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天真爛漫

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第二章

 校内の隅から隅まで紹介しそれと共に今の日本のことも詳しく話した。ジャスティンの母は日本生まれだが結婚してずっとアメリカにいて国籍も取っている。
 それでジャスティンは日本語も喋れるが今の日本のことはよく知らなかった。その彼に今の日本のことを詳しく教えたのだ。
「アイドルはそのグループなんだ」
「そう、秋葉原を本拠地にしてるね」
 日本の芸能界のことも話すのだった。わざわざジャスティンのクラスに来てそうした雑誌を見せながら話していく。
「他にも名古屋、大阪、福岡って」
「フランチャイズっていうん?」
「ご当地アイドルかしら」
 友美は首を少し傾げさせて彼に話した。今ジャスティンの席に他の人の椅子を借りて持って来て向かい合って話をしている。
「言うなら」
「あっ、日本のそれぞれの地域のだね」
「芸能界っていっても東京だけじゃないからね」
 どうしても東京中心になるがそれでもだというのだ。
「日本には色々な町があるから」
「それでそのそれぞれの町になんだ」
「そう、グループを設けていってるの」
「それも何十人ずつでだね」
「最初は本当に四十八人だけだったのよ」
 多い筈だが今では少なく感じられる規模になっていた。
「今じゃ一体どれだけいるか」
「すぐには言えないんだ、友美も」
「だって本当にあちこちに何十人ずつもいるから」
 だからすぐに何人いるかわからないというのだ。
「一体ね」
「そうなんだ」
「本当に何人いうのかしら」 
 友美はジャスティンの前で腕を組み考える顔を見せた。
「いえ、百人以上は間違いなくいるし」
「最近インドネシアや上海にも進出してるんだよね」
「段々大きくなってきてるから」
 数はかなり増えてきている、覚えるより多くだった。
 それで友美も正確には言えない、ジャスティンはこのことを聞いてからこう言った。
「日本の芸能界も凄いね」
「アメリカの方がずっと凄いでしょ」
「いや、アメリカじゃそんなアイドルグループないから」
 日本独自だというのだ。
「とてもね」
「そうなの」
「元々アイドルとかってアメリカからはじまったと思うけれどさ」
 それでもだというのだ。
「ここまで凄いことになってるなんて日本だけだよ」
「そんなに凄い?」
「凄いなんてものじゃないよ。皆可愛いし衣装もいいし」
 ジャスティンは雑誌の写真にあるそうしたものまで見て言う。
「日本っていいね。後ね」
「後って?」
「食堂の御飯もさ」
 ジャスティンは日本の食事についても言う。
「あれもいいよね」
「御飯も?」
「アメリカの食事って量は多いけれどね」 
 それでもだというのだ。
「ほら、わかるよね」
「カロリーね」
「凄いから。もう大きな肉がどかっとあってアイスクリームも凄くて」
「ホットケーキとかもよね」
「大きいのがあってそれにシロップたっぷりだよ」
「太りそうね」
「だから皆太ってるんだよ」
 必然的にそうなるというのだ。
「もう本当に凄いからさ」
「あれ何食べてるかって思ってたけれど」
「それと比べて日本の食事ってヘルシーだよ」
 ジャスティンはその目を輝かせてさえいる。
「お野菜もバランスよくあってね」
「まあ。確かにバランスを考えて献立してるわね」
「うどんとかも美味しいね、お母さんも本当の和食はこうだっていうしね」
 つまりアメリカの日本料理は日本のそれとはまた別物だというのだ。アメリカ人の舌に合わせるから当然ではあるが。
「本当に美味しいね」
「気に入ってくれたのね」
「カロリーも少ないし栄養のバランスもいいし」
 ジャスティンはにこにことして友美に話していく。
「いいね、和食って」
「それも気に入ってくれたのね」
 友美にとっても日本を気に入ってくれて嬉しかった。そうした話をしてその日の昼は二人で学校の食堂で味噌鯖定食を食べたがジャスティンは味噌の味にも感激して友美に感謝の言葉さえ述べたのであった。
 こうしたことを繰り返しているうちに二人はよく一緒にいる様になった。それで。
 友美はジャスティンのことを意識する様になった、彼の顔を見て考えると自然と笑顔になる様になった、それでだった。 
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