにUーDに突き刺さった。

「ぐぅ!?」

「雷刃……」

突き刺されたUーDは雷に包まれる。

「封殺……」

左手をUーDに向け、

「爆滅剣!」

そう言った後、雷は膨れ上がり、

「うああああ!!」

爆発した。

「どうだ!!」

UーDはまだ立っているが、さっきまでの余裕は無い。

「やはり効いてる……レヴィ!!」

「うん!!もう少しで……」

追撃に移動しようとした時だった。
UーDの目線はレヴィやシュテルには向いてなく、準備をしているディアーチェに向けられた。

「これ以上……好きにさせない!」

そう言ったUーDはディアーチェに向かって飛ぶ。

「!?駄目だ!!」

「王!!」

直ぐ気がついたレヴィとシュテルがディアーチェの所に向かう。
だが………

「「バインド!?」」

バインドにより、2人は動けない。

「王様、逃げて!!」

集中していたディアーチェはレヴィの声にやっと気がつく。

「しまった!?」

「王!!」

既にUーDはエターナルソードを展開してディアーチェの直ぐそこまで来ていた
逃げられる余裕なんてない。
そう思って目をつぶったその時だった。

「……大ピンチみたいじゃないかディア?」

目の前には満身創痍ながらエターナルソードを受け止めた零治がいた………









「なぜ貴様がここに………?」

「なっ、俺の言った通りだろ?」

『そうですけど……』
『ぶっちゃけ役に立つかな……?』

耐え切れなくなった俺はUーDに吹っ飛ばされる。

「くっ!?余計だっての!!それに一撃だけなら………ディア逹の為にも、そして何よりUーDの為にも一撃をくらわせる!!フルドライブ!」

『オーバーリミッツ!!』

自身の体がオレンジ色の光に包まれる。
俺は抜刀して、UーDに向かう。

「ぐううぅぅぅ………」

『『零治!(マスター!)』』

「行く!!まだ行ける!!」

「させない!」

UーDはなのはを突き刺した時に展開した剣を作り出し、零治に向かって放った。

『ソニックムーブ!』

ソニックムーブで高速移動しながら向かって来る剣を捌きながら、進む。
鋭い突きを高速移動しながらギリギリ交わし続ける。

「くっ、当たらない………何でそんなにボロボロなのに……」

そんな零治にUーDがうろたえた。

「そんな攻撃で俺を止められると思うなよUーD!!例えボロボロでも必ず一撃を!!」

なおも零治の勢いは止まらない。

「だったら!!」

大きな翼を広げ、第1チームやヴィヴィオ、トーマを止めた羽を零治目掛けて飛ばす。

「ジャンプ!」

零治は自身のレアスキル、空間転移で発射されてる射線から外れる。
そして再び、UーDに向かってく。

「止まれ、止まれ!」

射線が変わるごとに零治に向かって羽を飛ばすUーD。
零治もその度に空間転移で避ける。
焦りが出てくるUーD。

そして零治はとうとうUーDに到達する。

「UーD、もう終わりにするぞ。お前の悪夢も絶望も………これはお前の未来へ紡ぐ、永劫の剣だ!!」

そう言うと、抜刀した刀が光輝く。

「斬!」

光の剣で横に斬り、

「空!」

次に続いて斬り降ろす。

「天・翔・剣ー!!」

高々と暗闇を切り裂く程の輝きをともし、斬り上げた。

「ああああああああああ!!!!」

「頼むぞ、シュテル、レヴィ、ディアー!!!」

そう叫びながら落ちる零治。
ユニゾンも自然に解け、アギトも一緒に落ちていく。
フルドライブを長期間使い、何度も空間転移し、最後に高威力の技を使った影響だった。

「レイ、感謝するぞ………行くぞ、シュテル、レヴィ」

バインドを破った二人はディアーチェの所へ向かっていた。

「はい、私の分の魔力も一緒に……」

「僕の分も頼むね王様!!」

「ああ、二人の分もUーDにぶつける!………紫天に吠えろ、我等の思い!!いでよ巨獣!!ジャガーノート!!」

エルシニアクロイツを高々と掲げ、魔方陣から強力な砲撃魔力が上に屈折し、UーDに向かう。
直撃すると大きな闇がUーDを包みこんだ。

強力な強大魔法により、暗闇と化した空間は割れ、白い空間に包まれた。

「王様!」

「ああ、シュテル、レヴィ、行くぞ!!」

3人は落ちていくUーDの所へ向かった。








「どう?お姫様抱っこされた感想は?」

「屈辱的だな………」

ただ落ちていく俺だったが、途中ピンクの髪の女性に抱えられ、難を逃れた。
しかしそれがお姫様抱っことはどうだろう?

このピンク、絶対に意趣返しだろ……

「零治……大丈夫か……?」

「ああ、悪かったなアギト。ゆっくり休んでいてくれ」

そう言うと安心した顔で、アミタの手の中で眠り始めるアギト。
痛みをフィードバックしてくれたり、俺の我侭に付き合ってもらったりと苦労をかけたな………

「それで、あの子逹は大丈夫なの?」

「ああ、後は家族の問題だ。俺が口を出すことじゃ………うっ!?」

「零治!?」

「零治さん!?」

「ヤバイな………後は……よろし…く……」

俺はそこで意識を失った………






「機能……エグザミアにダメージ……私は……壊れたのでしょうか……?」

UーDは静かに落ちていく。

「何も見えない……何も聞こえない………」

誰も何も無い静かな白い空間。

「とても……静かで………?」

だけどそんな空間に3つの影が現れ、落ちていくUーDを囲む様に支える。

「無事か?貴様、しっかりせぬか!!」

「王……?シュテル……?レヴィ……?」

「私達も戦術がうまくいったようです」

「僕たちの魔力も無駄にならなかったね!」

「飽和攻撃によって、貴様のエグザミアの誤作動を止め、その隙に、我が貴様のシステムを上書きする」

「夜天の書の主がかつて闇の書の融合騎にやったのと同じ作戦です。うまくいって良かったです」

「……?本当にエグザミアが止まってる……」

「我の闇の力、シュテルの発案、レヴィの出力があってはじめて成し遂げられた……まあ必然の結果よ」

「だから僕たち3人が揃えば負けないでしょ?」

「レイや他の皆さんの助けもあったおかげですけどね」

「うるさい!分かっておるわ!!……ともあれ貴様はもう、無闇な破壊を繰り返す必要も無い。暫くは不安定な状態もあろうが、我がしっかり縛り付けておいてくれる」

ディアーチェがそう言うと不思議そうにUーDは聞く。

「何故……そんな事を……?」

「思い出したのです、私逹の事を。私逹はもともと1つだった………エグザミアと、それを支えるエターナルリングのマテリアル。……すなわち、4基が揃ってはじめて1つの存在」

「闇から暁へと変わりゆく、紫色の天を織り成すもの……紫天の盟主とその守護者。我が王、シュテルとレヴィの2人の臣下。そしてお前は我等の主であり……我等の盟主」

「要するに僕逹は君の臣下だったんだよ!」

「それは……」

「無理に思い出さずともよい。いや、思い出す必要もない。我等はずっと、お前を探していたのだ……我等が我等であるために。お前が1人で泣いたりせぬように」

「王……あなたは……」

「惰眠をむさぼり、捜すのに手間取り……随分と待たせた。たった今より、もうお前を1人にはさせぬ。望まぬ破壊の力を振るわせたりもせぬ」

「だから安心して私達の所へ戻ってきて下さい」

「これで僕たちは家族だよ!!」

「王……シュテル……レヴィ……」

「お前はちびだが、我等の盟主ぞ。我の事も王ではなく単に名前で呼べ」

「……ディアーチェ」

「ディアでいい。あやつに言われてだが、結構気に入った」

「ディア」

「そうだ、よろしく頼むぞ、ユーリ・エーベルヴァイン」

「ユーリ?」

「それが人として生まれた時のお前の名だ」

「……ユーリ……エーベルヴァイン」

「これよりお前をユーリと呼ぶ。他の連中にもそう呼ばせる。良いな?」

「うん……」

ユーリは嬉しそうに呟く。

「さて、戻りましょう。皆も心配してるでしょうし、何よりレイが……」

「そうだよ!!レイ、あのまま落ちていっちゃったじゃん!!」

「大丈夫だ。ピンクがレイをキャッチしたのを見た。恐らく落ちたということは無いだろう」

「なら早く行こう!!レイにもユーリの事を教えてあげなきゃ!!」

「こら、我等を置いて先に行くでない!!」

「ふふ……」

ユーリを含めた4人は白い空間を抜けて、激戦を終えた皆の所へ戻っていくのだった……






こうして後に『砕け得ぬ闇事件』と名付けられたこの出来事は静かに終わりを迎えた…… 
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