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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第47話 普通は最高の魅力

私達は公孫賛の家にいます。

公孫賛の通う私塾から、彼女の家までの道すがら食べ物を調達しました。

彼女の家につくと、簡単に自己紹介をして食べ物を摘みながら旅の話や彼女の近況などを聞いていました。

鈴々と豚は凄い勢いで食べています。

多めに食べ物を買っておいて正解でした。

公孫賛が鈴々の食欲に驚いています。

普通、驚きます。

私も間近で見たときは驚きました。

あの小さい体のどこに大量の食べ物が入るのか不思議です。

せっかく公孫賛にあったのですから、ここで仲良くなっておきましょう。

彼女の親友、桃色娘はお近づきになりたくないです。

「公孫賛殿、麗羽と真名を交わしている間柄なら私も真名を預けたいのだがどうかな」

私は自ら公孫賛に声をかけることにしました。

初対面なのかもしれないが、公孫賛は私に気を使っています。

麗羽にはフランクなのにこれでは仲良くなれません。

「劉ヨウ殿、私みたいな凡才と真名を交わしてくれるのですか?」

公孫賛は恐縮した面持ちで私を見ました。

そこまで恐縮しなくてもいいと思う。

私が逆に緊張してしまいます。

彼女は凡才というより、オールマイティな人材です。

どんなことでも卒なくこなす。

なかなかそんな人材いないと思います。

「公孫賛、あなたは凡才ではない。もう少し自分に自信を持たれた方がいい。私の真名は正宗。堅苦しい話し方はやめよう」

「私の真名は白蓮です。正宗君とお呼びしてもいいですか?」

「麗羽のときと同様、呼び捨てで構わないよ」

「え、そんな無理です。山陽郡の麒麟児と名高い人物に呼び捨ては気が引けます」

白蓮は私に恐縮しています。

「白蓮、私はそんなに有名なのかい」

私は幽州でも賊狩りをしています。

鈴々も加わり最近、賊狩りが調子がいいです。

大抵の賊は私達を見ると逃げて行きます。

彼らが逃げても見逃すわけもなく、振雷・零式で彼らの背後を襲うので大抵は一撃で終わります。

その後は、凪達が生き延びた賊を抹殺します。

「正宗君のことを知らない人はいないと思う」

彼女の目はキラキラと輝いています。

最初に凪と出会ったときと同じ視線を彼女から感じます。

「あ、ああ、そうなんだ・・・・・・」

「白蓮さん、正宗様は賊退治だけではありませのよ。エン州の泰山では、悪徳大守の魔の手から罪無き親子を助け出し逃げる手助けをしましたの。オ―――ホホホホホホ、流石、正宗様ですわ」

麗羽は自慢気に白蓮に話していた。

泰山の一件はあまり話すものじゃないと思っています。

榮奈達が無事に父上のもとに逃げ仰せているか心配です。

「へえ、正宗君は私と歳は違わないのにすごい。その現場を見たかった」

白蓮は麗羽の話を聞いて興奮しています。

「そう褒めないでくれ。私の我が侭で助けただけだ」

「そんなことはない!正宗君はすごいと思う。私も正宗君のようになりたいといつも思っている。私は周囲の人間からいつも普通といわれて自信を失うときがある。だけど、正宗君の武勇伝の話を風の便りで聞くと頑張らなくちゃと思う。私にとって正宗君は英雄だ」

白蓮はすごい勢いで私の両の手を握り熱弁を振るいました。

彼女は普通という言葉にコンプレックスを感じているようです。

「私は普通は長所だと思う。普通ということは欠点がないということだ。それは十分長所だと思う」

私は白蓮に普通であることを悩む必要はないといいました。

「う、うぅ、正宗君。ま、正宗君は良い奴だな」

白蓮は泣き出しました。

「もう、白蓮さん。何を泣いていますの」

麗羽は自分のハンカチを白蓮に差し出していた。

「うう、麗羽、ありがとう」

白蓮は麗羽のハンカチを受け取り涙を拭いています。

「ねえちゃん、これでも食べや。きっと元気になるで」

真桜はこの空気に居たたまれなくなったのか食べ物を白蓮に勧めました。

「うう、ありがとう。みんないい奴だな」

「これも美味しいの―――」

沙和も食べ物を勧めました。

凪はどう対処すればいいか悩んでいました。

鈴々は相変わらず豚と一緒に食事に専念していました。

「白蓮は盧植先生の門下なんだろ。盧植先生は朝廷でも有能な人物だったと聞く、そんな人物の元で学べるなんてすごいな」

会話が湿っぽくなったので、私は話題を変えることにしました。

「う、そうなんだ。幸いにも盧植先生の私塾に入ることが出来て、今は勉強三昧の日々なんだ。いずれはどこかの郡の大守になるのが夢なんだ」

白蓮は涙を拭きながら、自分の夢を教えてくれました。

原作でも史実でも大守でしたから、その夢は必ず叶うと思います。

「その夢はきっと叶うと思う」

「あ、ありがとう」

白蓮は頬を染めて私にお礼を言いました。
 
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