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八条学園騒動記

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第七百五十一話 本名じゃないその五

「籍がお名前よね」
「羽は字ね」
「そうなのよね」
「私ずっと羽がお名前って思ってたのよ」
「そうだったの」
「けれどそれがね」
 その実はというのだ。
「字だったのね」
「何かね」
 ベスは妹に話した。
「劉邦さんはお名前がね」
「ないの」
「あの人お百姓さんの出で」
 そうであってというのだ。
「当時身分の低い人達はね」
「お名前なかったのね」
「それで実はね」
「お名前なかったの」
「苗字はあったけれど」 
 そうであったがというのだ。
「そうでね、字もね」
「それもなの」
「大した意味じゃなかったそうなの」
「そうだったの」
「末っ子とかいうね」 
 事実劉邦はそうした立場であった。
「それでね」
「字もそんな風だったの」
「そうだったのよ」
「あの人はそうだったのね」
「本当に只のお百姓さんだったから」
 劉邦のはじまりはだ。
「まあ文字の読み書きはある程度でもね」
「出来たの」
「当時それ出来たって凄いから」
 教育を受けられるだけの余裕があった、それだけでも当時の生活では相当なことであったのである。
「裕福だったかっていうと」
「そうだったのね」
「劉邦さんはね」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
 ジョーはエイミーにさらに話した。
「働かないで」
「遊び人だったのよね」
 エイミーもこのことは知っていた。
「酒好きの女好きで」
「そう、結構以上にね」
「碌でもない人だったわね」
「無頼漢でね」
「大口ばかり言う」
「そんな人だったのよ」
 これが身を起こすまでの劉邦であったのだ。
「ただそれでもね」
「不思議と人が集まったのよね」
「変な魅力があってね」
「色々な人が集まって」
「しかも器が大きかったし」
「人材が揃って」
「やがて天下を取ったのよ」
 皇帝になったというのだ。
「あの人はね」
「名前もなかったのに」
「そうだったけれどね」
「凄い立身ね」
「今の連合だと」
 ジョーは自分達の国の話も例えて入れて話した。 
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