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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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オンステージ

<ラダトーム>

「はぁ~い!皆さんのプリチーアイドル・マリーちゃんで~す!ではでは、もう1曲いくわよーん!」
大食堂の一角を、人々が囲うようにステージを作り、その中央で楽しそうに歌うマリーの姿が…
変化の杖をマイクのように持ち、可愛く振り付けをしながら『キューティーハニー』を歌っている。
しかも芸が細かく、途中の台詞『変わるわよ~』では、変化の杖で大人な姿(マリーの予想)に変化する宴会芸。
旅の戦士や行商人・ラダトームの住人までもが熱狂的に声援を送っている。
ミニモンやラーミアも、人集りの最前列に陣取り、リズムに合わせてドラムに見立てたコップなどを叩いてる。
アメリアは、何時もの優しそうな笑顔で手拍子を贈り、ウルフに至ってはファンクラブの会長の如く、誰よりも大声でマリーを応援している始末だ。

「な…何なのこの状況は………?」
「何でマリーが歌ってるの?」
勇者2人が互いに頭を抱え、この状況を理解しようと努力する中、№1トラブルメーカー・リュカは手近に置いてあったギター(の様な楽器)を手に、ステージへと躍り出ていった。

「わ~お!お父さんお帰りなさい!…皆さ~ん、ご紹介します。この人は私のお父さんでーす!どうやらギターで伴奏してくれるみたーい!…あれ?お父さんギター弾けるの?」
元気よく観客にリュカの事を紹介し、慣れた手付きで伴奏するギターの事を尋ねるマリーにリュカは、
「任しとけ!女の子にもてそうな事柄は、大体こなせるように練習したから!学生時代を思い出すぜ!」

リュカがステージに上がったとなれば食い付くのがビアンカとハツキだ。
ウルフが陣取る最前列へ、強引に割り込み声援を送る。
カンダタ・モニカやラングストンは、流石に最前列までは行かない物の、皆に合わせて手拍子や掛け声を贈っている。
完全に出遅れたのは、ダブル勇者の真面目っ子2人。
一緒に騒ぐ事は勿論、怒鳴って止めさせる事も出来なくなっている。
互いに見つめ、諦めた様に溜息を吐き、自室へと帰ってしまった。



さて…
大宴会は取り敢えず終息し、リュカ達は各自の部屋へと戻って行く事に…
時間は既に夕食時を過ぎており、大食堂にいた連中はついでに食事を済ませてあったのだが、先に戻ったアルルとティミーが何も食べてない事にリュカが気付き、料理を詰め合わせて部屋まで届けようと気を使っていた。

「でもお父さん…必要ないんじゃないの?きっと大騒ぎに加われない2人は、部屋に戻ってイチャついてるはずよ!下手にお邪魔しない方が良くない?」
歌い疲れたマリーが、兄カップルを気遣う発言をする…が、
「あの2人にそれは無いだろう!まだそんなに遅い時間じゃ無いし…きっとお腹をすかせて、僕達不真面目人間の愚痴を言ってるよ!黙って叱られてあげよ!」


そんな会話をしながら、アルルの部屋へと訪れ、勢い良く扉を開けるリュカ。
「しっつれーい!お腹空いたと思ったから、持って…き………」
だが室内では、あのリュカが絶句する状況になっていた…
「………キ、キャー!!!!!!!」
何とマリーの言う通り、アルルとティミーは真っ最中だったのだ!

「ご、ごめんなさい!マジでごめんなさい!!し、知らなかったから…本当に知らなかったんだよ!」
本当に焦って謝るリュカ!
「い、いいから出て行け!」
アルルは手元にあった枕を投げ付ける。


慌てて出て行くリュカ達…
気まずい雰囲気の中、アルルの部屋の前で待ち続ける…
凡そ5分程で、
「ど、どうぞ…もう良いですよ…」
と、恥ずかしそうなティミーの声が…

部屋にはいると、まだ男女の篭もった臭いが漂っているが、真っ赤な顔で正面のベッドに俯きながら腰掛ける若いカップル。
そしてリュカは、入室するなり即座に土下座。
「ごめんなさい!本当にごめんなさい!ワザとじゃ無いんです。今回は本当にワザとじゃ無いんだよ!君達は本当に真面目な子だから、こんな早い時間からエッチをするなんて考えても無かったんだ…本当にごめんなさい!」

「も、もういいです…私達も、2人きりで話してたら、何だか盛り上がってきちゃったから…その…と、ともかく忘れてください!それでいいですから!」
珍しく本気で謝るリュカを見て、恥ずかしいがこれ以上話題として残したくないアルルは、早々に切り上げ忘れる様に懇願する。
「でもアルル…そんに恥ずかしがる事じゃないのよ。私とお父さんが同じ事をしたから、貴女も生まれてきたんだから…もっと自信持ちなさい、とってもキレイだったわよ」
ワザとか天然なのか判断が付かないのだが、アメリアが先程の行為を褒めだし、話題を忘れようとはしない。
顔を赤らめている2人が一層赤くなり、俯き互いに別の方向を向いてしまっている…

「ア、アメリアさん!もういいでしょう…忘れましょう!キレイとか美しいとか、そう言う事じゃ無いんですから…人に見せる事ではないのですから!」
気まずさが原因で別れてしまう事を懸念するリュカが、慌ててアメリアに話題の変更を要求する。
しかしこの時、リュカもアメリアもしっかりと見ていた…
俯きそっぽを向くアルルとティミーだが、互いに手は握り合い指を使って撫で合っている事を…

《あぁ…どうやら大丈夫みたいだ…安心した》
《大丈夫ですよ。私の娘と、貴方の息子さんですから…》
リュカとアメリアは、互いに目で合図を送り、無言で頷き納得する。
そんな2人を見て、嫉妬心を煽られているのがビアンカだ…流石のリュカも、その事には気付いてない様で、今回のハプニングが完全に事故であった事を伺わせる。


取り敢えず、若いカップルの心もお腹も落ち着いた為、やっと本題に入る一行…
アルルが率先してオルテガの事を話し始める。



「………っと言う訳で、ごめんなさいお母さん…この町にもお父さんの不貞の証が存在します…」
大体の事を皆に説明し、最後に母へ父の不埒さを謝罪するアルル…
母への申し訳なさと、父への怒りから、複雑な表情である。

「コラ!生まれてきた子には罪はありませんよ!それにオルテガの事を愛してしまった女性(ひと)も悪くはないのですから、そんな言い方は失礼ですよ!」
しかしオルテガの妻…アメリアはそれ程気にしては居らず、むしろアルルの言葉に怒りを表す。

「ふふふ…魅力的な男を愛してしまうと大変よねアメリアさん!私にも解りますよ…1人でフラつかせるワケにいかないですわね!」
「えぇ…まったくですわ!うふふ…」
似た様な立場のビアンカが、アメリアに笑いかける…そしてアメリアも、それに応える様に笑っている。


「さて…あの人が完全に生きていると分かった事だし、あとは今どこに居るのかを探らないとね!何か分かっているの?」
「そう言えば『誰にも真似の出来ない方法で、ゾーマの所へ乗り込む』って事でしたよ!?今はともかく、何れはゾーマの元に行くのだから、我らも目指すべきでしょう…」
アメリアの疑問に答えたのはラングストン…
「で…どうやって行けばいいの…そこには?」
そして更に疑問を提示したのはリュカだった。
出だしがアレだったので、珍しく会議に参加している。

「「「「……………」」」」
しかしリュカの疑問に答える者は誰も居ない…1人を除いて。
「なぁに…情報収集しに行ったのに、誰もゾーマの所まで行く方法を聞き出さなかったの?も~う…しょうがないわねぇ~…ちゃんと私が集めておいたわよ、情報を!」
何と!?
留守番し、大食堂で歌を披露していたマリーが、何時の間にか情報を手に入れているという…
まぁ、どうせ今手に入れた情報じゃ無いだろうけどね…



 
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