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スーパーヒーロー戦記

作者:sibugaki
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第30話 激突!恐竜帝国

 ウルトラマンが倒され、二つのジュエルシードは砕かれてしまった。その報せはすぐさまウルトラ警備隊本部に届いていた。それを聞いた誰もが絶望を胸に抱いていた。

「なのはは、それにハヤタさんは?」

 二人の身を案じるフェイト。そんな彼女に知らされた事実は正直一番聞きたくない事であった。

「フェイトちゃん、落ち着いて聞いてくれ。ハヤタは行方不明。なのはちゃんは怪獣との戦闘で負傷。未だに意識が戻らない状態だ」
「そんな…」

 最悪であった。只ジュエルシードを取りに行くだけだと誰もが安堵していた結果がこれである。
 ウルトラマンを失い、貴重な魔導師の一人が今戦えない状態になってしまった。
 つまり以降ジュエルシードを封印出来るのはフェイトしか居ない。例え辛くても、もう隣に彼女は、なのはは居ない。
 そう思うと余計に体が重くなるのを感じた。
 何の変わりもない事であった。今までだってずっと一人でジュエルシードを集めてきたのだ。それがほんの少しの間だけだがなのはと共に集める事が出来た。それがまた元通りになっただけだと言うのに、それが余計に彼女を重くさせていた。

「幸いなのはイデが寸前の所でジュエルシード探査装置を作り上げてくれた事だ。これを用いれば有る程度ジュエルシードの位置を絞り込む事が出来る」

 正しく不幸中の幸いであった。これを用いれば残り6つのジュエルシードを見つける事が容易になると言うのだ。

「よし、早速ジュエルシードの捜索及び発見に全力を注ぐぞ」

 キリヤマ隊長の号令の元、直ちにジュエルシード捜索計画を実施しようと号令を掛ける。
 正にその時だった。突如としてけたたましい警報が鳴り響く。
 何事かとその場に居た全員がモニターの前に集まる。
 其処に映ったのは海から上陸を開始している大量のメカザウルスの軍勢、そしてその背後に浮かびだしたのは巨大な紫色の建造物であった。
 その建造物から奇妙なガスが噴出しているのだ分かる。
 明らかに有毒なガスだ。

「た、隊長! 東京湾に突如としてメカザウルスの大群が!」
「何!? こんな時に…」

 どうやら光の巨人の不在を知り遂に恐竜帝国が勝負に出たようだ。最悪の状況の時に最悪の状況が続いて起こってしまった。
 本来ならジュエルシードを探しに行かねばならない。だが、それを優先していては今度は東京が火の海と化してしまう。

「相手が恐竜帝国だったら俺達が片付ける! その間に君達はジュエルシードの捜索をしていてくれ」
「そう言うこった。デカブツ相手は俺達デカブツに任しておきな」

 闘志を胸に甲児とゲッターチームは部屋を出た。メカザウルスが勝負に出たのならこちらも勝負に出るだけだ。甲児はその思いに便乗したのだ。
 今度で恐竜帝国を完全に滅ぼす。その思いを胸にマジンガーZとゲッターロボは出撃した。




     ***





 東京湾沖には夥しい数のメカザウルスの姿があった。その総数はざっと100体は軽く居そうだ。それに、恐らく背後の建造物には更に大勢のメカザウルスが待機されているに違いない。時間を掛ければこちらが不利になるのは明白である。

「何て数だよ!」
「ふっ、蜥蜴共め、いよいよ勝負に出てきたって事だな」
「望む所だ! コーチの仇、今此処で討つ!」
「へっ、何も知らずに外に出てきた事を後悔させてやろうぜ!」

 四人は直ちに海上に降り立ち激戦が開始された。夥しい数のメカザウルスを前に二体のスーパーロボットが挑む。
 鉄の城マジンガーZと、三段変形を行えるゲッターロボ。この二体が圧倒的物量を誇る恐竜帝国の軍勢に挑んでいく。

「これでも食らいやがれ! 三博士が作った新兵器だ!」

 まず口火を切ったのはマジンガーZだった。Zの肘の間から無数のミサイルが放たれた。
 その先端はどれもドリル状に螺旋が描かれていた。
 そのミサイルがメカザウルスの体を貫き貫通し破壊していく。

「す、すげぇ…これがあのドリルミサイルって奴か! そんじゃお次はこいつで…」

 続いてZの両腕が放たれる。その腕は只のロケットパンチじゃなかった。 放ったロケットパンチから両刃の分厚い刃が現れる。その刃が斜線上のメカザウルスを全て両断していく。

「流石はもりもり博士だぜ! これがアイアンカッターって奴か! そんじゃ次は頼むぜスクランダー!」

 上空を旋回するスクランダーの翼から無数の手裏剣が放たれた。その手裏剣はメカザウルスに突き刺さり、切り裂き、破壊していった。小型の手裏剣だった。それが何発も放たれるのだ。

「これがサザンクロスナイフか…全く、三博士様様だぜ!」

 新武装の威力に上機嫌になる甲児。隣ではゲッターも負けてなかった。

「海上なら巴武蔵様の出番だぜぃ! どんどんきやがれ!」

 襲い来るメカザウルスを次々と投げ飛ばしていくゲッター3。遠くにはミサイルを放ち近づけば投げ飛ばす。凄まじい戦いだった。パワーに秀でたゲッター3ならではの戦い振りだ。しかしこれでは時間が掛かる。一体一体片付けていたのでは間に合わない。

「武蔵、時間を掛けていられないんだ。俺に代われ!」
「おう!」

 直ちにゲッターは3機に分離しゲッター2へとチェンジした。
 ドリルアームを回転させて高速で戦場を駆け巡る。その斜線上に居たメカザウルス達の末路は死だけであった。スピードに特化したゲッター2を捕える事は難しく、次々に風穴を開けられていくメカザウルス達。

「ふっ、ゲッターのスピードを甘く見るなよ」
「ハヤト! 上だ」
「何!?」

 竜馬の声が響く。見れば上空に奇妙な姿のメカザウルスが居た。空を飛んでいるが翼の変わりに巨大なアンテナをつけているのだ。
 そのアンテナから突如強烈な怪電波が発せられた。その電波に包まれるゲッター2。体が動かない。全身が痛む。
 これは只の電波ではない。

「ぐあぁぁぁ! 超振動波か!」

 隼人が言う。ゲッターの装甲に亀裂は走っていく。如何にゲッター合金で身を固めたロボットであろうと超振動には耐えられない。

「ゲッター! っの野郎!」

 上空のメカザウルスに向かいロケットパンチを叩き込んだ。それを食らったメカザウルス達は爆発した。
 だが、超振動を受けたロケットパンチもまた空中でバラバラになってしまった。しかしゲッターを救う為だ。腕の一本で済めば寧ろ安い方だ。
 超振動波から逃れる事が出来、地面に落下したゲッター2の元へマジンガーZが駆け寄る。装甲の各所に亀裂が走っているのがとても痛々しい。

「大丈夫か? 隼人」
「す、すまない……これ位どうって事ねぇぜ」
「隼人! 空中戦なら俺に任せろ!」

 再びゲットマシンに別れ、今度はゲッター1になる。
 背中のボロボロのウィングを展開して大空へと舞い上がる。空を埋め尽くす程のメカザウルスを両手のゲッターレザーで切り裂いていく。だが、倒した後から後からメカザウルスが沸いて出てくる。まるで数が減る傾向が見られないのだ。

「畜生! 一体どんだけメカザウルスが居るんだよ!」
「これが正念場だ! 弱音を吐くな!」

 竜馬が激励する。だが、その時背後から何かが突き刺さった。

「ぐわぁっ!」
「リョウ!」

 それは巨大な杭であった。背中から貫通される形で串刺しにされるゲッター。ゲッタービーム発射口が破壊されてしまった。

「しまった! これではビームが撃てない!」

 飛行能力を失い地面に落下するゲッター。それを助けに行こうとしたZを夥しい数のメカザウルス達が覆いかぶさり叩きのめしていく。

「いででっ! 邪魔するんじゃねぇ!」

 メカザウルス達を振り払うZ。
 だが、その体には無数の傷が出来上がっておりあちこちで装甲が引き裂かれていた。それでも構わずに倒れたゲッターの下へと向う。

「ゲッターチーム! しっかりしろ!」
「あ、あぁ…この位大した事ないさ」

 傷つきながらも竜馬はそう言い、突き刺さっていたメカザウルスを引き千切る。
 だが、ゲッターの腹部には巨大な穴が開き最大の武器であるゲッタービームは封じられてしまった。更に飛行能力も失いチェンジも出来ない。

「甲児君、マジンガーZはどうだ?」
「心配すんな。腕一本やられた位だしコレ位どうって事ねぇ!」

 マジンガーZも左腕を失っている上に装甲があちこち引き裂かれている。それでもゲッター程致命傷は受けていない。
 そんな2体のスーパーロボットに向かいメカザウルス達が飛び掛ってくる。

「此処は俺に任せろ! 一発逆転戦法だ!」

 甲児がメカザウルス達の前にZを立たせる。操縦席にあるエネルギーレバーを臨界まで上げる。Zの体からエネルギーが限界まで放出される。

「纏めて吹き飛びやがれ! 最大パワー、ブレストファイヤァァァ!!!」

 限界パワーのブレストファイヤーを放つ。それを食らったメカザウルス達は皆影も形も残さず蒸発してしまった。
 もう回りに敵の姿はない。後残っているのは背後の建造物だけだ
 だが、その直後、Zが膝をつく。

「甲児君、大丈夫か?」
「へへっ、もうエネルギーがスッカラカンだぜ。だけど俺達は勝ったんだぜ」
「あぁ、その通りだ」

 目の前にはメカザウルスの残骸が転がっている。
 被害は最小限に抑えられた。それを知り安堵する一同。だが、そんな彼等の前にあった建造物が突如破壊された。
 何事かと思った一同の前に現れたのは更に巨大なメカザウルスだった。
 嫌、それは最早巨大な戦艦だ。
 二頭のウルトラサウルスに引かれるようにしてこちらに向ってくる巨大な戦艦。
 これこそ恐竜帝国最終兵器【無敵戦艦ダイ】であった。

「な、なにぃ!」
「まだ居たのか?」
「馬鹿な猿共め! 切り札は最後までとっておく物だ! さぁ、醜い猿共が生み出したロボット共を屑鉄に変えてしまえ!」

 艦橋に居るゴールの命を受け、ダイから艦砲射撃が発せられた。凄まじい威力だった。
 20tのマジンガーや35tのゲッターが軽々と吹き飛ばされてしまうのだ。
 その際にマジンガーの右胸の放熱板が破壊されてしまい、ゲッターの右腕はもぎ取れてしまった。

「ぐぁっ!」
「リョウ! どうした?」

 隼人がモニターを見る。其処に映ったのは破損したヘルメットと頭から血を流した竜馬の姿があった。

「こんなの大した事ない! それよりも、こいつを陸地に上げては駄目だ! 此処で倒すんだ!」
「くそぅ、動け、動いてくれ! マジンガー!!」

 甲児が仕切りに操縦桿を動かす。
 しかしエネルギーが尽きたマジンガーはピクリとも動かない。また、破損が限界に達したゲッターももう満足に動けない状態であった。

「ハハハッ、勝ったぞ! 我等恐竜帝国の勝利だ! さぁ、猿共の文明を破壊しつくせ! その後に我等の帝国を築き上げるのだ!」

 ダイの射撃が陸地に降り注ぐ。
 巨大な砲弾は陸を焼き、町を砕き、大地を炎に包み込んでいく。その砲撃の嵐に巻き込まれゲッターとマジンガーが木の葉の様に舞い上がっていく。 その際に四人の悲鳴が響くが砲撃の音のせいでそれすらも聞こえない。

「アハハハハッ! 殺せ、殺しつくせ! 誰がこの地上の支配者か教えてやるのだぁ!」

 狂ったように笑うゴール。
 勝利はもう決まったも同然であった。マジンガーもゲッターももう動く事すら出来ない。防衛軍の戦力などたかが知れている。スーパーロボットを押えた今、この無敵戦艦ダイを止める事が出来る者などこの地球に存在しないのだ。
 だが、そんなゴールの乗るダイの前に突如一体の巨人が現れた。

「あ、あいつは! メフィラス星人!」

 そう、かつてウルトラマンにザラブ星人をけしかけたメフィラス星人が今ダイの前に立っていたのだ。

「何だ? 異星人風情がワシの前に立つな! 命が惜しかったらさっさと退け! でないとこの無敵戦艦ダイの餌食となるぞ!」
【その気はない。それより貴様等はこの美しい地球を汚した。その罪は貴様の命で償って貰うとしよう】
「戯言を! 構わん! あの異星人を一思いに殺してしまえ!」

 メフィラス星人目掛けてダイが迫り来る。砲弾がメフィラス目掛けて飛んでくる。
 だが、そんな中メフィラスは涼しい顔をしながら砲弾を受け流していた。

【愚かな、貴様等は私を怒らせた。今、その報いを受けるがいい!】

 メフィラスが右手に高エネルギーを纏う。そしてそれを右側に居たウルトラサウルスに向けて放った。
 高エネルギーのビームを受けた右側のウルトラサウルスの頭部がハジケ飛ぶ。その光景にギョッとするゴール。
 さらに続けて左側のウルトラサウルスの頭部も吹き飛ばす。

「お、おのれぇ! 撃て撃てぇ! 撃ち殺せぇ!」
【そうはさせん!】

 メフィラスはすぐさまダイの頭上に飛び上がり、再び高エネルギーのビームを放った。
 放ったビームは砲台と言う砲台を全て破壊しつくした。ダイの体が紅蓮の炎に包まれる。
 部下の殆どが死に絶え、残ったのはゴール只一人となった。

「な、何故だ…何故…ワシは一体貴様に何をしたと言うのだ?」

 未だに何故自分がメフィラスに攻撃されねばならないのか疑問に思っていたゴール。そんなゴールの目の前にメフィラスの巨大な顔が現れる。

【疑問に思っているようだな。教えてやろう。貴様はこの美しい大地を紅蓮の炎で燃やした。私は暴力は嫌いだ。
だが…私の気に入った物を壊されるのはもっと嫌いなのだよ。よって、貴様は私を怒らせた報いを受けるのだ!】

 その言葉を最後にゴールの居る艦橋にメフィラスの鉄拳が放たれた。ゴールの体はメフィラスの巨大な拳を受けてバラバラに砕け散り、炎の中へと消えて行った。
 その後、無敵戦艦ダイは海の上で炎に包まれていき、やがて灰になった。 残ったのは動けなくなったZとゲッター。そして圧倒的力でダイを葬ったメフィラス星人だけであった。

「何故だ、何故俺達を助けてくれたんだ?」

 竜馬の問いを聞きメフィラスは振り返る。そしてクスリと笑い肩を震わせた。

【助けた? 何を馬鹿な事を…私は只私が何時か手に入れる地球を汚したくなかっただけの事。いわばゴミ掃除とでも言う事だよ】

 誰もがメフィラスに反論できなかった。圧倒的力の前に誰も何もいえなかったのだ。今奴がその気になれば自分達を滅ぼすことなど容易い。そう思えていたのだ。

【君達はこれから先もこの星を守り給え。この私が手に入れるその時までな……ハッハッハッハッハッ】

 高らかな笑い声を残し、メフィラスは消え去ってしまった。
 恐竜帝国は滅び去った。
 だが、その幕切れは余りにも呆気なく、そして歯切れの悪い結果となった。

「甲児君、ゲッターチーム、聞こえますか?」
「どうしました?」

 そんな時、アースラから通信が入った。エイミィの声だ。
 その声は酷く慌てた様子であった。明らかに普通じゃない。
 何か悪い予感がした。そして、その予感は的中した。

「大変なんです! フェイトがジュエルシードを封印しに単独で出撃しちゃったんです!」
「なんだって!」

 その時通信で知らされたのはフェイトがジュエルシードを封印しに単独で動いたと言うのだ。余りにも危険過ぎる。
 もしこの危機をDr.ヘルが動き出した場合フェイトに対抗する手段がない。それ以前にマジンガーもゲッターも動けない状態なのだ。
 果たして、フェイトの運命や如何に。



 そして、人類の行き着く先は何処なのか?




      つづく 
 

 
後書き
次回予告

残った6つのジュエルシードを全て封印しようとフェイトは単身挑む。だが、圧倒的力の前に幼き少女は余りにも無力であった。
 そして、少年は決意を胸に飛び出していく。


次回「少女の想い、少年の決意」お楽しみに 
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