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ボーイズ・バンド・スクリーム

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第13話 セルビアンナイト

 
前書き
みなさま、おつマグです!ようやくセルビアンナイトの会まで来ました。オリキャラを出すと、つい蛇行しがちですが。まったり進めますので辛抱強くお付き合いください! 

 
川崎駅前通り付近にあるライブハウス、セルビアンナイト。新川崎(仮)のライブを見るために瑞貴と俊哉は合流していた。健斗はもう少しで来ると連絡があったのでライブハウス前で待機している。

「ライブ楽しみやな。瑞貴のフィアンセってギターやっけ?」

「ちょっ、まだ付き合ってませんってば!」

「けど、この前行ったんやろ?水族館」

「それはそうなんですけど…」

「泊まり込みで一緒に寝たんやろ?ワンナイトちゃうん?」

「だからっ、やましいことは一切ありません!」

春樹は口が軽い。瑞貴は他に相談する人が近くにおらず、仕方なく桃香に再会したことを伝えたところ、話はバンドメンバーに瞬く間に知れ渡ることとなった。俊哉も瑞貴を応援してくれているのだろう。野次馬根性丸出しではあるが。

「すみません、遅くなりましたっ!」

「声デカッ。アホが来よったで〜」

「いきなり酷っ!瑞貴さ〜んっ、助けてほしいっす!」

「俺もさっきイジられたとこ。傷ついたもの同士でライブ終わりにラーメンでも行くか?」

「行きましょ!瑞貴さんの奢りでっ!」

「はいはい、分かったよ」

「おいこら、勝手に悪者に仕立て上げんなや。奢ったるから仲間に入れてーな」

「えっ、俊哉さんも来んの?それはちょっと考えますな〜」

「目の前に俺おんねんけど…失礼極まりないな、このアホンダラは」

いつも通りの雑談をしながら一同はライブハウスに足を踏み入れる。キャパシティは300人ぐらいだろうか。瑞貴は仁菜から「おかげさまでチケット全部、売れました!ありがとうございます!」と連絡が来ていたが、予想より規模が大きい。

「叫びたくなるような過去も全部曝け出してっ!行くぞーっ!全部を晒して、生きてやるっ!」

仁菜の掛け声に合わせてステージが明るくなる。仁菜のTシャツには「不登校」、すばるのTシャツには「嘘つき」、桃香のTシャツには「脱退」とそれぞれ大きな字でプリントされている。彼女たちの背負う過去を今、隠さず人前に晒すことで乗り越えようとする決意を感じた。1曲目は新曲だろうか。縦ノリがしやすい曲で観客の反応も悪くない。
2曲目は声なき魚。ラゾーナ川崎プラザでも演奏していた曲だと瑞貴は気づいた。改めて聞くと王道ロックのようだ。疾走感のある曲に仁菜の歌声が乗る。桃香のギターが走る。すばるの安定したドラムが耳に心地いい。キーボードの音が入っているが、おそらく打ち込みによるものだろう。

「健斗のドラムも、これぐらい安定したらええんやけど」

「俊哉さん、いっつも俺に厳しいから。これでも俺、頑張ってるんですけど」

「俺は健斗のドラム、化けると思うけどな」

「瑞貴さん、愛してる〜♪」

「愛が軽いなー」

3曲目は新川崎(仮)バージョン、空の箱。瑞貴は、やはりオリジナル(桃香)のバージョンが1番好きだが、仁菜の歌声も決して負けていない。自身の感情をしっかり歌声に乗せている。元祖ダイヤモンドダストが踏襲されたサウンドなのだろう。

「えっと…みなさん、こんばんは!新川崎(仮)です!バンドやってます!今日は、来てくださって本当にありがとうございます!」

「はいっ!今のは正論モンスター、ボーカルのニーナでしたっ!」

「ドラムー、プレアちゃーんっ!」

「プレアでーすっ!シャキンーンッ!そして、ギターはなんとっ!元ダイヤモンドダスト、河原木桃香!」

桃香の紹介で観客は大いに沸いた。やはり元ダイヤモンドダストというのは音楽界では名前が通っているのだろう。当の桃香は居心地悪そうにしながら観客に手を振っていた。3曲やってから自己紹介をする新川崎(仮)。始まり方からめちゃくちゃだが瑞貴は嫌いではなかった。しかも頭に新曲を持って来ている効果か観客の盛り上がりも悪くない。

(セットリストの順番、考えるのありかな…それより新曲作らないとか。アザレアを入れても、まだ5曲しかない)

やはり違うバンドのライブを見るのは勉強になると瑞貴は改めて思った。残りの2曲も、しっかりそれぞれの曲調があり楽しむことができた。

「あら?この前のライブ以来ですね」

「あんた、今日は泣いてないのね。まあ、それならいいわ」

「ルパと…智か?この前はありがとう。おかげで無事、話せたよ。ハンカチ返せてないな」

「それはまたの機会でもいいですよ。この辺の吉野家でバイトしてますので」

「別に礼なんて…」

「っ…!」

ライブハウスに来ていたルパと智に瑞貴は再開する。ルパと瑞貴が話す中、なぜか俊哉と智が見つめ合っていた。俊哉に至っては目を見開いて驚いた顔をしている。

「こんばんはー!お姉様たち、一緒にご飯でも行きませんか?なんか積もる話もあるみたいだし」

健斗は機転を効かせて2人を食事に誘った。彼女たちは快諾し、5人でライブハウスを後にするのだった。 
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