ボーイズ・バンド・スクリーム
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第21話 飛んで火に入る夏の狂犬
前書き
みなさん、こんばんは!バンドリライブ初参戦でした!余韻が凄いですね…トゲナシトゲアリのライブも参戦しますので行かれる方はよろしくお願いします!
「暑いなー。こうも暑いと遊ぶ気もねーわ」
「そうだな」
大学が夏季休暇に入り、春樹はソファでゴロゴロしながら漫画を読んでいる。今日の漫画はワンピースのようだ。瑞貴はリビングのテーブルで新曲の歌詞を考えながら春樹の雑談に耳を傾けていた。インターフォンが鳴った。瑞貴は作業を中断して玄関に向かう。
「こんにちはー、仁菜です!瑞貴さん!ハイタッチ!いぇい!」
「ははっ、いらっしゃい。仁奈は今日も元気だな」
「…何でお前らそんな仲いいの?」
「ファン同士だからな」
仁菜とハイタッチを交わしてリビングへ向かう。最初こそ警戒心バリバリだった仁菜だが、今となっては瑞貴に心を開いてくれている。ダイダス桃香のファンとして。バンドのボーカルとして。まさに同志のようなものだ。彼はそれが嬉しかった。
「瑞貴さん、聞いてくださいよ。うちのエアコン急に壊れちゃって。来週まで修理来てくれないんです!もう暑くて夜も眠れなくって…」
リビングのテーブルに座って仁菜の話を聞く。エアコンの急な故障により暑くて夜も眠れず、コンビニで立ち読みしたり、ショッピングモールのベンチで座ったりして涼んでいたそうだ。
「それは大変だな。俺らのとこで良かったらゆっくりしていったらいいよ。昼飯、食べたか?」
「あっ、まだです!どうしよう…」
「適当に作るし、座ってて。飲み物は…とりあえず麦茶でいいか?」
「いいんですか?ありがとうございます!」
「冷やし中華で。えっと材料は…肉系がササミかハムしかねぇな…仁奈はどっちがいい?」
「ハムでお願いします!」
「了解。ま、そのほうが中華そばっぽいか」
「あ、俺はササミで!」
「じゃあ3人ともハムにする」
「俺の意見は無視か!?」
「空気読めよ、春樹。お前より仁菜を優先するわ」
「仁菜ちゃん〜、瑞貴が俺に冷たいんだけど〜。キンッキンッに冷えてやがるっ!」
「あはは、なんかすみません…」
「しれっとカイジネタ入れてくんな。あんまうるさいと、お前を放り出して仁菜とルームシェアするからな」
「うわっ、そんなら俺は愛しの桃香たんに報告しよっと」
「おい、やめろっ!気持ち悪りぃ話し方すんな!」
「ひっひっひ〜」
「俺、今包丁持ってんだから。煽らないほうがいいぞ?」
「仁菜ちゃん、助けて!殺されちゃう〜」
「えっ、えっと…」
「仁菜。春樹は基本フルシカトでいいよ」
「わかりました!」
「分かられちゃったよ!」
いつものアホなやり取りをしながら具材を切っていく。
「そう言えば瑞貴さん、料理やるんですね」
「ま、好きだからな。なんか曲作るのに似てるんだよ。曲ってさ、歌詞を書いたりギターやらベースやらキーボード弾いたり、ドラム叩いたりして作るだろ?料理もさ、食材を切ったり焼いたり味付けしたり…で、出来上がりって感じで」
「ふふっ。桃香さんと同じこと言ってる…お二人って、ほんとうにお似合いだと思います」
「そっか、ありがとう」
「よかったじゃないか、瑞貴きゅん」
「春樹メシ抜き。出てけ」
「冷えたビールも驚きの冷たさ!」
「驚きの白さ、みたいに言いやがって。俺は漂白剤じゃねぇよ」
「いいなあ。わたし、なにもできてない…」
「ま、慣れだよ慣れ。今度一緒に作ってみるか?」
「えっ、いいんですかっ!?是非お願いします!」
「うわー、どさくさに紛れてお家デートかよ。やっぱり桃香たんに報告だな」
「春樹。俺まだ包丁持ってる」
「やめろください!親友だろっ!?」
3人は夏らしいメニューに舌鼓を打ち、リビングでゆったりした時間を過ごしていた。
「瑞貴さん〜、膝枕お願いします〜」
「おっと…すっかり甘えんぼだな」
「えへへ〜」
仁菜は瑞貴の伸ばした膝を枕にして休んでいる。
「…お前ら実は付き合ってる?」
「ん?違うと思うぞ?仁菜は妹気質なんだよ。お姉さんいるんだってさ」
「いや、けどボーイアンドガールなわけじゃん?」
「ま、年上に甘えたい時もあるんだろ。可愛いもんだって」
「うわー、マジ天然タラシじゃん」
「えっ?天然のタワシ?あれってアクリルじゃなかったっけ?」
「いや違うから」
「??」
「あっ!」
仁菜はうたた寝しかけていたが、バンドの練習があることを思い出して跳ね起きた。瑞貴は仁菜を車で送り届けるのだった。
「瑞貴さん、今日は本当にありがとうございました!」
「飛んで火に入る何とやら、だな…週明けまで我慢できなかったら俺らのとこ来たらいいよ。倒れられたら寝目覚めが悪いからさ」
「はい、是非よろしくお願いします!」
勢いよく瑞貴に手を振る仁菜は最初に会った時より眩しく見えた。彼は彼女にそっと手を振る。きっと夢中になれるものを見つけたのだろう。真夏の暑い日差しが彼を照らしていた。
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