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スーパー戦隊総決戦

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第十話 奈良においてその十二

「あそこなんてどうかしら。ニュースでやたら聞くけれど」
「絶対に止めておくことだな」
 シンケンレッドが真面目な声でシズカの言葉に突っ込みを入れる。
「死にたくなければな」
「あれっ、危ないところだったの」
「この連中場所も考えてなかったのか」
「計画とか何もないのか?」
 シンケンブルーとシンケングリーンもここで呆れてしまった。
「何処まで杜撰な」
「というか今まで何してたんだ?」
 最早そのレベルだった。何と彼等はこの時まで全く何も考えていなかったのである。本当に全員何も考えてこなかったのである。
「こりゃどんな国築いても駄目なんじゃ」
「そうだよな。ここまであれだと」
「何ていうか」
「ええい、五月蝿いでおじゃる」
 ケガレシアがマイクを持って文句を言う。
「わらわ達は皆で明るく楽しく暮らせる国を築くでおじゃるよ」
「まあそれはいいけれど」
「反対はしません」
 ボウケンイエローもボウケンピンクもそのこと自体には反対はしなかった。
「けれど。そもそも何処に国を置くかは」
「最低限考えるべきことでは?」
「まずいな、何処にする?」
「やっぱりあの半島の北半分にする?」
 ヤバイバとツエツエも解説をほったらかしにして話をはじめた。
「そうだよな。あそこだと別に誰が入っても文句言う奴あまりいないしな」
「今の状況に比べたら」
「場所は人の迷惑にならないところならいいけれどな」
 アバレブルーも冷めている。
「しかしそれでもな」
「それでも?」
「どうだっていうのよ」
「人の迷惑にはならないようにしろ」
 思えばこれも矛盾している言葉である。
「それはな」
「まあ俺達も今更人間をどうとかするつもりはないしな」
「国さえ築ければいいのよ」
「最早何が何だか」
「言ってることにも無茶苦茶」
 戦隊の面々も呆れてしまっている。しかしその中でも戦いは続いていた。
 その不気味なマスコット達を倒していく。そして遂に最後の一体が。
「食らえ!」
 ゴセイジャーのマシンが攻撃を浴びせてそれで吹き飛ばしてだ。戦いを終わらせた。戦いは戦隊達の勝利に終わった。
「さて、それじゃあな!」
「次はどうするのよ」
「くそっ、負けたか!」
「これは仕方ないわね」
 皆の問いにヤバイバとツエツエが返す。
「ここは一時撤退だ」
「ええい、悔しいけれどね」
「待て、逃がすか!」
「待ちなさい!」
 全員それぞれのマシンから出てだ。早速撤退しようとするヤバイバの前に立ちはだかる。そうして丁度机や椅子をなおしていた彼等の前に出た。
「っておい」
「何やってるのよ」
「まさかなおしてるのか?」
「整理整頓はちゃんとしなければな」
 チュウズーボも椅子をなおしている。
「これも我等のものなのだからな」
「そうだ、捨てるというのも勿体無い」
「折角高いものを買ったのだ」
 マンバルバとサンダールも自分達の椅子をしっかりと畳んでいる。
「ものは大切にだ」
「そういうことだ」
「それはわかったけれどよ」
「そのせいで追いついたけれど」
 デカレッドとゴセイピンクがこう突っ込みを入れる。
「それはいいのか?」
「逃げられないわよ」
「ええい、忌々しいでおじゃる」
 ケガレシアはそれを聞いて口を尖らせて返す。
「こうなったらわらわ達も戦うでおじゃるよ」
「そうなり、どのみちこうなることも折り込み済みなり」
「それならぞよ」
 ヨゴシュタインとキタネイダスも言う。
「やってやるなり」
「皆、それでいいぞよ?」
「というかそれ本当に折り込み済みか?」
「でまかせじゃないかしら」
 ゴーオンブラックとガオホワイトはあからさまに怪しんでいる。
「こういうことばかりだからな」
「充分過ぎる程有り得るし」
「だからどうしたっていうのよ」
「あんた達に関係のあること?」
 フラビージョとウェンディーヌは見事居直った。
「関係あるのは戦うことだけでしょ」
「私達の事情は関係ない筈よ」
「居直ったな」
「ある意味見事だな」
 カブトライジャーとクワガライジャーは呆れることなく平然と受け止めていた。
「しかしそれならだ」
「こちらも行かせてもらう」
 こうしてまた戦いがはじまろうとした。しかしここで、であった。
「ああ、皆ここにいたのか」
「凄いことがわかったのよ」
 スモーキーとテトムがやって来たのだ。それで戦隊の面々に対して言ってきた。
「聖杯の場所がね」
「それがわかったんだよ」
「えっ、何でこんな時に言うんだ!?」
「ちょっと場所を考えるべきじゃないかな」
 ガオイエローとマジシャインはまずそこを突っ込んだ。
「今戦闘中なんだが」
「はじまるところだけれど」
「あっ、そういえばそうだったわ」
「こりゃタイミングが悪かったな」
 そうは言ってもあまり反省している様子のない二人ではある。
 そしてその証にだ。彼等は平気で言ってきた。
「とにかくよ、聖杯の場所がね」
「それがわかったんだよ」
「じゃあそこは何処なんだ?」
「一体」
 戦いは強引に中断された。そしてそのうえで、であった。テトムとスモーキーの話を聞くことになったのだった。目的の場所がわかろうとしていた。


第十話   完


                        2010・3・22
 
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