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八条学園騒動記

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第七百五十話 練習中にまた話をしてその二

「するとな」
「そこまでわかったか」
「そうなった」
 実際にというのだ。
「有り難いことにな」
「本当に有り難いな」
 フランツは走りつつこの言葉を心から出した。
「それは」
「わからなかったこと、はっきりしなかったこともわかる」
「やがてか」
「それは全てでないかも知れないがな」
 それでもという口調でだ、タムタムは話した。
「しかしな」
「それでもか」
「学者さんやマニアの人が調べてな」
「わかっていくんだな」
「野球のこともな」
「そうなんだな」
「それでだ」
 タムタムはさらに話した。
「あの人のこともな」
「何かとわかってきているか」
「千年以上昔の人だが」
 そうであるがというのだ。
「わかってきている」
「大昔だな」
 千年以上昔と聞いてだ、タムタムに言うのだった。
「もうな」
「そうだな」
 タムタムも否定しなかった。
「一口に千年以上昔といってもな」
「大昔だな」
「その頃の人は誰も生きていない」
 人間の寿命はそこまで長くないということだ。
「木でもだ」
「千年以上になるとか」
「実はそうはない」
 樹齢は長い、だがそれでも千年以上生えている木も少ないのだ。そして木もやがてはその命を終えるのだ。
「そんな昔だ」
「そうだな、それでもか」
「わかってきている」
「サチェル=ペイジのこともか」
「凄い人だったことは事実だ」
 このことは間違いないというのだ。
「そしてだ」
「凄い成績を残しているか」
「成績のことも次第にな」
「わかってきているか」
「そうなっている」
 実際にというのだ。
「どうも勝率は八割位でな」
「それは凄いな」
 フランツも話を聞いて素直に思った。
「八割か」
「一シーズン四十勝したことも多かった」
「それも凄いな」
「先発で連投が普通だった」
 そうした時代だったというのだ。
「しかし潰れることなくな」
「還暦近くまで投げたんだな」
「そしてメジャーに行ったが」
 そちらに移籍したがというのだ。
「もう最盛期は過ぎていた」
「ベテランだったか」
「こちらの成績ははっきりしていた」 
 そうだったというのだ。
「既にな」
「そうだったか」
「ああ、もうな」
「千年以上昔にか」
「メジャーの記録は完全に残っている」
 その頃のそれもというのだ。 
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