故郷は大空にあり
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第二十三話 希望
「はぁ…はぁ…」
目を覚ますと、息絶え絶えになっているF/A18が居た。
強烈なGで、気絶してしまったのか、何か外傷があったのか。
今はそれが分からないが、とりあえず操縦桿を握ろうとする。
「提督…安静にしてて…」
私が操縦桿を握ろうとすると、F/A18が手を掴み、
安静にするべき、と促した。
"壊れて…いるのは?"
そう私がF/A18に聞いた。
いつだって、情報の収集は大事なものだ。
「分からない…エルロンか、ラダー…駆動系のどれかだよ。」
F/A18からは、そう答えが返ってきた。
"生きている駆動系は?"
「今はその状況すら分からない。動くのは、エレベーター…ラダー…フラップ」
幸いなことに、何とか飛行機を飛ばすことはできるようだ…
さらに幸いか、天気はほぼ快晴で、風も吹いていない。
なんとか基地までは帰れそうだ。
────────────────────────
「ふー…よし、着陸準備。」
周波数をアプローチ管制からタワー管制に切り替え、
管制官に着陸の許可をもらう。
「こちらSI003、滑走路19、最終侵入経路に接近しています。」
「おかえりなさい、SI003、風は2°から6ノット、着陸を許可します。」
「SI003、確認しました。」
あとすこし。
冷静に、かつ慎重に、機体を地表に下ろしていく。
機体が不安定な中で、ここまでやってきた。
「ギアダウン」
「OK、ギアダウン。」
提督としっかり復唱をしながらも、機械を動かしていく。
機械的な大きな音が響いたあと、しっかりとロックされ、
ランプが点灯する。
「ギアダウン、よし」
「点灯確認。」
目の前に滑走路が来て、ゆっくりと近ずいてくる。
フラップを展開する。
【100】
音声が、コックピットに響き渡る。
【50】
【40】
【30】
【20】
大きな音を立てて、ランディングギアが設置する。
キイイィィ!と、ブレーキをかける音がする。
前方に身体が引っ張られる。スラストレバーを逆噴射スロットルまで持っていく。
大きな音を立てつつ、ゆっくりと重い機体は減速していた。
滑走路の4分の3程度を過ぎたところで、機体は完全に停止した。
車庫から、妖精の操作する小さい
モリタ製・MAF-60Aに似たような消防車が近寄ってきた。
そしてそのうち、タラップ車が横付けされた。
ボーディングブリッジもあるが、そこまで行けるほどの燃料等がない。
「EF-2A、ドアをアームドからディスアームドに変更で。」
「分かった、F/A18。」
そして、外から力強い妖精によりドアが開かれ、降りれるようになった。
見慣れたはずの鎮守府も、いまは新鮮に思えた。
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