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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』

作者:零戦
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第四話

 
前書き
炎龍マジでどうしようか……。 

 



 連合諸王国軍の前衛を砲撃したのは砲兵隊であった。砲兵隊は先に九六式十五サンチ榴弾砲十二門で射撃を開始した。

 次に砲撃を開始したのは九一式十サンチ榴弾砲二十門である。両榴弾砲は射撃を開始して榴弾で連合諸王国軍の前衛を吹き飛ばす。

 最後に野砲の三八式野砲四二門と九〇式野砲二四門が砲撃を開始した。アメリカ軍のように大量に撃つのではなく一発一発撃っていたが大砲が初見な連合諸王国軍には十分であった。

 連合諸王国軍の前衛は瞬く間に崩壊して一時撤退した。

「……また来るぞ。各部署には油断するなと伝えておくのだ」

「分かりました」

 戦況を見ていた今村司令官はそう言った。それから三時間後に部隊を整えた連合諸王国軍は再び攻撃を開始するためにアルヌスの丘へと向かう。

 攻撃を察知していた派遣部隊は待ち構えており、再び砲撃を開始して連合諸王国軍はまたも撤退した。

「……参謀長、二度あることは三度あるという……」

「夜襲がある……と?」

「可能性は十分にある」

「分かりました。各砲に照明弾で十分に一回の割合で撃つように指令しておきます」

「それと今のうちに仮眠するように伝えておけ」

 時刻は午後四時を回ろうとしていた。兵士達は防御陣地で仮眠を取る事にして夜襲に備えた。

 そして日付が変わった午前二時。



 野砲から照明弾が撃ち上げられ、眩しくなるアルヌスの丘の周りには連合諸王国軍が展開している。

『此方見張り、此方見張り。敵を視認ッ!! 地面が三分に敵が七分、繰り返す地面が三分に敵が七分だッ!!』

 無線から見張り員の緊急連絡が入る。

「戦闘配置ッ!! 戦闘配置だッ!!」

「またかくそッ!! これで三度目で今度は夜襲かよッ!!」

 防御陣地で休憩していた兵士達が罵倒する。

「文句言うなアホッ!! 急げ急げ急げッ!!」

 兵士達は持っていたお守りを仕舞って九九式短小銃や九九式軽機関銃を持って陣地に入り射撃準備をする。

「流石に三度目はキツイですね摂津中尉」


「文句言うなよ水野兵曹長」

 九九式短小銃を構えた水野兵曹長がそう呟いた。

 陣地の周りでは特地に持ってきた陸軍の九八式二十ミリ高射機関砲や海軍の二五ミリ対空機銃等が照準を連合諸王国軍に向ける。

 九七式中戦車や九五式軽戦車も射撃準備をする。

 一方、連合諸王国軍は昼間の戦闘でやられた仲間の死体を踏み越えて進撃している。

「慌てるなよ……」

 俺は撃ちそうな水野に言う。

「まだや……」

パンッ!!

『ウオオォォォォォォーーーッ!!!』

 再び照明弾が撃ち上げられた時、連合諸王国軍は一斉に突撃を開始した。

『撃ェッ!!』

 突撃する連合諸王国軍に派遣部隊は一斉に射撃を開始してアルヌスの丘付近は三度戦場となった。





 そして一夜が明けた。

「……酷いもんやなぁ」

 摂津中尉は陣地を出て辺りを見渡す。あちこちに四肢を吹き飛ばされたり肉片となったりして戦死している連合諸王国軍兵士が地面に倒れている。

「摂津中尉、陸軍の檜垣中佐から命令です。戦死した敵兵士の埋葬を行うそうです」

 水野兵曹長と片瀬一等兵曹が担架を持ってやってきた。

「そうか、ならこの辺から片付けるか」

 摂津中尉は辺りを見渡す。この辺は四、五人の人間が折り重なって戦死しているけど何でこんな折り重なってるんだろうか?

「ま、それは後でだな。そんじゃあ上から埋葬していくぞ」

 摂津中尉と水野兵曹長は上から戦死者を担架に乗せて埋葬地に運んでいく。

 そして漸く五人目の戦死者を埋葬地へと運んだ。

「……ん? まだ戦死者がいたみたいだな」

 その戦死者は女性だった。地面に窪みがある事だからたまたま弾が身体に命中してこの窪みに潜ったんだろう。

「運ぶぞ水野」

「了解です」

 そして女性の両肩を持った時……。

「……ぅ……」

 微かに声が聞こえた。

「……なぁ水野、今……」

「はい……」

「………」

 摂津の言葉に水野は肯定し、片瀬は無言で頷いた。

 摂津は心臓辺りの胸に耳を当てる。

ドクン……ドクン……。

「……生きてる……」

「中尉、この女性は軽傷しているだけです」

 傷があるか調べた水野がそう言った。

「片瀬ッ!! 衛生兵の連中を呼んでこいッ!!」

「はいッ!!」

 片瀬が衛生兵がいる野戦病院まで向かう。

「それにしても激戦やったみたいだな……」

 生存していた女性は服がところどころ破れて、胸も左胸が見えていた。

「中尉、取りあえず何かを着せましょう。このままだと自分ら誤解されますよ」

「だろうな」

 摂津中尉は手拭いで女性の胸を隠す。

「うぅ……」

 その時、女性が目を開けた。女性はボンヤリと摂津中尉を見ていたが、自分の胸を見た。

 ちなみに摂津中尉は何も触ってない。手拭いで巻いた状態だからだ。

「~~~ッ!!」

 女性はいきなり叫んで摂津中尉にアッパーを……ん? アッパー?

「グハッ!?」

「せ、摂津中尉ッ!?」

 摂津中尉は水野の叫び声を聞きながら気絶した。

 その頃、司令部は頭を抱えていた。

「……砲弾が足りないな。日露戦争のようにはしたくない」

 今村中将はそう呟いた。三度の攻撃で日本軍特地派遣部隊は砲弾不足に陥っていたのだ。

「幸いにも敵が引き揚げた。内地から急いで砲弾を輸送してもらうしかないな」

 今村中将はそう呟いて急いで砲弾輸送に着手するのであった。







 
 

 
後書き
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