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ソードアート・オンライン stylish・story

作者:黒神
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第十一話 圏内事件


第55層の攻略が終了して、数週間後。シュウは第50層の自分のホーム【デビルメイクライ】相変わらずのスタイル・・・テーブルに足を乗せ、ノンビリしていた。シュウの名声は誰もが知る程まで上がっていたみたいだった。ここ数日で変わったのはそれだけでは無かった。

「SAOでは顔や体型を変える事は出来ねぇが髪や色を変えられるって聞いてたが、やってみると中々良いモンだな」

シュウは茶色の短髪から銀色のセミロングに変えていた。これは言うまでもないがDMCの中のダンテをイメージしながらコーティングしてみたらしく、自分でも気に入ったようだった。

「っと!そう言えば食材が無かったよな?買出しに行くとするか」

シュウはリアルでも良く料理をしていたらしい。何でも気まぐれにやっていたらしく、その腕前は良くも悪くもなかった。そしてシュウは念のためにリベリオンを背中に担ぐと最近見つけた良い食材店に向かった。

~~~~~~~~~~~~

第57層・マーテン

「よっ!おっさん!!また来たぜ」

「いらっしゃい!!シュウ!!今日は良い魚が入ったぜ?ちょっと見てくれねぇか?」

「おっさんの目を引く魚か・・・良いぜ!見てみようじゃねぇか。・・・確かに良い魚だぜ!!身は引き締まっているし、脂乗りも良さそうだぜ!!」

そしてシュウは出されたマグロのような大きな魚を見て、自分の答えを述べる。

「おお!シュウにも分かるか!!」

「「ははははは!!」」

シュウとこの食材店の店主は気が合うのか初めて来た時以来、親しくなっていた。本来店などはNPCが営んでいるが、プレイヤーの中にはこうやって自分のスキルを使って店を営んでいるプレイヤーもいる。そしてそのやり取りを周りのプレイヤー達も見ていた。

「おい!あれって真紅の狩人のシュウじゃねぇか!?」
「あの店の店主とは何かと気が合うんだとよ」
「あっ!シュウさんの髪型と色が変わってるね?」
「うん。でもクールでカッコイイかも!!」

シュウは周りの声なんか耳に入ってはおらず、自分に必要な野菜や肉類などを纏めて買った。

「あいよ!!全部で2000コルだぜ!!」

「これで丁度あるはずだぜ?」

「確かに。毎度あり!!」

シュウは包んで貰った食材をデータ化して、アイテム一覧にしまった。そして店主に別れを告げるとマーテンの転送ポイントまで足を進めようとしたが・・・

キャアアアアア!!!

「っ!?悲鳴!?」

シュウはその叫び声の方に向かって全力で走り出す。そして人だかりが出来ている所を見ると建物の二階からロープのようなもので身体を縛られた男性が宙に浮いていた。そして・・・彼の胸には一本の剣が突き刺さっていた。するとそこに・・・

「おい!早く剣を抜け!!」

と大声で叫ぶ奴がいた。それは・・・

「キリト!?それにアスナまで!?」

叫んでいたのはキリトだった。そしてその隣にはアスナまで居た。どうやら二人はマーテンに何かしらの用で来ていたみたいだった。しかしキリトの掛け声も空しく、その男性は【ポリゴン】と化してしまった。しかし・・・

「ん?今の消滅・・・何かおかしくなかったか?考えてても仕方ねぇ。とりあえずキリトとアスナに会うか」

シュウは男性の消滅に疑問を感じていたが二人と合流する事を優先し、建物の中に入っていったキリトとアスナの後を追いかけ、声をかける。

「キリト!アスナ!」

シュウは二人に声をかけたが髪を変えた事を知らせていなかったためか、誰か分からないみたいだった。尚且つ前髪で少し顔が隠れていたため分からないのも納得が行く。

「アンタ・・・誰だ?」

「どうして私達の名前を?」

「おいおい。髪は変えたがこの真紅のコートと話し方で普通分かんだろうが?」

キリトとアスナはシュウの服装と喋り方を思い出し、名前を言う。

「もしかして・・・シュウ?」

「お兄ちゃ・・・シュウさん?」

アスナは一瞬シュウの事を兄と呼ぼうとしたが、すぐに口を変え、普段の呼び方に変える。シュウは別に今、アスナから兄と呼ばれようが構わなかった。キリトには絶対的な信頼を寄せているのだから。

「んでも、仲の悪ぃお前達が一緒とはな・・・何かあったのか?」

キリトとアスナは攻略の作戦決めなどで、何時も意見の食い違いで仲が良いとは思えなかったが、今日は何故か一緒に居る事にシュウは疑問の念を抱えていた。

「ああ、それは・・・」

「キ~リ~ト君?それは内緒にするって私と約束したよね?」

アスナは顔を黒くし、右手にはレイピアの柄を握っていた。それを見ていたシュウは・・・

「まあ。言いたくなかったら別に深追いはしねぇよ」

キリトにそう言うと冷や汗を流しながらウンウンと頷き、話を止めた。

(アスナのあんな怒った顔・・・久しぶりに見た気がするぜ)

シュウは心の中で苦笑を浮べていたが、現実の事から目を背けてはいなかった。シュウはチャラ顔から真剣な顔立ちになると二人に現状を確認し始める。

「んで・・・現場はどうなんだ?キリト、アスナ」

「ああ。ロープを巻き付けられていた事や、こんな仕掛けまで準備していたってことは計画されたPKと取って良いだろうな」

「でも、どうやって?町の中でPKするには、デュエルじゃないと出来ないのよ?普通にやろうとしても無理があるわ」

アスナの言う通りだった。町など決められた場所では武器によるHPを削る事は不可能に近かった。出来るとすればプレイヤー同士による腕試し・・・【デュエル】しか方法はなかった。しかし今回の事件にはそれも見受けられなかった。そして考えていく内に謎は深まって行く一方だった。

「分からねぇ事が多すぎるな。まずは、情報収集からやってみようぜ?もしかしたら目撃者がいるかもしれねぇからよ?」

シュウの提案にキリトとアスナは同意し、目撃者を探し始めた。 
 

 
後書き
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