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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその二十九

「無防備も中立もだ」
「本気でそうしたいなら」
「備えはしておくことだ」
「そちらのこともですね」
「それがいい、ルネサンス期のイタリアは諸都市に分かれていてだ」
 ヴェネツィアやミラノ、フィレンツェ等にだ。
「軍事力は弱くしかもだ」
「豊かでしたね」
「経済的にも文化的にな」
「だから狙われましたね」
「こうした勢力が無防備宣言をしていてもだ」
「攻められていましたね」
「間違いなくな、神聖ローマ帝国が狙い」 
 ドイツを主な領土にしていた国だがその国名と勢力拡大を狙ってイタリアへの進出を常に行っていた国だった。
「スペインもフランスもだ」
「狙っていて」
「そしてだ」
「そこでそうした宣言を出しても」
「こうした国々が止まる筈がなかった」
 イタリアを狙っている国々がだ。
「若し中立を守りたかったならだ」
「イタリアもですね」
「強くあるべきだった」
「経済力や文化だけでなく」
「軍事力もだ」
 これもというのだ。
「備えるべきだった」
「都市国家単位でなくですね」
「国としてな」
「他国に攻められていたので」
「そうだった、だからだ」
「戦火も絶えなかったですね」
「ルネサンスは華やかな時代だった」
 八条はこのことは事実だとした。
「素晴らしい文化が花開いた」
「そうした時代でしたね」
「だが平和だったか」
「それは、ですね」
「違っていた、都市国家同士で争い」
「他国も攻め入っていた」
「そうだった」
 まさに戦乱の時代であったのだ。
「神聖ローマ帝国が常にあり」
「フランスも狙い」
「スペインもだった」
「そうした状況であり」
「戦国時代だった」
「最近までのサハラの様に」
「そうした状況でだ」
 それでというのだ。
「流れた血も多かった」
「ローマも破壊されましたし」
 由良はサッコ=ディ=ローマ、ローマ劫略と言われる事件のことも話した。ドイツ人傭兵達が起こした事件だ。
「兎角、でしたね」
「戦乱が絶えずな」
「それで、でしたね」
「平和な時代とはな」
「到底言えませんでしたね」
「強力な軍隊があればな」
 統一された国家のそれがというのだ。
「やはりな」
「そうもなりませんでしたね」
「スイスの平和は鳩時計しか生まずだ」
 八条はこうも話した。 
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