| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七百四十九話 本物の馬鹿その十一

「恥とまでな」
「言われてるわね」
「生前からだったらしい」
 ジョージアでベリヤを好きな者なぞいないとまで言われていたらしい、そしてクレムリンの高官達の間でもだったとのことだ。
「兎に角な」
「評判悪かったわね」
「シリアルキラーでもあったしな」
 人をひたすら殴打して殺すことが好きだったらしい。
「こんな奴誰がだ」
「好きになるかよね」
「だから今もな」
「評判悪いわね」
「そうだ、それでベリヤもか」
「死刑になる時は」
 身柄を拘束したのはソ連の名将ジューコフだったという。
「泣いて叫んで」
「命乞いしたか」
「そうみたいね」
「屑はそんなものだ」
 タムタムはまた嫌悪感を露わにさせて話した。
「自分しかなくてだ」
「恥もないのね」
「そうだ、尊大でもな」
 普段はそうであってもというのだ。
「誇りはな」
「ないのね」
「尊大と誇りがあるのは違う」
 タムタムはまた言い切った。
「誇りがあるなら死ぬ時もだ」
「誇りを以て死ぬのね」
「死刑になってもな」
 その時もというのだ。
「日本で言うと吉田松陰さんや」
「凄い立派に死んだのよね」
「死刑になってもな」
 それも武士でありながら切腹ではなく打ち首にされてもだ、このことは彼が殉じた安政の大獄の他の犠牲者達も同じである。当時の大老井伊直弼がそうさせた。
「胸を張ってだ」
「死んでいったのね」
「極東軍事裁判で死んだ人達もな」
 二次大戦の後のこの裁判でもというのだ。
「胸を張ってだ
「誇りを以てよね」
「死んでいった」
「そうだったのね」
「あの裁判はおかしかった」
 この時代ではそうはっきりと定まっている。
「事後立法だったしな」
「そもそもよね」
「そしてだ」
 それと共にというのだ。
「容疑は嘘が多くな」
「事実無根な」
「捏造ばかりでだ」
 そうしたことで裁判が行われたのだ。
「尚且つ戦争犯罪だったが」
「それが問題だったのよね」
「ニュルンベルグ裁判のそれを当てはめた」
 ナチス=ドイツを裁いたこの裁判の考えをだ、尚この裁判も事後立法であったことが当時から問題視されていた。
「平和に関する罪や人道に関する罪だが」
「戦争犯罪に」
「だからな」
「無理があったのよね」
「当然裁判は強引なものになった」
 事後立法なうえに全く罪状が違う話を裁判にかけたからだ。
「戦争犯罪と人道に関する罪は違うからな」
「当時のドイツと日本も」
「ナチスは戦争をしていなくとも行った」
 その裁判にかけられる様なことをというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧