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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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幕開け

<ラダトーム>

常時闇が蔓延る暗黒の地『アレフガルド』…
時間的には昼過ぎなのだが、辺りは暗く真夜中と変わらない雰囲気を醸し出している。
そんな闇の世界に佇む城下町『ラダトーム』…
こんな世界にありながらも、それ程活気を失っていない町に、アルル一行は辿り着いた。


「まぁ…随分と活気のある町ですねぇ…お天道様が無いだけで、思ったより平和なのかもしれないですね」
リュカ以上に緊張感のない声でラダトームの町並みを評価するアメリア。
勇者オルテガの妻だけあって、物怖じしない女性のようだ。
初めてラーミアに乗り天高く舞い上がっても、闇の世界で戦闘に巻き込まれても、今と同じように掴み所のない感じで笑顔を振りまいている。
彼女までもが、アレフガルドにやって来た経緯を説明しよう。


アリアハンで自分もついて行くと頑なに言い出したアメリア…
一緒に会話を聞いていたミニモンが、無責任にも『連れてきゃいいじゃん!』と言いだし、アルル達は大騒ぎに!
そこに孤児院((シスター・ミカエル))見学からリュカ達が戻ってきた…
直ぐさま経緯を報告して、ミニモンの無責任ぶりを非難したのだが…「え!?別にいいじゃん。美人が増えるのは歓迎だよ!」と、こちらも無責任に言い放つ始末。
ただの嫌がらせで言ったミニモンすらドン引きする………
アルルとティミーは何とか説得を試みるが、決意を秘めたアメリアと、それ程深刻ではないリュカを説き伏せる事は出来ず、渋々同行を受け入れた………腹いせにミニモンを2.3発ぶん殴って…

こうしてアメリアは、娘のパーティーに加わり新たなる地へと旅だった。
リュカから提示された条件は、戦闘に関する限り未参加及び口出し不可!(戦闘中はリュカの側を離れるなと念を押す)
そして野営及び宿屋等での、炊事・洗濯の担当。
アメリアの身の安全は、リュカが全責任を持つ事が、アルル・ティミーよりの絶対条件だ。
アルルの祖父にも同行するかと尋ねたが、流石に危険な旅について行く気にはなれず、アリアハンで帰りを待つと寂しく告げるだけだった。
勿論、素人の老人の意見としては妥当なのだが、実の息子が旅立ち…実の孫娘までもが奮闘し…息子の嫁までもがついて行こうとしているのに、恐怖心を優先させる老人に、リュカは少なからず嫌悪を現していた。

因みに、アメリアの装備は…
主婦最大の武器、万能包丁。
セットのまな板。
大きく丈夫な鍋。
フリル付きの可愛いエプロン。
ラブリーなソーイングセット。
……それと淡いルージュの口紅1本。

この装備を見たラングストンが、何時もの軽い口調で…
「こんな最強(最凶)のパーティーでは、大魔王も裸足で逃げ出しますよ!案外これからの旅は安全かもしれませんね」
しかし、間髪を入れずウルフが、爽やかな笑顔で言い放つ。
「馬鹿な事を…これ程、絶世の美女が集まったパーティーは他に無いですよ!むしろ色香に狂った愚か者共が、目を血走らせて襲ってきます。どんな宝石よりも貴重な美女を守る為、油断は大敵ですよ!」

「あぁ………父さんが複数居る様に見える………」
そんな息子の嘆きに母親が、
「この程度じゃ、まだまだよ!」
息子は項垂れ、母は胸を反らす…
当のリュカは、微妙に本気モードに入り、自分の装備をチェックしていた……それをマリーは見逃さなかった。


さて、そんなこんなでラダトームの宿屋にチェックインするアルル達。
先ずは何も分からないこの世界の情報を収集するのだ。
アルル・ティミー・カンダタ・モニカと、
リュカ・ビアンカ・ハツキ・ラングストンの二手に分かれ、各々城下町で情報を集める事に。

尚、ウルフ・マリー・ミニモン・ラーミア・アメリアは、宿屋で待機を命じられた。
理由は、ウルフとマリーは待機中に揉め事が起きた場合の護衛役…
アメリアは基本的に非戦闘員なので待機…
ミニモンはモンスターである事が知れると大問題なので待機…(普段はフード付きの可愛い服を着ている)
ラーミアは鳥目であまり良く見えず、出歩く事が困難な為待機…

従って、アレフガルドでは鳥になって飛ぶ事が出来ず、基本的に移動はリュカが抱っこしている状況だ。
今回もその状況でついて行くと喚いたが、
「じゃぁお前は、表の世界へ帰れ!我が儘言う奴はいらん!」
とリュカに叱られ、大泣きしながら従ったのだ。

因みに、ラーミアに乗って移動出来ないと知ったリュカが、小声で呟いた一言が…
「ちぇ………ダンジョンに入らなければ、飛んで戦闘は回避出来ると思ったからアメリアさんの同行を許可したのに…やべ~、非戦闘員なんか連れて戦闘なんかしたくないよぉ~………」
この呟きは、妻にしか聞かれてないのが幸いだ。


先ずアルル達が向かったのは、町を警備する警備隊の詰め所だ。
町の内外を見回る為、色々な情報を持っているだろうとカンダタが見込んだのだ。
案の定、多数の情報を仕入れる事が出来る。

曰く「大魔王ゾーマの城は、ラダトームより直ぐ南東の島にある」
曰く「大魔王が現れてから島の周りの海が大荒れで、船で渡る事が不可能である」
曰く「時折、上の世界から人間が迷い込み、アレフガルドの各地で発見される。つい数ヶ月前も、ラダトーム近くで1人の男が見つかり、悪さをしたので牢屋に入れたのだ」
等々…情報を聞き出した。
特にアルルは、最後の牢に入れられている人物の情報が気になり、警備隊に頼んで面会させてもらう事に…

そして詰め所の奥にある牢屋へと近付くアルル達…
そこは薄暗く、ハッキリとは見えないのだが1人の人物が座っている。
「あ、あの…」
「ん?」
もしかしたら父かもしれない…そんな期待をし、恐る恐る声をかけるアルル。

「何だネーちゃん!」
しかし男は不機嫌そうにアルルを睨み、吐き捨てる様に話し出す。
「俺様に何か用………あ、兄貴!!カンダタの兄貴じゃないですか!!」
だがアルルの後ろに待機していたカンダタを見るなり、表情を輝かせて鉄格子に近付いてきた。
「兄貴…オレッちの事を忘れちまったんですか?弟分のバコタですよぉ!」
「あ、バコタ!?お前、あのバコタかよ!随分と老けちまって分からなかったぜ………お前、こんな所で何やってんだ?」

何と、牢に囚われていたのはカンダタの知り合いだった!
はて、バコタって何処かで……………?



 
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