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神々の塔

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第六十七話 竜殺しの英雄その二

「それで」
「素晴らしき方々が来られると」
 中里にもだ、ブラックドラゴンは答えた。その言葉には淀みも歪みもなく真実だけがはっきりと感じられた。
「その様にです」
「言うてくれるか」
「はい」 
 まさにというのだ。
「そうさせて頂きます」
「そやねんな」
「そして」
 さらに言うのだった。
「宿屋ですが」
「次に寄ることになる宿屋か」
「実はワイン風呂がいいそうです」
「ワイン風呂か」
「モーゼルワインを入れた」
「そうしたワイン風呂か」
「普通は赤ワインですね」
 中里にワイン風呂の話もしたのだった。
「左様ですね」
「ワイン風呂っていうたらな」
 中里もそれはと応えた。
「そやな」
「あの赤、ワインレッドがええんよ」
 綾乃は笑顔で話した。
「うちも好きやで」
「そやねんな」
「それでスーパー銭湯でもやってたら嬉しいけど」
「それがその宿屋ではです」
 ブラックドラゴンは綾乃にも話した。
「赤ワインではなく」
「モーゼルワインは白やね」
「そちらのワインになります」
「それもよさそうやね」
「赤ワインでなくてもですか」
「確かにあのワイン風呂に親しんでるけど」 
 綾乃はブラックドラゴンにそれでもと話した。
「白ワインの方も好きやで」
「そうなのですね」
「こっちの世界でそうしたお風呂にも入って」 
 そうしてというのだ。
「よかったさかい」
「だからですか」
「楽しみにしてるで」
「ではそちらのお風呂にも入られて」
「そうして」
 そのうえでというのだ。
「身体を清めて」
「休まれて」
「戦に挑むんやね」
「そうされて下さい」
 是非にと言うのだった。
「皆様は。そしてジークフリート様も」
「あの方もお風呂好きなん」
「以前は違ったそうですが」
 それがというのだ。
「今はです」
「お風呂好きなんやね」
「お風呂に入られて」
 そうしてというのだ。
「そしてです」
「そのうえでなん」
「お風呂上がりのモーゼルワインか」
 若しくはというのだ。
「ビールがお好きです」
「ドイツやね」
「そうです、朝食欲がないと」
 その時はというと。 
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