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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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VS、VTシステム

『………その程度か』

 スピーカーからそんな感想が聞こえた。

「は? 何こいつ? ちーちゃんが弱いと思っているの? ……しょうがない。格の違いってのを教えてあげますか!」

 篠ノ之束は投影されたキーボードを素早く打つと同時にVTシステムの動きが変わった。





 ■■■





(………動きが変わったな)

 俺のさっきの言葉が聞いたのか、急に動きが変わった。

(本当に他人に興味を持っていないらしいな)

 雪片が降り下ろされる―――が、

 ―――ガキンッ!!

 近接ブレード《斬魂》を鞘に収めたまま展開して受け止めた。

『風宮! 今すぐ下がれ!』

 個人間秘匿通信(プライベート・チャネル)から織斑先生の声が聞こえる。

「無理ですね」
『何故だ?』
「このVTシステム。外部から操られています」
『何だと!?』
「まぁ、詳しくはログまでも調べないとダメでしょうけど。それに、ロックされてます」

 俺がそう言うと、向こうから唾を飲む音が聞こえた。
 まぁ、自分の強さがどれだけあるかわかっていたらそういう反応はするな。

(とにかく、一夏の零落白夜で落としてもらったほうが早い)
「祐人!」

 いきなりピットから一夏が飛び出してきた。
 俺はそれに合わせて鎖を遠隔展開してVTシステムに操られているボーデヴィッヒの四肢を拘束する。

「今だ!」
「はああああぁッ!!」

 零落白夜の光刃がVTシステムを切り裂き、中からボーデヴィッヒが現れた。
 それと同時に鎖を収納する。
 そしてピットに戻ると、そこには憤怒の形相(ではないのだが、イメージ)で腕を組んでいる織斑先生がいた。

「少し話がある。付いてこい」
「わかりました」

 そう言って向かった先は―――

「………何故待たされているんだ?」

 寮監室だった。確かここは織斑先生の巣窟。………そういえば、

『え? 案外だらしな―――』

 と一夏がそう言っていた記憶がある。
 少しばかり嫌な予感がした。

『入れ』
「失礼します」

 中に入ると、見事にカモフラージュされている跡があった。

「………それで、何の用ですか?」
「単刀直入に聞く。VTシステムのことをどこで知った?」

 そういえば、簡単に話していたな………。

「まぁ、三年前位ですかね」
「……つまり、記憶は戻ったということか?」
「完全にはまだですが、それでもないだけマシだという分は」
「じゃあ、ISをどこで手に入れたかも……か?」
「………ええ。と言っても既に消えましたけどね。話はそれだけですか?」
「いや。あの事件のことだが………」
「わかってますよ」

 そんなこと、一々言わなくてもわかっている。
 そしてこの後だが、俺と一夏、そしてデュノアはVTシステムに関わったということで事情聴取をされることになった。





 ■■■





 トーナメントは決勝だったこともあり、俺とボーデヴィッヒの判定勝ちとなった。
 その理由はシュバルツェア・レーゲンが変化したときの俺たちのシールドエネルギーの差。一夏は一桁で、デュノアは100を切っていたのに対して俺は満タンだったためだ。それに模擬戦の戦績で俺が一度もデュノアに負けたことがないからだろう。
 一応、何度か手合わせしたことあるが、今のところは機体の性能差もあって全勝している。その関係だろう。

「……そういえば、トーナメントを優勝したらどうなったっけ?」

 ふと、一夏がそう言った。

「そんなこと、近くにいる女子に聞けばいいだろ」
「そうなんだけど、さっきから聞いているのにはぐらかされるんだよ」

 そりゃそうだ。なにせお前が優勝賞品だからな。

「……風宮、ちょっといいか?」

 俺がカルボナーラを食べ終わり、口の周りを拭いているときに篠ノ之が現れた。

「何だ?」
「……少し、大事な話がある」
「そうか。ちょっと待ってくれ」

 食べ終わった食器を置き、カウンター席で俺は新たにパフェを注文した。今日はよく動き、事情聴取され、少しぐったりしていたのだ。

「それで話って?」
「……実は、あの大会の優勝の褒美なのだが………」
「ああ。一夏と付き合えるとか、本人未了承のあれね」

 誰だよ、噂を流したやつ。本人未了承だとそれは無効だ。

「大体、そんな噂を了承なしに容認するなよ。反吐が出る」

 そう言うと、遠くから呻き声が聞こえた。

「……風宮は、そういうのは嫌いなのか?」
「ああ。嫌いだね。勝手に商品にされるとかそういうのは。もし男なら殺して女なら格の違いを教えてあげるな。懇切丁寧に手首足首を折り曲げて。それそうと、お前は大丈夫なのか?」
「ああ。私はお前に負けたからな。同室の鷹月には悪いとは言え、今は諦めて―――」
「まぁ、俺もボーデヴィッヒも興味ないから大丈夫だろ。それにそもそも無効だしな」

 後ろから女子たちが何か言ってくるが、俺はそれを無視した。

「あ、祐人……」

 俺の姿に気づいた一夏が声をかけてきた。

「どうした? そんな覇気のない声を出して」
「ああ。実はな。俺たち今日風呂に入れるんだ」
「へぇ。じゃあ俺は用事があるから後でいいや。出たらメール頂戴」
「あ、ああ。わかった」

 ………それにしてもアイツら、隠し事下手だな~。 
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