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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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相手を滅ぼす事の意味

「♪ゾー(マ)さん、ゾー(マ)さん、お~鼻が長いのね、で~もね、○○○は、短いのよ~♪」
オルテガさんと合流した付近の袋小路で、一晩をマッタリ過ごしリフレッシュした私達は、お父さんのふざけた歌と共に最深部を突き進みます。
………にしても、酷い歌だ!

「え、リュカちん?…ゾーマの○○○を見た事あんの?」
「ある訳無いじゃんそんな物!でも性格が悪そうだから…きっと短くて被ってて早いよ!しかも未使用だと思うね僕は…」

「なるほど…でも、もしかしたら俺等みたいなイケメン好きかもしれないぞ…しかも受け!だから未使用な粗品(ソチン)でも問題なかったのかも………俺等、行かないほうが良くね?」

どういう思考回路だ!?
おかしいな…私でも分かるくらい邪悪な気配が充満してるのに、奴等は全然気にする様子がない…
大魔王との戦いはまだ先かな?

「リュカさん、オルテガさん…大魔王ゾーマが美女かもしれないという選択肢は無いのですか?」
この雰囲気に飲まれた私の彼氏が、楽しそうに馬鹿な事を言い出した。
ソンなワケねーだろ!

「何言ってんだよウルフ…声だけなら以前に聞いた事があるだろ!野太い濁声のオッサンボイスだったじゃん!」
「でも声だけですよ…姿は見た事無いのですから、選択肢を減らすのはどうかと…」
何だ選択肢って…?

「そうだぜリュカちん!大魔王…と名乗っている程の奴だ。声だけは迫力を付けておいて、実際は美少女かもしれないぞ!ワザとボイスチェンジさせてるのかもしれないぞ!!」
どんな世界に、美少女がラスボスの冒険ファンタジーがあるんだよ!?

「う~む…言われてみればそんな気が……………こうしちゃいられない!早く美少女ゾーマちゃんに逢わないと!…さぁみんな、スピードアップだ!」
「おー!」

そして変な結論に達した勇者の父親は、真っ暗な中を急いで進んでいく…
まぁ、あの二人ならそこら辺のザコ(ラストダンジョンのモンスターでも、あの二人にかかれば小者(ザコ)だ!)に負けるはずないし、私達の為に露払いをしてくれれば助かる。
いっそのことゾーマも倒しちゃえばいいのに!




「あれ?父さん…お義父さん…どうしたんですか、そんな所に佇んで。美少女ゾーマちゃんは居なかったんですか?」
暗闇を前に呆然と立ち尽くす2人を見て、嫌味っぽく何もしていない事を指摘する息子(むすこ)義息(ムスコ)

「いやね…真っ暗で進めなくなっちゃてさ…ゾーマちゃんは恥ずかしがり屋なのかな?」
「…そうかもしれないですね」
きっと『絶対違うよ馬鹿!』って言いたいんだろうけど、言ったら面倒な事になると思い言わないんだろうと思う。
正しい判断だ。

「リュカ殿…ここはレミーラで明るくしてみてはどうですか?」
「おう、なるほど!流石ラング…気が利くねぇ!では早速、レミーラ!」
だがラン君は騒動好き…
面倒事を巻き起こさせようとアドバイスが炸裂する。

「どれどれ…美少女はどこかなぁ?」
お父さんはレミラーマで照らされた空間に目を凝らし、美少女を捜してます。
一体何処までが本気なんだろうか?

「ほう…随分と面白い魔法を使う者が居る…」
「…………あれ?………美少女ゾーマちゃんは何処だ?」
多分…コイツだと思う。

「び、美少………ゴホン、何を訳の分からん事を言っている…ワシはゾーマ…大魔王ゾーマ様だ!」
身内の誰もがツッコむ事を諦めた事柄に、新参者の大魔王はツッコミを入れる。
疲れるだけなのに……

「キサマらはワシを討伐する為に、ここまで来たつもりだろうが…それは違う!ここはキサマらが生贄として奉られる祭壇。素晴らしい生贄として、悲痛な叫びをあげてもらうおぞ!!」

ゾーマも気付いたのだろう。
まともに相手してはいけないのだと…
早口でお決まりの科白を言い切ると、手下を2体差し向け消えてった。

「ぐぅあぅぁあぁ…ゔぁ………」
巨大なホネホネ…
きっとバラモスゾンビだろう。

「兄者…今少しの辛抱ですぞ!憎き勇者共に復讐してやるのです!」
もう1匹は色違いのバラモス。
多分バラモスブロスだと思う。
………でも、ホネホネに向かって“兄者”って言ってたね。兄弟なんだ(驚)

「あれ?お前の事…どっかで見たことがあるような…誰だっけ?」
誰って…
魔王バラモスを忘れちゃったの?

「え!?何リュカちん…あんな奴の事知ってんの…趣味悪!ナンパするなら可愛い()を選ぼうよ…」
「しねーよ、あんなブスをナンパなんて!そうじゃなくて、何処かで見た記憶があんの!美女の事じゃ無いから、今一思いだせ無いんだよ…」

「ふ、ふざけるな!俺様はキサマらに倒された魔王バラモスの弟、バラモスブロス様だ!」
何で見覚えある奴の事を思い出すのに、ナンパの思い出をプレイバックさせるんだ!?
この二人…一緒にいると危険だ!
ツッコミだけで日が暮れるゾ!

「バラモスブスぅ~?わざわざ言わなくても『ブス』なのは判ってるって」
「おいおいリュカちん…今コイツ、お前に押し倒された…って言ったぞ!力ずくは良くないな…しかも趣味が悪い!」
「だから違うって!あんなブスを押し倒「うるさ~い!!」

あぁ…バラモスブロスが可哀想に思えてきた…
リュカテガ(リュカとオルテガのユニット名)に翻弄されてる。
奴等に対し怒っちゃ負けよ。

「いい加減にしやがれ!俺様の名は『バラモスブロス』だ!バラモスブスじゃな~い!…それから押し倒されたんじゃ無い…倒され殺されたんだよ!!そして兄者は、こんな姿になってしまったんだ!」

「え?…じゃ、そいつ…ネクロゴンドで倒した『バラモス』なの!?あの魔王バラモスの成れの果てなんだ!…あはははは、ちょ~うけるぅ~!前より弱そうになってんじゃん」
お父さんの侮辱は止まらない…むしろヒートアップしてるわ。

「ようリュカちん。以前の姿って、こっちのブスと同じなんだろ?だとしたらどっちも弱そうだぜ!こんな弱そうな『ブス』と『骨』しか部下が居ないなんて、ゾーマも大したことはないんだな!?」
そして侮辱はゾーマへと広がる…

「ふ、ふ、ふざけるなぁぁぁぁ!!!」
ブチ切れたバラモスブロスが襲いかかってくる…
けども、ホネホネの方がそれを押さえ付ける。

「ぐぁあうぁ…!」
「な、何故止める兄者!?」
「ぐぁ…れ、冷静さ…う…失う…と……ま、負け…………ぅ…ぅ……や、奴等…それ…狙…い………」

どうやら本当に元バラモスだった様だ。
以前お父さんに翻弄され、まともな反撃も出来ずに死んでいった奴だからこそ、あの挑発をまともに相手しないのだろう。
う~ん…少しはパワーアップもしてるかもね。

「何だ…骨だけでスカスカだから脳みそもスカかと思ったら、前の事は憶えてんのね…」
尚もお父さんは挑発を試みるが、バラモス兄弟は二人とも冷静さを取り戻したらしく、ブチ切れて襲いかかっては来ない。

「では兄者、同時に行きますぞ!」
それどころか、落ち着いて先制攻撃をしてきました。
それも連携しながら、私達を2派に分断して…

バラモスブロスが私・ウルフ・カンダタ・モニカさんに攻撃を仕掛ます。
戦闘で有効な魔法を使えないカンダタ・モニカさんに、手痛い一撃を喰らわします。
私とウルフはお二人の回復に………

横目でバラモスゾンビを確認すると、アルルさん・ハツキさん・ラン君を激しく攻撃してます。
此方の援護は出来そうにないですね…
つーかお父さんとオルテガさんはどうしたの!?

慌てて目で二人を捜すと、非戦闘員を庇いつつ後方でマッタリ観戦中です!
お、お前等…何もしない気だな!?
あ!お兄ちゃんまで後方観戦してやがる!…まぁお兄ちゃんは怪我人だから仕方ないか。



ヤバイッス!
結構ピンチッス!!
ブロスの奴、結構強いッス!!!

私もウルフも攻撃魔法を使う隙がありません。
絶え間なくカンダタ・モニカさんに攻撃を仕掛けるから、ウルフも絶え間なく回復及び補助魔法を使って援護中です。
私もお二人を巻き込めないので、賢者の石で回復作業に専念です。

チラリとアルルさん達を見ましたが、彼方も苦戦中の様で救援は期待出来ないでしょうし、後方観戦隊の手助けは無い物と思っていた方が無難です。
使えねーな!

時折メラを唱えてブロスを攻撃しますが、流石に威力が弱すぎて吹き飛ばされます。
かといってメラミを唱え、カンダタ・モニカさんに当たり消し去るわけにもいかないですからね…
“大は小を兼ねる”と言いますが、アレは間違いですね。魔法力が大きい事でこれ程不便を被るとは思いませんでした!



2.30分苦しい思いをしていると、突如強烈な閃光と共に『ドドーン!!』と炸裂音が鳴り響く!
振り向くとバラモスゾンビに巨大な雷撃が突き刺さっていた。
そして、その前には手を取り合っているお兄ちゃんとアルルさんの姿が…

「あ、兄者ぁぁぁ!!」
崩れ落ちるバラモスゾンビを目の当たりにして、悲鳴を上げるブロスが…
こんなチャンスを逃してはならない!

私のメラゾーマとウルフのベギラゴンが同時に炸裂する!
更に魔法の炎が消え去らないうちに、カンダタ・モニカさんが連続で攻撃を喰らわす。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

トドメだった…
これ程の連撃を喰らっては、ブロスとてひとたまりもない。
苦労したが勝つ事が出来たのだ。

だがまだ息のあるブロスは、既に事切れたバラモスゾンビへと手を伸ばし、兄の死を悲しむ。
誰でも家族が目の前で死ねば辛いのだ…
敵とか味方とか…人間・魔族も関係ない。
戦って相手を殺せば、誰かが悲しむ事になる…

ゲームでは気付く事のない事だ…
何だか悲しくなってきた…
もう息をしていないバラモス兄弟を見て、私はどうして良いのか分からなくなっている。

でも私にはウルフが居る。
悲しむ私を見て、彼は優しくキスして告げる。
「さぁ…今は仲間の心配を…」

そうだよね。
悲しむのは後で良いよね。
それに私には優しい彼が寄り添ってくれるんだもんね…悲しんじゃダメだよ。



 
 

 
後書き
アホな歌から始まり、ちょっぴりしんみりムードで終わる今話…
途中経過は………まぁ、どうでもいいよね! 
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