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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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紅白:第二話 廃デパート

 
前書き
やっぱり久しぶりに触れると腕がガタ落ちしますね。
ちゃんと動かせるようになるのに時間がかかりました。 

 
ソウとパンテーラがコハク達の世話になるようになり、マイナーズの地下基地で身を隠しながらスメラギの部隊を蹴散らし、アキュラも独自に行動している時であった。

「参ったなぁ…そろそろ、食料が尽きそうかも…」

食料庫の中身を確認したコハクが食料が残り少ないことに困ったように呟く。

ソウとパンテーラも食事は必要ないがコハク達はそうはいかないだろう。

『大変だ!アキュラ君、僕達で保存の効く食料、探してこようよ!』

『人間って不便よねぇ。ご飯食べないと生きていけないなんて』

ロロは食料不足に頭を悩ませ、モルフォは食事を摂らなくては生きていけない人間の不便さに溜め息を吐く。

「しかし、同時にここを離れるわけにはいかんだろう。俺達のうちのどちらか一組で向かうべきだ。」

万が一スメラギに気付かれた場合、戦える者が誰もいなければ大変なことになってしまう。

「そうですね、ソウとアキュラでは満足な連携は出来ないでしょうし」

今でこそ、まともな会話が出来るくらいにはそこそこ落ち着いているが、この2人は過去に何度も命のやり取りをした経験がある。

故にまともなコンビネーションなど出来るわけがない。

「ならばどちらが向かう?」

アキュラが尋ねた後にキョウタが近寄ってきた。

「兄貴達、食い物を探しに行くのか?だったら、ここからちょっと行ったところにあるデパート跡がいいゼ!」

「「デパート跡?」」

「老朽化が酷くて、危ないから近づくなって大人達から言われてた場所なの。確かにあそこは、まだ手付かずだけど…」

「なるほどな、ならば俺達が行く。お前達は残っていろ」

『ちょっと勝手に決めないでよ!?』

アキュラ達を置いてデパート跡に向かおうとするソウにロロが抗議しようとする。

「なるほど、食料なら私のセプティマで空間を繋げれば短時間でここに運び出せます」

「それに、全員で行けばデパートが倒壊するかもしれんからな。」

『分かったかしら?ポンコツアイドル?』

老朽化が酷いなら雷撃燐とカゲロウで瓦礫を無効に出来る自分の方が安全だろう。

モルフォは電子の存在であり、パンテーラも能力でかわせるので問題ない。

アキュラもビットの機能であるフラッシュフィールドとジャケットに搭載されたフェイクカゲロウがあるが、機械による物なので不具合が起きる可能性を考慮してソウの方が良いだろう。

『ポ、ポンコツ…ムカつく~っ!』

『あらあ?ポンコツをポンコツって言っちゃいけない決まりでもあるの~?』

同じバーチャルアイドルとしてライバル心バチバチの2人にソウとアキュラは溜め息を吐く。

モルフォに対抗してロロに協力させられることが多いアキュラだが、元々この国の人々の心の拠り所でもあったモルフォのリブートモデルが相手では相手が悪いと言わざるを得ない。

寧ろロロがモルフォと双璧になれる時点で大健闘と言える。

「とにかく、食料や他に使えそうな物を発見したらすぐに夢幻鏡のセプティマで空間を繋げます。物資を届けたらすぐに動けるように準備していて下さい」

『期待して待ってなさい!』

【はーい】

コハク達が答えるとソウとパンテーラとモルフォはデパート跡の大まかな位置を聞くと夢幻鏡のセプティマで空間を繋げて大きくショートカットした。

「さて、早速食料庫を探しましょう。流石にナマモノは駄目ですが、デパートなら缶詰めなどの保存食があるはずです…他にも使えそうな物があれば良いのですが」

『そうねー、布とかも必要になりそうかも。私達は平気でもあの子達はそう言うわけにはいかないし』

電気は通っていないので間違いなくナマモノの保存状態は終わっているだろうし、このデパートを放棄してから大分経っているので腐っているだろう。

しかし缶詰めのような保存食ならまだ食べられるはずだろうし、戦いが長期化した時の場合も考えて布なども必要になってくる。

「そうだな…警備メカが徘徊している上にスメラギの部隊もいるようだ…行くぞ」

ソウは銃剣を抜き、雷撃刃を何時でも展開出来るようにしながらパンテーラは宝剣を取り出して戦闘形態となるとソウとモルフォと共にデパート内に潜入する。

跳ね回るメカや浮遊するメカ、レーザーの防壁を作り出すメカと中々の敵だったが、この2人の前では無意味である。

どれだけ攻めてこようと立て続けにショットと雷撃刃、ロックオン放電と雷撃鱗ダッシュで返り討ちにしていく。

パンテーラも反射する光弾を大量に放ち、壁や床を反射してメカを破壊していく。

「かなり駆け回ったが、やはり見つからんな」

『こんなにボロボロじゃあ、何時壊れるか分かったもんじゃないわね』

デパート跡にモルフォの歌声が響き渡り、EPエネルギーのエネルギー効率がより最適化されていく。

大分探し回ったが、食料や役立ちそうな物は見当たらないのでマッハダッシュを駆使して次のフロアに向かうソウ。

「やはり食料となると地下でしょうか?」

「地下か、しかし地下に繋がる階段は使えん上にエレベーターも機能停止している…別のフロアを移動して別の階段から降りるしかないな」

『取り敢えず地下に行ってみましょうよ。最悪ここら辺を彷徨いてるスメラギから貰っちゃえば良いんだし』

少なくとも保存食よりは良い食料くらいは持っているだろうからコハク達も喜ぶだろう。

屋上に出て、スメラギ兵とメカを蹴散らしながら進んで奥のゲートモノリスを破壊し、そこから別のフロアに入り地下を目指していく。

途中でサーチライトを放っている警備メカを発見する。

「あのタイプは少し厄介ですね。ショットでは破壊しきれない可能性があります。」

「通常のマッハダッシュか雷撃鱗ダッシュでクラッキングしてチャージセイバーで破壊すれば問題ない」

『よーし!ぶつかって轢いちゃってお父さーん!』

「言い方はあれだが、言っていることは正しいな」

物騒なことを言うソウのもう1人のパートナー。

しかし彼女の発言を咎めはしない。

『だって私はお父さんとお母さんの第七波動(セブンス)…おっと今はセプティマだったわね。電子の謡精のイメージを元にして2人から生まれたんだもの、子供は親を見て育つんだから、この言い方は2人の影響かもね』

モルフォも歌い始め、ソウとパンテーラは迫り来る敵を蹴散らす。

今回の歌は【月世界航路】と言う歌で、彼女達がミッションで歌ってくれたり、何もない日に聴かせてくれた時のことを思い出す。

あの時は流していたが、改めて聴いてみるとかつての知り合いが気に入るのも何となく理解は出来る。

雷撃鱗ダッシュで警備メカの頭部を吹き飛ばし、チャージセイバーで破壊する。

奥に進むとここも随分とボロボロだが、地下へと繋がる階段はまだ健在だった。

途中で光学迷彩で姿を隠した見覚えのあるセプティマを使ってくるスメラギ兵がいた。

「させません」

咄嗟にパンテーラが光弾を放ち、スメラギ兵の放った光弾を相殺した。

「すまん、テーラ。“念動力(サイコキネシス)”のセプティマか…しかし、奴に比べれば練度も精度も甘いなっ!!」

チャージセイバーでスメラギ兵を両断し、雷撃燐ロックオンで隠れているスメラギ兵をロックオンし、放電して雷撃を浴びせる。

「サポートします、ソウ!!」

雷撃鱗ダッシュで高速移動するソウにパンテーラは鏡による空間接続を利用してついていき、寄り添いながら光弾を放つ。

2人はかなりのペースでデパート内を駆け抜け、使えそうな物を探しつつ地下に辿り着く。

『お父さん、お母さん…強い力を感じるわ』

「ええ、ソウ。気をつけて下さい」

「分かっている」

単純な戦闘力ならば紅き雷霆に敵うセプティマなど存在しないが、セプティマの出力で勝敗が決まるなら苦労はしない。

地下の奥へと進んでいくと、そこには手錠をかけられた白髪の青年と眼鏡をかけた桃色の髪と眼鏡が特徴の女性がいた。

「貴様、スメラギの“翼戦士”の1人だな?マイナーズ狩りや俺達のような敵対するセプティマホルダーの討伐のためにここまで来るとはご苦労なことだ」

「やあ、君があのガンセイヴァーだね?ここを監視している兵士から連絡があってね。待ち伏せさせてもらったよ。」

「許可なく喋るな、リベリオ。死刑執行が早まっても知らんぞ。」

「ごめんごめん、署長さん。でも、久しぶりに刑務所の外に出られたんです。少しは饒舌になる僕の気持ちも、分かってもらえると嬉しいな。」

「フン、こんな埃臭い場所でも、貴様にとっては“外の世界”というわけか…変身許可は既に出ている。しっかりと“お役目”果たしてみせろ。」

「分かってますよ。僕だって、ずっと刑務所暮らしはごめんですから。」

署長と呼ばれた女性は光に包まれてこの場を去った。

リベリオと呼ばれた青年は羽根ペンを取り出した。

「コントラクト…はっ!」

光に包まれたリベリオは“翼戦士の羽根ペン”で契約を結ぶことによる変身現象で戦闘形態へと変化し、どこか羊を思わせる姿となる。

「やれやれ、お目付け役のはずなのに、帰っちゃいましたね、彼女。真面目なんだか、不真面目なんだか…さて、ガンセイヴァー。僕も別に君に恨みがあるわけじゃあないけど…君を倒せば、スメラギが釈放するって言うからね。僕もそろそろ、家族の顔が見たいんだ。全力でやらせてもらうよ?」

「(リベリオ…確か前に見たデータによると反スメラギの勢力に家族を人質に取られて強制的に協力させられた挙げ句に全ての罪を押し付けられた“網糸細工(クラフトウール)”のセプティマホルダーだったな…こいつのセプティマは肉体をエネルギーの糸にし、それを利用した物のはずだ)」

今まで集めてきた情報にリベリオの情報があったことを思い出したソウは銃剣を抜き、雷撃刃を発現させる。

「俺もお前に恨みはないが、必要な物資の入手のためにはお前が邪魔なんでな…退くなら見逃すが、そう言うわけにはいかんだろうな…せめてもの情けだ。出来るだけ痛みを感じさせずに手短に済ませよう」

リベリオは早速エネルギーの糸を編んで鉄球を作り出し、ソウに叩き付けようとしたが、所詮は糸でしかないのでエネルギーの面で紅き雷霆を上回ることなど不可能であり、チャージセイバーで容易く両断された。

「っ!!」

「普段は刑務所暮らしのせいか?隙だらけだぞ」

しっかりと訓練を受けたか、実戦慣れしている者ならば戦闘中で動きを止めるなど有り得ない行為だ。

やはり基本的に刑務所暮らしのリベリオは能力は強くても戦闘は素人と言わざるを得ない。

初擊が容易く無力化されたことに動揺するリベリオだが、次の攻撃に移行するために肉体を糸へと変えた。

「ほう?」

距離を詰めて一撃で仕留めるつもりだったが、雷撃刃は空振りする。

そしてリベリオは糸で巨大なギロチンを編み、それをソウの真上から叩き付けようとする。

ソウはそれをダッシュで回避し、雷撃燐ロックオンでロックオンしながら放電し、雷撃を浴びせながら雷撃刃での連撃を繰り出してリベリオにダメージを与える。

「うあっ!?」

「警告する。お前では俺には勝てん、退け」

追撃の雷撃刃での連撃を受けながらも、何とか耐えきったリベリオは傷を押さえながら後退した。

「ぐうう…まだまだ…僕は…負けるわけには…っ!」

肉体を糸に変えてソウとの距離を取るリベリオ。

そして糸で大型のガトリング砲を編むとエネルギー弾を乱射してくる。

「ふん、甘いな」

即座に雷撃鱗を展開してエネルギー弾を防ぐ。

この程度の出力では紅き雷霆の雷撃鱗バリアを貫通することは不可能だ。

大出力のエネルギー砲などなら話は別だが。

「そ、そんな!?ならっ!」

遠距離の攻撃が駄目ならと大鎌を編むと接近戦を持ち込むが、あらゆる距離でも万能に戦えるソウに、それは悪手だった。

「そんなでかい武器では取り回しが利かんだろう」

雷撃刃を発現して鎌を弾き飛ばすとチャージセイバーによる斬擊をリベリオに叩き込む。

「がはっ!?」

「ついでだ」

チャージショットを直撃させるとリベリオは勢い良く吹き飛ばされ、壁に叩き付けられた。

そして追撃のショット連射と雷撃鱗ロックオンからの放電の波状攻撃でリベリオの体力はあっという間に削られていく。

「ぐうう…」

「それ以上動くな、死ぬぞ。さっさと消えれば見逃してやる」

「そうはいかない…君を倒せば…僕は家族に会えるんだ…負けるわけには…いかないんだ…!」

「…………」

「終わりにしよう…!レッドラインデッドレイヴ!!」

最後の悪足掻きとばかりにSPスキルを発動したリベリオは肉体を糸へと変えて、縦横無尽に糸を張り巡らせようとする。

「無駄だ。全て斬るっ!!」

雷撃刃で周囲の糸を断ち、糸を構成出来なくなったリベリオは姿を現す。

「お前に恨みはないが、俺は止まるわけにはいかないんでな。迸れ、紅き雷霆よ。お前の糸、俺の紅き雷刃で両断する…!ギガヴォルトセイバー!!」

とどめにSPスキルの雷刃波を繰り出し、リベリオを真っ二つに両断した。

「が…っ…!?みんな…ごめん…」

肉体の限界を超えたダメージにリベリオの体は光に包まれて消滅した。

「ソウ、他のホルダー達は私のセプティマで足止めしています。今のうちに食料を運び出しましょう。」

「ああ…食料以外にも使えそうな物も回収するぞ」

『賞味期限はしっかり確認しないとお腹壊しちゃうわ』

パンテーラのセプティマの鏡で空間を繋げて使えそうな物資を放り込み、もう使えそうな物はなさそうなのでそのまま鏡に入り込んで拠点に戻った。

「戻ったぞ、食料の他に使えそうな物を手に入れてきた。」

「あ、お帰りお兄さん!」

“お兄さん”と呼ぶコハクに遠い記憶が刺激され、ソウは少し遠い目をしたがすぐに普段通りになる。

「取り敢えずデパートで入手出来た物はこれだけだ。必要ならスメラギから奪ってくる、足りない物があったら俺とテーラに言え」

「はーい、ありがとうお兄さん!」

『ふふ、お兄さんだって…』

「モルフォ、失礼ですよ」

食料にしばらく困らなくなったので拠点の雰囲気も明るくなり、モルフォとロロの共同ライブでコハク達は明るい笑顔を見せていた。

「…………」

「ソウ?どうしましたか?」

2人の歌姫によるマイナーズのためのライブを見守るソウの雰囲気の変化を感じ取ったパンテーラは隣の彼を見上げる。

「いや…あいつがあんな風に歌っているのを見ると…きっとあいつもあのように歌いたかったのだろうなと思っただけだ。」

記憶に残る家族。

その1人の少女はかつてのスメラギに利用され、救い出される時に外の世界で自分の歌を歌いたいと言っていた。

しかし、そんな彼女の願いを叶えてやることは出来なかった。

「あの時の俺に力があればあのようなことにはならなかった。俺は絶対に許さん、管理AI・デマーゼル。必ず破壊する…!」

ソウはロロに対抗して歌っているモルフォを見守りながら新たな決意をするのであった。 
 

 
後書き
白き鋼鉄のXって面白いけどキャラの掘り下げが少ないのが残念だけど…下手したら余計重くなるからなぁ 
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