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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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混乱の元凶は闇の彼方

<ラダトーム>

アルル達一行は疲れ切った表情(一部数名を除く)でラダトームの城下町を歩いている。
ローリア姫のお相手はオルテガだった…
その事実に城内は大騒ぎ!(一番騒いだのはアルル)…だが騒ぎを静めたのは他でもない…国王のラルス1世だ。

『えぇい静まれ!先程リュカが申したであろう…今は生まれ来る命の誕生を喜び、その因果については何れ落ち着いて話し合おうと!』
娘が既に妊娠していると聞いた時に比べたら、別人かと思える威風堂々ぶり。
皆が静まるのを見計らい、『うむ。今騒いでもどうにもならん!むしろローリアの出産に悪影響を及ぼすやもしれぬ………何より、オルテガ本人が居らぬのでは、どうにもならぬだろう…』と言い、優しく娘と孫(が居るお腹)を撫で自室に下がらせた。

そして側近の1人に目で合図を出し、リュカ等に向き直る…合図を出された側近がアルルに近付き地図を渡す。
『その地図は、この世界…アレフガルドの正確な地図だ。おヌシ等の旅に役立つはず…大魔王を倒し…そしてオルテガを生きて連れ帰ってくれ!その為には如何なる協力も惜しまない!』
そしてアルル達は城を後にしたのだ。
王様の気持ちが痛い程伝わってきたから…


「王様…大魔王討伐より、オルテガさんを連れ帰る事の方がメインな話し方だったよね…」
「そうね…小声で『生きていれば死にかけでも構わぬ!』って言ってたもんね…」
溜息混じりでウルフとマリーが呟く…
「はぁ~…折角キレイに纏まりかけてたのに…リュカさんが余計な事を言うから…はぁ~…」
この重苦しい雰囲気に耐えられないアルルが、無駄自慢をしたリュカにクレームを付ける。

「ちょ、僕の所為じゃないよ!ラングのバカが余計な事を言うから…それに僕が必死扱いて纏めようとしてたのに、アルルが『もしかして父親ってリュカさんですか?』とか言ったのが原因なのでは?酷い擦り付けだよソレ!!」
「ぐっ…そ、それは………だってリュカさんが話を誘導してたから…自分に都合が悪い事なのかなって思っちゃって…ふ、普段の行いが悪いと、こう言う時にそうなるんです!や、やっぱりリュカさんの所為です!!」
「勝手だなぁ…」

このパーティーでは良くある光景…
立前リーダーと、実質リーダーの口論…
しかし何時もと違うのは、立前リーダーの八つ当たりが大きい事。
その為、普段だったらティミーが援護に回るのだが、それが出来ない真面目っ子体質。

「私の所為ですね…私が思わず叫ばなければ、皆さん気付いて無かったんです!ごめんなさい…」
ションボリと口を挟んできたのはアメリアだった。
事実アメリアが大きなヒントを与えた為に、誰も気付いていなかった事実に、頭の回転が速いラルス1世が気付いてしまったのだ。
俯くアメリア…
リュカもアルルもアメリアの所為ではないと言えず、ただ静かに歩いている…

「な、なぁ…ソレなんだけどざぁ…」
本当は込み入った話に首を突っ込みたくないカンダタだが、どうしても疑問があり、リュカの怒りを買う事を覚悟して問いかけてきた。
「な、何で…アメリアさんの言葉で、オルテガさんが姫様のお相手だと分かったんだ?」
思い切って質問したのだが、リュカの反応が怖く脅えるカンダタ…
「あ、ソレは僕も不思議でした!?どうしてなんですか?」
しかし間髪を入れずにティミーも同じ疑問を口にしてきた。

「………はぁ…あのね、昨日お姫さんの部屋を家捜しした時、彼女の反応が変だったんだよ…」
カンダタだけでなく、息子(ティミー)からも同じ質問があった為、リュカはめんどくさそうではあるものの、優しい口調で説明してくれた…
因みにカンダタは、ホッと胸を撫で下ろす。

「変?どの様にですか?」
「うん。姫様の部屋に入った途端、アルルを観て顔を赤らめたんだ!…最初はね、同性愛者なのかと思ったんだよ。でも最近ティミーのお陰で、アルルも化粧っ気が出てきたじゃん!だからアルルを見て男と間違えるとは思えなかったから…アルルは化粧しないと、イケメン少年に見えるからね!」
リュカの台詞に思わず自分の唇を触るアルル…以前、ビアンカにプレゼントされた口紅が薄紅色で彩っている。

「でも挨拶代わりに握手した時に、分かっちゃったのさ…彼女が妊娠している事に!…って事は、彼女は同性愛者ではないよね!女の子と女の子がエッチしても、子供は出来ないはずだから…僕の知識が正しければ…」
リュカは質問者のティミーに問いかける様に話す。
「え!?え、えぇ…まぁ…」
子供の作り方の一端を問われ、顔を赤くするティミー…今の彼には、知識も実践も完璧なのだ!

「んで、気付いちゃったワケよ!同性愛者でもない娘さんが、女の子のアルルを見て顔を赤らめる理由ってば1つじゃ~ん!てね」
「で、でも…ソレがオルテガさんだというのは…「良く思い出せ!」
アルルの心を庇う為、ティミーは必死でお姫様の相手がオルテガではないと、訴えようとするが…

「僕達は、何度かアルルがオルテガに間違えられた場面に出会してるんだ…きっと、そっくりでは無いにしろ、雰囲気とかが似ているんだと思う。だからお姫さんもアルルを見て、その雰囲気に顔を赤くしたんだ」
リュカは息子(ティミー)を説き伏せる様に、状況を説明した。

「……………」
アルルの事を上から下までじっくり観察するティミー…
「で、でも…こんなに可愛いのに、男と間違えますか?」
彼の言葉に顔を真っ赤にするアルル。
そして、まさかティミーが落とし文句を言うとは思わず、目を見開いて驚くリュカ等!
ティミーの手を俯きながらギュッと握り締めるアルル…ラブラブだ!

「…分かった、分かった…アルルは可愛いよ。男の子には見えないよ。でもオルテガさんとは雰囲気が似てるんだよ…お前とポピーの様に、男女の違いがハッキリしていても、雰囲気が似ている双子と同じように」
「し、しかし………」
リュカの説明に納得がいかないティミーは、アルルを抱き締めたまましつこく食い下がる。

「あ~も~!うるせーなぁ…僕だってオルテガさんに会った事無いんだから、分かる訳ねーじゃん!ともかく納得しろよ!姫さんはアルルを見て、大好きなオルテガを想いだし、顔を赤くした…そこを僕等に見られて、彼とヤちゃった事がバレちゃったんだって!」
「う゛…わ、分かりましたよ…」
流石に苛ついたリュカに怒られ、渋々引き下がるティミー…
アルルなどは、先程彼に『可愛い』と言われ、嬉しくて父親の事などどうでも良くなっているのだ。

こうして騒がしい一行は、ラダトームの城下町を歩き進んで行く…
カンダタが何かを思い付き、みんなに声をかけるまで…



 
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