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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第54話 常山、山賊掃討戦 後編

 
前書き
ボリュームはいつもより多めです。 

 
麗羽と趙雲、鈴々で村の入り口で談笑をしていると殺伐とした気配を感じました。

私は趙雲に指示し、麗羽達を村へ避難させ村の入り口の門を閉じさせました。

私一人、村の外に双天戟を携え佇んでいます。

ぞろぞろと山賊達が現れました。

略奪をしたくてウズウズしているのが見ているだけでわかります。

彼らには他人を思いやる気持ちはないのでしょうか?

考えるだけ無駄ですね。

「おい!お前、死にたくなかったらその門を開けるように言え」

山賊の頭が私の10m位前で止まり私に恫喝しました。。

「お前達がこの村に危害を加える賊で間違いないか?」

私は念のために彼らに村長の言っていた賊1500か尋ねました。

山賊の数は目算で1500で話と合致しますが、見た目の凶悪さだけで決めつけるのもいけないと思いました。

「だったらなんだ!今日からこの村の支配者は俺様だ!俺の命令に従えないなら死んで貰うしかねえな」

山賊の頭は不快な笑みを返しました。

周囲の山賊達は私を見て笑っています。

「そうか・・・・・・。じゃあ、お前等が死ね。私の名は劉ヨウだ。冥土の土産に取っておけ」

私は淡々と言いました。

「ハハハハハハ!お前が劉ヨウだと?笑わせるな!お前みたいな小僧が劉ヨウな訳ねえだろが」

山賊の頭は私を見て馬鹿にしたようにいいました。

山賊達も同様に私を嘲笑しています。

悪人に何故こうも侮辱されないといけないのでしょう。

腹が立ってきました。

「死ね」

私は山賊の頭との距離を一瞬で詰め、双天戟を彼の心臓に突き刺しました。

続けざま振雷・零式を全快で放ちました。

山賊の頭の体は振雷・零式の火力で完全に消滅しました。

彼の後ろにいた山賊達は放射状に消失しました。

全快で振雷・零式を放った結果、山賊の3割が消滅しました。

運悪く先ほどの攻撃で即死できなかった者は絶叫を上げ苦しんでいます。

山賊達は何が起こっているのか自覚できないようにです。

私は呆然としている賊に再度、振雷・零式をお見舞いしました。

私の攻撃で山賊達は阿鼻叫喚の地獄絵図の有様です。

「鈴々、麗羽を頼むぞ!趙雲、夏候蘭。私が先頭を切って斬り込むから、その後に続け!残りの者は弓で援護しろ!」

私は村の入り口に向け大声で趙雲と夏候蘭、村に残る自警団の者に言いました。

私の声とともに村の入り口の扉が開き、趙雲達がでてきます。

「一番槍は劉ヨウ様に譲りましたが、これからはこの趙雲が活躍しますぞ!」

「私も頑張ります!」

「正宗様、気を付けてくださいましね」

「お兄ちゃん、お姉ちゃんのことは鈴々に任せるのだ!」

村の入り口に佇む麗羽と鈴々に頷くと山賊の中に斬り込んでいきました。

既に山賊達は完全に統制を失っています。

戦闘開始直後に頭を失い、その数分後には6割の仲間を一瞬で失ったのだから当然です。

生き残った山賊達の中には逃げ出そうとする者もいます。

村の入り口では防柵越しに弓を射がけて、混乱する山賊を次々に仕留めています。

村の中に逃げ込もうとする山賊達は趙雲と夏候蘭の槍と大剣の餌食です。

私は振雷・零式を果断なく放ち次々に山賊達を殲滅しています。

彼らはこの結果を予想だにしなかったでしょう。





半刻もかからずに山賊の殲滅は終わりました。

昨日と違い戦闘の場所が挟所でなく開けた場所であったこと、味方が後方支援に徹してくれたことが功を奏しました。

お陰で周囲を気にせずに振雷・零式を放つことができました。

周囲を見渡すと重機で土木工事をした後のような惨状になっていました。

地面があちこち抉れています。

木々の生い茂っていた場所は台風が通り過ぎた後のようにそれらは薙ぎ倒されています。

後で片付けないといけませんね・・・・・・。

生き残った数十人の山賊達に私が近づくと恐怖に打ち震え体を動かせずにいました。

「お前達。死ぬ覚悟はできているか?まさか生き残りたいなどと思っていないだろうな」

私は鋭い視線で生き残った山賊を睨みつけました。

山賊達は涙を流し顔を必死に横に振っています。

彼らは恐怖で失禁しています。

「安心しろ。地獄でお前の仲間が待っている」

私はそう言い双天戟を力一杯に横凪して、次々に首を跳ねました。

後には賊の首なし死体だけが佇んでいました。





「劉ヨウ様、山賊の討伐終わりましたな。まさか本当に1500の山賊を我らだけで殲滅できるとは・・・・・・。今でも信じられませぬ」

趙雲はおびただしい山賊の死体を見ながら言いました。

「劉ヨウ様、趙覇さんは大丈夫でしょうか?」

夏候蘭は趙覇のことが心配なようです。

「頭数は同数位だ。人を殺し慣れているかいないかの違いはあるが、正規兵を相手にするわけじゃない。山賊は所詮寄せ集めの集団。一度、士気が乱れれば手こずることはない。揚羽と凪達を同行させたので賊程度に遅れを取るはずがない」

「司馬懿さん達も劉ヨウ様のようにお強いのですか?」

「夏候蘭、心配しなくても無事に帰ってくるさ。私ほどでなくても彼女達は十分に強い」

「信頼されているのですね」

夏候蘭は微笑んでいました。

「そんなこと当然だろ。信頼できなければ背中を預けることなどできない。万の兵より揚羽達の方が私には心強い」

「意外です。劉ヨウ様は鬼の如き強さなので家臣など必要ないと思っていました」

夏候蘭は私の言葉に驚いていました。

彼女は私を何だと思っているのでしょう。

彼女の中の私は『地獄の獄吏』を歪曲化した姿に描いていたのではないでしょうか。

「人は一人では生きてはいけない。私がいくら強くても一人の力ではこの世は変えることはできない」

私は泰山郡でのことを想いながら感傷に耽りました。

夏候蘭は私の言葉を黙って聞いていました。

「だからこそ、私は旅に出た。私の夢を実現するため人材を探しに」

「劉ヨウ様の夢は何なのです?」

夏候蘭は私に聞いてきました。

「私の夢は大したことじゃない。私には麗羽と揚羽の許嫁がいる。彼女達と幸せに暮らせる世を作りたい」

「それでしたら旅をせずとも叶うのでは」

「叶うだろうね。でも、今の世は人が生きるには過酷過ぎる。今後、今より世は乱れるだろう。民が苦しんでいる側で、私達だけ安寧を得ても私は決して幸せを実感できない。私は幼少のとき賊の被害に苦しむ民の惨状を目の当たりにしてきた。それを一度目の当たりにしたら無視などできない。私が幸せになるためには民が暮らし易い世を作る必要がある」

私は夏候蘭を真正面から見て言いました。

「ご、ご立派です。劉ヨウ様を誤解していました。劉ヨウ様が何故賊に誰よりも厳しくあられるのか得心しました」

彼女は私を見て顔を赤らめました。

パチ、パチ、パチ。

拍手の主は趙雲でした。

「劉ヨウ様、感服いたしましたぞ。このご時勢、他人より自分のことを大事と思うもの。あなたは自分だけでなくこの国の民を救いたいとは」

趙雲は私を真剣な顔で見つめていました。

「あなた様の夢を嘘偽りなくお教え願えませぬか?」

彼女の深紅の瞳は情熱的な輝きを放っており、私はその瞳に吸い込まれそうになりました。

趙雲は私がやろうとしていることを聞きたいのでしょう。

民の暮らし易い世は今の漢室では到底無理です。

ならば新たな国を起こさなければならない。

「私はいずれこの国を統一して民の暮らし易すき世を築く」

私のこの言葉は聞くものが聞けば漢室に弓引く逆賊の言葉と思うでしょう。

幸いなことに周囲には趙雲と夏候蘭だけです。

「あなた様がやろうとしていることは自覚しているのでしょうな」

趙雲は殺気を私に放ちました。

「この国の命脈は長くはない・・・・・・。誰かがやらねばならないなどと綺麗事をいうつもりはない。私は今の世の理不尽さを変えたい。そのためならばこの手を幾ら血で汚そうとも厭わない」

私は彼女の殺気に気圧されることなく言い返しました。

趙雲は目を瞑った後、刮目して私の前で膝をつき頭を下げました。

「劉ヨウ様、この趙雲をあなた様に仕えることをお許し頂けませぬか?私もあなたが観る世を一緒に見とうございます。私の真名は星と申します」

趙雲の瞳に一切の迷いは感じられませんでした。

「本当にいいのか?」

「主、武人に二言はございませぬ」

趙雲は頷きました。

「私の真名は正宗だ。受け取ってくれ」

「謹んでお受けいたします」

「お待ちください!劉ヨウ様、私もあなた様にお仕えさせてください。私の真名は水蓮にございます」

趙雲に続き、夏候蘭も私に士官を願いでてきました。

「星にも聞いたが私に士官することに迷いはないか?」

「この夏候蘭、劉ヨウ様の大望実現のため身命を賭して頑張ります!」

水蓮は私を強い意志を感じさせる目で応えました。

「わかった。私の真名は正宗だ。受け取ってくれ」

「この水蓮、ありがたくお受けいたします!」

私達は真名を交換したことを麗羽達に伝えにいきました。

趙雲の母である趙覇にも話を通した方がいいでしょう。

夕方、趙覇と揚羽達は無事に賊を討伐して戻ってきました。

村に帰って来た揚羽達の姿を確認したとき、なんとなく安堵した気分になりました。
 
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