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ボーイズ・バンド・スクリーム

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第26話 中指立ててけ!

BAYCAMP2日目、ダイヤモンドダストの時間がやって来た。とびきりの笑顔を観客に振り撒いているのはピンク髪をツインテールにしたダイダスの新ボーカル、ヒナである。

「ヒナちゃん!頑張れー!」

「今日は一段と、やかましいな」

「ま、推しが出てるんで。これぐらいは許してやりましょうよ」

観客側で声援を送る健斗。ヒナに塩対応をされたにも関わらず熱は冷めていないようだ。毒づく俊哉を瑞貴が嗜める。

「行っくぞー!」

ヒナが飛び上がって号令をかける。Cycle Of Sorrow。ダイヤモンドダストの新曲のようだ。挑発的な、情熱的なギターから始まった、その曲が観客を唸らせる。空の箱のようなキャッチーなリズムとは打って変わって疾走感のあるゴリゴリロック。ダイヤモンドダストはボーカルが桃香からヒナに変わってゴミ化したと散々ネットで叩かれている。どうやら今ここで、その評価をひっくり返すつもりのようだ。

(ナナ、アイ、リン…お前ら本当にすげぇよ)

ボーカルのヒナもさることながら楽器隊のレベルも高い。ダイダスのデビューシングル、空の箱は桃香が作った曲だ。メジャーデビューするにあたって曲調やライブ衣装を売れる方向へ変更した。その変化が良かったとの意見もある。その一方で世間に迎合するアイドルバンドに成り下がったと厳しい意見も多かった。そんな批判に晒された彼女たちは精神的に辛いことも多かったはずだ。それでも努力を重ねて、これだけの大勢の観客を沸かせている。ライブまで直接声をかけることはなかった瑞貴だが、新曲を観て聴いて素直に感銘を受けていた。高校の元クラスメイトとして彼女たちを心配していた瑞貴だったが、どうやら杞憂だったらしい。

「ありがとうございました!ダイヤモンドダストでしたっ!」

「後ろも見えてるよ〜!」

歓声が冷めやらぬ中、ヒナとアイが観客に声をかける。ダイダスメンバー全員が不敵に笑い、観客に向かって小指を立てた。おそらくトゲナシトゲアリに戦線布告をしているのだろう。中指の代わりに小指を立てるのがトゲトゲスタイルである。

「あいつら…」

「上手くなってるし」

「上等じゃない…!」

ダイダスが放つ熱気に負けないようにトゲトゲメンバーも闘志を燃やしているようだった。 
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