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八条学園騒動記

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第七百四十九話 本物の馬鹿その八

「真っ先にだ」
「死ぬな」
「それか虐げられる」
「そんなところだな、外縁部は」
「力があるか頭がいいかだ」
 そうしたというのだ。
「そんな連中でないとだ」
「まともに生きていけないな」
「そんなところだ」
「ならそんな馬鹿は」
「真っ先にだ」
 それこそというのだ。
「やられる」
「そうなるな」
「法律そしてそれを維持する権力がないとな」
 そうした社会はというのだ。
「まさに力が支配する」
「そんな社会だな」
「無政府主義はな」
 この思想はというのだ。
「一見完全な自由に見えてだ」
「実は違うな」
「犯罪者が取り締まられることなくな」
 そうしてというのだ。
「力のある奴が好き勝手する」
「そんな社会だな」
「そうだ」
「普通の人は生きていけないな」
「とてもな」 
 こうギルバートに話した。
「そんな社会だ」
「そうだな」
「無政府、法律がないならな」
「無秩序でな」
「犯罪もし放題だ」
 犯罪かどうかを定める法律もなければそれを元に動く警察も存在しない、そんな社会がどうなるかは火を見るより明らかだ。
「ホッブスが言っていたな」
「リバイアサンだな」
 ギルバートはすぐに答えた。
「あの世界だな」
「そうだ」
 まさにとだ、タムタムは答えた。
「連合自体がよく言われるがな」
「ホッブスの世界だとな」
「各国政府同士が常に争い」
「中央政府と各国政府が争ってな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「それぞれの組織や個人の衝突も多い」
「そうした国だからだな」
「よくそう言われるが」
 ホッブスのリバイアサンにある万人の万人に対する闘争の社会だというのだ。
「しかし法律がある」
「そもそもあれよね」 
 アンがここでタムタムにこう言った。
「ホッブスさんはそうした社会だから法律がね」
「必要だと言った」
「絶対の」
「そうだ、政府がな」
「秩序の為にね」
「そう言ったからな」
 それ故にとだ、タムタムは話した。
「啓蒙思想のはじまりともだ」
「言われているわね」
「王権神授説もだ」
 啓蒙思想が批判しているこの説もというのだ。 
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